小5国語科「新聞を読もう」全時間の板書例&指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、小5国語科「新聞を読もう」(光村図書)の板書例、教師の発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した全時間の授業実践例を紹介します。

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都西東京市立けやき小学校校長・前田 元
執筆/東京都渋谷区立神南小学校・佐藤綾花
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
この単元では、同じ話題について書かれた二つの新聞記事を比べて読み、双方の違いから、書き手の意図や論の進め方について考える力を育成することを目指します。最近、ニュースはインターネットやテレビを通して知る、という人も多くなっています。本単元で初めて新聞を読む児童もいるでしょう。
まずは新聞の構成を確かめ、どの部分からどのような情報が得られるのかを捉えられるようにします。本単元の学習を通して、新聞の読み方や新聞を読むことの楽しさを知り、今後の生活や他教科の学習において、興味をもった話題について新聞から情報を得ようとする児童の姿を期待しています。
2. 単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴
本単元では、同じ話題について書かれた二つの新聞記事を比べて読み、分かったことや考えたことを話し合う言語活動を設定しました。比べて読むことによって、双方の共通点や相違点から、より細かい部分に注目することができるようになります。
第1時は教科書に示されている二つの記事を比べて読み、分かったことを話し合うことを通して、新聞の構成を理解したり、記事の論の進め方について考えたりすることができるようにします。
第2時は、第1時に理解したり考えたりしたことを生かして、他の記事を比べて読み、分かったことや考えたことを話し合います。教科書に示されている記事と同様に、同じ出来事について書かれた複数の記事を、予め教師の方で用意しておきます。本単元の学習を通して、「文章を比べて読むと、多くの点に注目したり気付いたりすることができる」という、比べ読みのよさについても児童が実感できるとよいでしょう。
4. 指導のアイデア
第1時では、教科書に示された二つの記事を読み比べることを通して、まずは二つの共通点から新聞記事の構成を捉えられるようにします。児童は4年生のときの「書くこと」の学習「新聞を作ろう」の中で、新聞には「見出し」や「図・表・絵・写真」が文章と組み合わせて示されていることを学んでいるでしょう。
本単元では、さらに「リード文」があることを学びます。そして、一面の記事は重要なことが見出しで先に示され、次に記事の内容を短くまとめたリード文があり、その次に詳しい内容が書かれた本文がある、という構成になっていることを捉えられるようにします。そのために、教科書に示された二つの記事を電子黒板等で提示し、まずは「大まかに見て、同じところはどこかな。」と投げかけます。
児童からは「どちらの記事も見出しがある。」「リード文、本文の順で書かれている。」などの気付きが挙げられることが予想されます。児童の発言を取り上げながら、新聞記事の大まかな構成を全体で確かめます。
次に、教科書の下の方に示されている二つの記事の全体像(見出しと写真が示されているもの)を拡大して提示し、「二つの記事の異なる点はどんなところかな。」と投げかけます。児童からは、「大きな見出しが同じ。」「写真もほとんど同じだね。」「縦書きの見出しは違うよ。」などの気付きが挙げられることが予想されます。
児童の発言を基に、二つの記事の縦書きの見出しにまずは注目させ、どのように違うか、なぜ違うのかを考えるよう促します。そうすることで、「書き手が伝えたいことが違うのではないか。」「リード文や本文の内容も違うのではないか。」と書き手の意図や書き表し方に注目して読んでいけるようにします。
比べて読むと、児童は多くのことに気付いたり考えたりすることができるでしょう。気付いたことや考えたことを共有する際、一人一人が思い思いに話をすると、今何について話しているのかを捉えることが難しくなることが予想されます。教師は、発言した児童が記事のどの部分のことを話しているのか、他の児童にも分かるように確かめたり整理したりすることが大切です。そのため、記事の全体をいっぺんに比べさせるのではなく、「まずは見出しに注目して比べよう。」など、比べて読む箇所を示すようにします。併せて黒板に「見出し」「リード文」等の項目名を入れた表を書き、児童が気付いたことや考えたことを書き入れていくようにします。
第2時は実際の新聞記事を読み比べることができるよう、予め同じ出来事について書かれた複数の記事を用意しておきます。教科書では、全国紙と地方紙が提示されていますが、必ずしもそれらの新聞記事を集める必要はありません。学習で扱いやすい出来事の記事を複数の新聞から選ぶとよいでしょう。
また、教科書では写真が似ている記事が提示されていますが、写真の違いが分かりやすい記事を選ぶことで、写真の違いから「なぜ同じ出来事なのに、写真が違うのだろう。」と疑問をもたせ、「書き手が伝えたいことが~だから、この写真を使っているのではないか。」と、写真と文章とを結び付けて読むことを促していきます。
5. 単元の展開(2時間扱い)
単元名: 新聞を読もう
【主な学習活動】
第1時
・教科書に示されている二つの記事の同じところに注目し、新聞の構成を確かめる。
・見出しや写真に注目して二つの記事を読み比べ、どのような点が異なるか話し合う。
・リード文、本文に注目して二つの記事を読み比べ、どのような点が異なるか話し合う。
・読み比べて考えたこと(なぜ異なるのか、それぞれの記事からどのような印象を受けるか等)を話し合う。
第2時
・教師が示した二つの記事を読み比べる。
・記事を読み比べて分かったことや考えたことをワークシートにまとめる。
・ワークシートに書いたことを基に、分かったことや考えたことを話し合う。
〈 端末活用 〉
・教師が写真に撮った新聞記事を読み比べる。
・読み比べて考えたことを、端末を活用してまとめたり、共有したりする。
6.全時間の板書例・端末活用例と指導アイデア
イラスト/横井智美
令和6年度からの国語科新教材を使った授業アイデア、続々公開中です!
