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学級会を充実させる「学級会ノート」の活用法【自治的な活動を促す 学級経営の極意Ⅱ⑬】

連載
自治的な活動を促す 学級経営の極意Ⅱ
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埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者

稲垣孝章
【自治的な活動を促す 学級経営の極意Ⅱ】バナー

子供たちが自治的な活動を行えるようにするためには、教師はどのような指導をしていけばよいのでしょうか。学級経営・特別活動を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に特別活動の本流を踏まえて、学級活動の基礎基本を解説します。第13回は、学級会ノートの活用について解説します。

執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
 城西国際大学兼任講師
 日本女子大学非常勤講師・稲垣孝章 

学級活動(1)学級会での「ノート指導」は、話合いを活性化するために大切な役割を果たします。一般的には、「学級会ノート」等の名称で、計画委員の作成した活動計画に自分の意見を記入したり、終末に自己評価したりする実践が多く見られます。そこで、学級会のノート指導にあたって、3つのキーワード「事前の意見の記入」「話合い時の活用方法」「終末の自己評価の視点」でチェックしてみましょう。

CHECK① 事前の意見の記入

学級会ノートの活用法として、話し合うことについて子供たちが事前に自分の意見を記入する活動があります。この記入された学級会ノートを一旦回収して、計画委員が意見の傾向を把握し、学級会の進行に役立てる実践が多く見られます

また、話し合うことの1つ目の柱での時間を短縮するために、学級会ノートで事前に意見を集めることにより、意見を「出し合う段階」を省き、「比べ合う段階」からスタートすることもあります。

事前に子供たちが自分の考えをもち、学級会の進行がスムーズになるようにするためにも、学級会ノートを効果的に活用しましょう。

計画委員の進行にも役立てます

事前に意見の収集をする計画委員

学級会ノートに書かれた意見を事前に把握しておくことで、計画委員の進行に役立てる実践が多く見られます。何をするかという話合いについては、事前に3つから5つ程度の意見に集約しておき、短冊に記載して「比べ合う段階」から始めることで時間内に話合いが終わるように進行することが可能となります。

また、全体の意見の傾向を把握しておくことで、話合いのスムーズな進行に役立てることができます。

学級会ノートを効果的に活用していきましょう。

CHECK②  話合い時の活用方法

学級会の話合いで、学級会ノートを机上に置いて、事前に書いた意見を見ながら発表する授業を参観することがあります。しかし、学級会は、事前に書いた意見を見ながら順に発表するという単なる「意見発表会」ではありません。他の意見を聞き、その意見に関連した発言を行いながら「自分もよく、みんなもよい」という合意形成を図っていきます。話合いの最中の学級会ノートの効果的な活用について再度考えてみましょう。

話合いの最中は学級会ノートを机の中に入れておきます

話合いの最中は、学級会ノートは机上に出さずに意見交換をすることが大切です。机上にあると、どうしても事前に書いた意見にとらわれてしまいがちです。事前に書いた意見は、話合いの途中で他の意見を聞く中で変更されてよいものです。ただし、なかなか発表しにくい子供については、時には学級会ノートを見てもよいこととするような柔軟性をもつことは考えられます。

子供たちが他の意見を尊重し、関連する発言をしながら、よりよい合意形成を図ることのできるような話合いになるようにしていきましょう。

CHECK③ 終末の自己評価の視点

学級会ノートに、自己評価欄を設けている実践カードを多く見かけます。一般的には、その時間の話合いについて自己評価を行うことが多いように思います。その項目としては、意見を聞くこと、話すこと、決定事項や役割の理解、実践への意欲等について取り上げることが考えられます。その中で、相互評価について取り上げる場合もあると思います。質的判断である評価規準、量的判断としての評価基準の意図を踏まえ、効果的な自己評価となるようにしましょう。

個人内評価を重視した視点も効果的に活用します

学級会の話合いに基づいた「評価規準」(例:自分の意見を発表することができた)をどのような「評価基準」(例:◎よくできた、〇できた、△もうすこし)で判断するかという実践があります。個人内評価を重視するという視点で考えると、評価基準に「前よりよくできた」という項目を入れると効果的です。例えば、発表はできなかったが、前よりも努力したという内面的な視点で自己肯定感を高めることにもつながります。

学級会ノートを活用して、子供たちの個人内評価を重視し、自己肯定感を高める評価活動を積極的に取り入れていきましょう。

イラスト/池和子(イラストメーカーズ)

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