授業参観おすすめネタ!小1生活科は保護者参加型で楽しい体験を
生活科を授業参観で行うとなると準備が大変。でも、工夫次第で、楽しく、お手軽に、しかも保護者にも喜んでもらえる、そんな生活科の授業が展開できるのです。保護者の協力あっての生活科ネタも盛り込みました。ぜひ、お試しください。
執筆/千葉県公立小学校教諭・藤木美智代
目次
親子で「おいしい」「楽しい」体験を
1 おいも食べよう会
自分たちで栽培した食材を、自分たちで調理していただくという活動がおすすめです。一年生には調理は無理なので、おうちの方の協力が必要になってきます。
私の学校では、サツマイモを畑で育てていますので、茶巾絞りのスイートポテトを親子で作って食べるという授業を行いました。
授業参観の一時間ほど前に、各クラスの保護者の代表の方2~3人に家庭科室に集まっていただき、サツマイモをふかしてもらいます。家庭科室に3クラスは入れないので、クラスごとにふかしたサツマイモを持って、各教室に移動していただきます。ここからが授業参観です。下の打ち合わせメモの②③④をご覧ください。
代表の保護者の方に、作り方を説明していただきます。あとは、班ごとに進めてもらい、できあがったら「いただきます」となります。同じ班の保護者の方と子どもたちで、お話をしながら食べます。保護者同士も仲よくなっていただきましょう。食べた後は、教えていただいたお礼と、片づけのお手伝いを忘れずに行います。これだけの簡単料理なのですが、保護者と一緒に活動すると、とても楽しく行えます。
注意点としては、保護者との事前の打ち合わせがとても大切になります。また、アレルギーの子がいないか事前に調べる必要があります。
2 わくわく遊びランド
「おもちゃを作って遊ぼう」という単元を授業参観で行います。グループごとに、手作りで工夫したおもちゃを考えます。そのおもちゃで遊べるブースを作り、お店の店員となって、お客さんである保護者の方におもちゃで遊んでもらうのです。名づけて「わくわく遊びランド」。
おもちゃは、いろいろな本を参考にして考えさせます。ただ遊ぶのではなく、ゲーム性があるように指導します。ルールが大切です。
【ルールづくり】
どちらかを選ばせます。
①勝ち負け系:どうなると勝ちなのか、何人で勝負するのか
②挑戦系:得点を競うのか、タイムを競うのか
さらに条件として、30秒くらいのゲームであること、いろいろなコースやいろいろなレベルがあるとよいことなどを指導します。
【ルールの修正】
一度、他のグループの子に遊んでもらって、アドバイスやアイデアをもらい合うという活動を取り入れました。
国語の時間に、話合いの仕方を指導します。話型を提示し、質問や意見の言い方の訓練も必要です。そうすると、自分たちではわからなかった不具合に気づくことができます。そして、ゲームのおもしろさの質が上がります。
例えば「すすめビューン」という、ペットボトルキャップを弾いて的に入れるゲームでは、「30秒では長すぎると思います」「人差し指でなければだめですか? 小指でもおもしろいです」などなど、子どもなりの目線で指摘もできます。
その後、遊び方ルールを修正し、本番を授業参観に当てます。グループを前半後半に分け、お店役、お客役の両方を一時間に体験できるようにします。おうちの方は、わが子の両方の様子を見ることができます。おうちの方にもお客としていろいろな遊びのブースに足を運んでもらいます。
お店役の子は、遊び方を説明します。これも国語の時間に、話型を示して練習させておきます。「はじめに~します。次に~する遊びです。~すると勝ちです」「まず~します。そして~する遊びです。いくつできるか挑戦しましょう」のような感じです。説明用のパネルを用意するとよいでしょう。司会進行も実行委員の子どもに任せました。前半と後半の交代の合図は、すずを鳴らしました。
①はじめの言葉(2分)
②注意すること(3分)
③前半の遊び(15分)、準備に3分
④後半の遊び(15分)、準備に3分
⑤お礼の言葉(2分)
⑥終わりの言葉(2分)
ちなみに、私のクラスでは、次のような遊びがありました。簡単なもののほうが意外と楽しめます。
・すすめビューン(的あて)
・おまめつまみ(小豆をはしでつまむ)
・とんとんずもう(紙ずもう)
・ミニミニボーリング(鉛筆キャップで)
・上からヒラヒラ(落ちてくる紙片を拾う)
ブースごとに感想用紙を置いておき、おうちの方から、ひと言感想をいただけると、子どもたちの励みになります。
季節を感じて一緒に活動
3 一緒に描こう 絵手紙
公民館に行くと、たいてい絵手紙サークルがあります。そこの講師を、授業参観日にゲストティーチャーとして招きます。習っている方でもよいと思います。絵手紙の本も出ているので、教師自身が学んだことを伝えてもよいでしょう。私は、自分でも習いに行きました。
秋にはたくさんの果物や木の実、きれいな植物や紅葉した葉っぱが手に入ります。ぜひ、絵手紙に挑戦したいと思います。
保護者と子どもで手紙を書きたい共通の方を決めておいてもらいます。おじいさん、おばあさん、幼稚園の先生、引っ越してしまった友達などです。
描く対象は家庭で考えて持ってきてもらうとよいと思いますが、用意できない家庭もあると思うので、こちらでも用意しておくとよいでしょう。また、野菜を輪切りにしたもの。これは、スタンプにできるので、何かしら用意するとおもしろいでしょう。
【用意するもの】
・筆 ・墨汁 ・絵の具 ・はがき大の和紙
・描くもの(果物、野菜、植物、木の実、葉)
・輪切り野菜(切り口のおもしろいもの)
【手順】
- 墨で輪郭を描きます。線はゆっくり、震えるように描きます。筆の上のほうをつまむように持って描くという方もいます。へたから描くとよいようです。絵手紙の合い言葉「下手でいい、下手がいい」にかけています。全体を入れようと思わず、紙からはみ出すように描くと、大きく見えます。
- 色は絵の具で塗ります。ところどころ塗り残すようにすると、光を感じさせたり、立体感が出たりします。はみ出したり、にじんだりするのも味があってよいようです。
- 空いているところに、墨で気の利いた一言を添えます。ここはおうちの方にお願いしました。字も美しすぎず、おどるように配置すると楽しいものになります。
- 野菜を輪切りにしたもので、周りにスタンプを押します。さびしい所に押します。ふつうの絵手紙より、賑やかになります。
- 最後に名前の一文字を決め、落款を押します。消しゴムはんこもよいですが、なければ赤ペンで一文字を書き、四角く囲むだけでそれらしくなります。
4 一緒にさがそう 秋の葉っぱビンゴ
ネイチャーゲームを知っていますか? 五感を使って自然とふれあい、集めたり、探したりした自然で楽しむ遊びです。自然への気づきがめあてです。
授業参観では、「秋の葉っぱビンゴ」を行いました。校内にたくさんの木や草がある学校が適しています。
【授業の流れ】
①保護者と子ども、もしくは保護者と子どもを含むグループごとに葉っぱを集めます。できるだけいろいろな種類を集めましょう。例えば、大きい葉っぱ、小さい葉っぱ、赤や黄色い葉っぱ、緑の葉っぱ、とがった葉っぱ、丸い葉っぱ、ギザギザの葉っぱ、ザラザラの葉っぱ、ツルツルの葉っぱなど、全部で9種にします。
②時間を決めて(15~20分くらい)教室に戻ります。3×3(4×4の16種でもよい)のビンゴシートの上に貼ります。保護者と子どもで、どこに何を置くか相談させます。どうしても集められなくて数が足りないチームのために、担任も何枚か集めておきましょう。
③担任が、ビンゴゲームを仕切ります。あらかじめ、赤い葉っぱ、黄色い葉っぱ、ギザギザの葉っぱ、ザラザラの葉っぱ、などのカードを作っておき、アトランダムに引くようにするとよいでしょう。
④ビンゴで楽しんだ後、何の葉っぱなのかを確認します(教科書にもいろいろな葉の名前が載っています。本やネットで調べさせる学習につなげるのもよいですね)。
木の実が豊富な地域でしたら、木の実ビンゴも楽しいでしょう。木の実が手に入りにくければ、写真のカードを作って同じようにビンゴをすることもできます。
私は、休日に山に行き、いろいろな実を採集したり、写真に撮ったりしました。都会の学校で、なかなか自然とふれあえないときも、木の実、草花などの写真のカードでビンゴをすることで、知識として身についていくでしょう。
おうちの方に協力していただく、ちょっとした生活科ネタ
たねコレクション
一年生は、夏休み前に、たいてい朝顔を育てますね。野菜を育てて収穫することもあるでしょうか。また、秋口から球根を植えて、来春に花を咲かせる活動をすることもありますね。
しかし、もっと身近に植物は存在しています。リンゴやスイカなどの果物を食べたら種が出ます。カボチャやトマトなどの野菜にも種があります。それらの種をすべて集めてみます。さまざまな種があることに気づきます。家庭の台所で出る種を集めることに協力していただくのです。
その後、「こういう種も芽が出るのかな?」と問いかけ、湿らせた脱脂綿に載せてみたり、土に埋めてみたりします。ちゃんと育つかどうかはわかりませんが、発芽や途中までの生長を観察するだけでも楽しいものです。
おもしろかったのは、「タマネギは球根みたいだから、埋めてみよう」と言ってトライした子。見事に芽や根が生えてきて、大きく育ちました。
スリーヒントクイズにして、種や芽の当てっこをしても楽しいですね。
日本の伝統的風習をご家庭で
共働きのご家庭では、なかなか日本の伝統的な風習を行えないことが多いようです。しかし、今の子どもたちが受け継がなければ、次の世代に続きません。ぜひ、家庭で日本の伝統を引き継いでほしいものです。
例えば、五月の節句の前に、どういう日か、どんなことをする日か話します。こいのぼりを泳がせる、柏餅を食べるくらいは子どもたちから出てきます。でも、菖蒲湯につかるとか、ちまきを食べるということはあまり行われていないのです。そこで、風習の意味やいわれなども調べて、学級便りに書き、おうちでやっていただきたいと提案します。
私がご家庭に提案したものは、次の通りです。
もし行うことができたら、絵日記で報告してもらいます。今回できなくても、別の機会にやってみようかと思うかもしれません。
忙しさにかまけて私も忘れがちだった日本の伝統的な風習。調べてみると、古人の知恵や心が伝わってきて、勉強になります。先生方もぜひ。生活に潤いが生まれます。
イラスト/くるみれな
『小一教育技術』2015年12月号より