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ふりかえりながら”寄せ””詰め”の三学期「学級仕舞い」

2020/2/16

一学期の「学級開き」に対して、三学期は「学級仕舞い」。「学級仕舞い」で大切にしたいのは、「もう一歩の成長」のための再確認です。その再確認は、どういうものか。生活面と学習面から紹介します。

執筆/山口県市立小学校教諭・福山憲市

必殺! 寄せ&詰めの学級仕舞い メイン画像

①生活面は「キーワード」で再確認

一学期の学級開きでは、ひとつのキーワードを決めて学級づくりに取り組み始めます。

例えば、キーワードを「そろえる」とした年があります。まず4月初日から、次のような「そろえる」がスタートします。

「全員がそろう」……これは、遅刻しがちな子はいないか、休みがちな子はいないか。一人でも、遅刻・休みがちな子がいれば、どのような対応を1年間行っていくかを考えることから、学級開きが始まります。

続いて、「集団」と「一人ひとり」を見るキーワード「そろえる」が、フル稼働します。

例えば、上靴のかかとが、靴箱にそろうか。名札・ハンカチなどがそろうか。連絡帳がそろうか。挨拶の声がそろうか。並ぶときの列が、そろうか。人の話を聞くときの目線がそろうか。大掃除の後の掃除道具がそろうか。

一つひとつの行動を「そろう」というキーワードで見つめ、子どもたちの成長状態を記録し、1年間でどのレベルまで持っていくかを思考するのです。

もちろん、たった1日で成長状態をつかむことはできません。1週間をめどに、いろいろな場を仕掛け、子どもたちの様子を徹底的に記録します。

例えば、なかなかハンカチがそろわないという実態に出合えば、どんな「声かけ」、どんな「サポート」をし続けるかを考えて実行します。

その上で、1週間ごとに「ふり返り」をし、定着状況を簡単にメモしておきます。ある程度「そろう」ができているもの、形になってきたものは、二学期には月ごとの「ふり返り」に変わっていくものもあります。

このふり返り記録が、「学級仕舞い」に役に立ってくるのです。

三学期残りの50日、学級開き期の初心に立ち返って、キーワード「そろえる」を再確認するときに、ふり返り記録を見直すのです。

例えば、

・教室に入る姿
教室に入るときに、元気よく「挨拶」の声を響かせているか。目線は下がっていないか。すぐに、かぶっている帽子を取るか。名札はつけているか。
・ランドセルをしまう姿
ランドセルに入れている勉強道具は整理されているか。勉強道具を机の引き出しに入れる姿が丁寧か。ランドセルを棚に、両手でそっと入れるか。
・宿題プリントをすぐに出すか
出すとき、プリントやノートの向きに気を付けて出しているか。もし、プリント類が少しねじれていたら、そっとそろえるか。
・授業中の姿勢
背筋は伸びているか。人の話を聞くとき、両足をしっかりと床につけているか。挙手をするとき、ぴんっと腕が伸びているか。指名されたら、「はいっ」とはっきりと言うことができるか。

これら全て、一学期のふり返り記録では、「ほぼ定着」と記録しているものです。それほど、何度もくり返し巻き返し、「そろう」というキーワードで声かけし続けてきたからです。

ところが、学級仕舞い期に、ふり返り記録を読み直しながら再確認をしてみると、意外と甘くなっているところが多々あることに気が付きます。

②もう一歩の成長の試み

学級仕舞いの残り50日は、学級開きのときと同様に、1日1日をキーワード「そろう」で見直しをし、「少し甘くなっているところ・よく成長しているところ」を見極め、次の学年に向けて「もう一歩の成長」を試みます。

ところで、もし「ふり返り記録」がない場合には、学級開き期に取り組んだことを書き出してみるといいです。書き出すことで、現状をふり返ることにもなります。

では、少し「もう一歩の成長」の試みの様子を紹介します。

先に紹介した教室に入る姿。毎日見る姿です。

学級開き期に、次のように声かけをして「そろえる」を確認し続けたひとつです。

教室に入るときは、ただ挨拶をすればいいのではないです。教室に、声を響かせてください。声を響かせるというのは、心を込めるということです。

この声を再確認すると、何人か声の響きが落ちていることがあります。これが、全員で挨拶をするときの「そろい」にも影響しています。

すぐに、もう一歩成長するための声かけをします。

なかなかいい声の響きをしています。心が入っていて、さすがです。でも、もうすぐ〇年生。もうひと声、響かせることができるかな。

ここで大切にしているのが、「できていない子」だけに声かけをするのではないということです。

残り50日は、まずいいところを認めてほめ、さらに上を目指すように仕向けていくように、「全員に」声かけをしていきます。

みんなでもう少し変わろう、自分たちはまだ変われると思わせることだと思うのです。

さらに、何日か後に、こんな声かけをします。

いいねえ。全員の声がよく響いています。すばらしいです。でも、まだ教室に入るときの姿、変わるなあ! 全員の目線が上に向くといいです。声と目。これがそろうと、心がもっと伝わってきます!

教室に入る姿。これを学級仕舞い期に、今一度「もう一歩の成長」を求めることで、学級の空気が変わります。

子どもたちも教師同様、初心に立ち返っていくからです。

もちろん、ランドセルをしまう姿、プリントをそろえる姿、授業中の姿勢など、ある程度できるようになっていることでも、どんどん「もう一歩の成長」を求める声かけをしていきます。そうすることで、今で満足しない、みんなで、もう少し成長して4年生になりたい、そんな空気が次々と生まれていくのを、強く感じることができます。

もう一歩の成長「時間意識」

4年生に向けての「もう一歩の成長」の試みに欠かせないのが、子どもたちの時間意識の再確認です。

例えば、次のような時間意識が、全員「そろっているか」を見直します。

・はじまり3分前を意識しているか
・チャイムの合図で動くのではなく、時間を見て動く姿になっているか
・「5分もある」という意識になっているか
・「時間の最後まで」全力を出しているか

これらを次のような場で、再確認します。

毎日の掃除始まり3分前を大切な準備時間としているか。さらに、時間いっぱい、最後の最後まで全力で掃除をしているか。もし、すき間の時間が5分あったら、すぐにやることを決め、取りかかることができるか。読書をしたり自学をしたりする時間に当て、無駄な時間をなくしているか。

時間意識が高まると、限られた時間の中で何ができるかを考え、動きます。もちろん、ここでも再確認をすると、甘くなっている姿を見ます。

そこで、できていることを認め、さらにもう一歩成長するように声かけをして、時間意識を高めていきます。

④学習面は「評価規準と基準」本で

学級仕舞い期に、常に手元に置いて見直している本があります。

評価規準と基準に関する本です。

(例)
・『観点別学習状況の評価規準と判定基準』(全教科/図書文化)
・『小学校教科書単元別到達目標と評価規準』(学年別/国語/日本標準)
・『小学校体育評価規準と評価の基準ABC』(東洋館出版社)
・『評価規準づくりの基礎・基本学力と成長を保障する教育方法』(明治図書)
・『評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料』(文部科学省国立教育政策研究所)

これらの本を紐解くのは、「学習指導要領の内容、内容のまとまりごとの評価規準に盛り込むべき事項や評価規準の設定例」が記載されていて、ひと目で、受け持ち学年の1年間の学力を確認するポイントをつかむことができるからです。

例えば、『観点別学習状況の評価規準と判定基準』には、光村図書・教育出版・東京書籍の教科書から「A 話すこと・聞くこと」「B 書くこと」「C 読むこと」に関するいくつかの単元が取り上げられています。

「A 話すこと・聞くこと」でいえば、「話し合って決めよう《わたしたちの学校行事》」という単元などが紹介されています。

この授業の中で、子どもたちがどんな状態であれば「十分満足」「おおむね満足」かが、表になっていて、一目で分かります。

これが、「学力確認」のひとつの指針になります。

残り50日の段階で、「おおむね満足」より上か下かという判断で、子どもたちの「学力」を再確認しましょう。

日々の再確認

その再確認の場は、やはり「日々の授業」の中がメインになります。

再確認の方法のひとつは「観察法」です。

子どもたちが学習活動をしている場面や課題に取り組んでいる場面を、先の評価規準・基準の本をもとに、観察します。

本を参考に「十分満足A」「おおむね満足B」「まだ甘いC」などを、座席表や補助簿などに記録しています。

授業のどの場面を、どの視点で観察するかを簡単に事前チェックしておくこともします。

これだけでも、子どもたちの現状がよく見えるようになります。

当然「観察法」以外でも、子どもたちの「学力」を日々再確認しています。

・「ペーパーテスト確認法」
・「作品確認法」

この2つの方法です。

ペーパーテストのメインは、市販テストですが、その他、自作のテストをいくつも作成します。自作テストを作成することで、子どもたちのここが見たいというポイントを絞ることができるからです(この時、評価規準・基準の本も役に立ちます)。

特に、現在進行形の学習だけでなく、過去の学習の様子を探るのに、自作のテストはもってこいです。

例えば、1・2学期の算数問題を10問入れた自作テスト。これを、朝学・夕学や授業の始まりにします。時間制限を設け、限られた時間の中でどこまでできるかを確認します。

よくできているところ、弱いところを再確認できるので、次の自作テストに生かすことができます。

もちろん、弱い部分を見つけたら、授業の中に「さかのぼりタイム」を少し入れて復習したり、「個別アドバイスタイム」を設けたりしています。

この時、生活面の場合と同じように、できていないことを責めるのではなく、できていることを認め、もう一歩頑張るともっと成長すると声かけをします。

よくできるようになったねえ。4月よりすごく成長している! あとここが確実になると、ばっちりだね。ここを自学などで復習するといいですね。

作品確認法では、学習の過程で作成されたものに「判定基準」を設け、「おおむね満足」「十分満足」などの確認をします。

例えば、図工作品、社会科新聞やレポート、理科の観察・実験記録、作文や日記、学習ノート、自学ノートなどから学力の再確認をします。

もちろん、でき上がった作品だけから学力の再確認をするだけではなく、作品づくりに取り組む姿も、しっかりと観察しています。

特に、学習ノートは、可能な限り、毎日全てを集めます。

子どもたちのノートの取り方から、学力の現状を垣間見ることができるからです。同時に、過去のページを見ることで、どのような変化を遂げているかの再確認をすることもできます。

さらに、子どもたちへの「声かけ」の場にもなります。

直接声かけする時間がなければ、ノートにコメントという形で、声かけをすることができます。ここでも、「もう一歩の成長」を伝えます。

ノートの取り方、抜群にうまくなったなあ。さすがです。さらに色の工夫をしたり、キーワードを自分でまとめて書いたりすると、もっといいノートになりますよ。

日々の宿題でさかのぼり再確認

三学期の宿題はさかのぼりを主にしています。

ここでも、自作宿題プリントが活躍します。

例えば、B4用紙の半分には、一・二学期の問題を書きます。残りの半分は、現在進行形の問題です。

時には、B4用紙の表面が「さかのぼり問題」、裏面が現在進行形の問題ということもあります。

この宿題プリントでは、さかのぼり問題でわからない問題があったら、教師か友達、保護者に聞いて解いていいということにします。

子どもたちには「聞くことは恥ずかしいことではなく、聞かずにわからないままにしておくことのほうが恥ずかしいことですよ」と伝えます。

もちろん、どの問題がわからなかったか、人に聞いたかの印をつけさせるようにしています。

そうすることで、子どもたちがつまずいているところを確認することができるからです。

つまずきを知ることで、先に書いた授業中の「さかのぼりタイム」を効率よく生かすことができます。

ところで、この宿題ですが、同じ問題を何回もやることがあります。特に、多くの子どもたちがつまずいていた問題は、何回も出します。

何回も目にすることで、この問題はつまずきやすいということを、子どもたち自身も強く意識するようになるからです。

個別アドバイスタイム

「5分学び教室」というのを朝・昼・放課後などに設定しています。5分という限定です。

直接子どもに声をかけて行うときもあれば、子どもたちのほうからお願いしますと来るときもあります。

この5分に、一人ひとりの弱い問題を一緒に解きます。その時、ここでミスをしやすいというポイントを伝えます。最後には、こんな風に声かけをいつもしています。

よく頑張るなあ。5分でも積もり積もれば力になるよ。弱いところも、しっかりとできるようになっているから、〇年生に向けて頑張ってね。

わずか5分。されど5分です。

5分で、子どもたちの学びの構えが変わります。顔つきまで変わります。これもまた「もう一歩の成長」につながります。

取材・文/ルル
イラスト/terumi 横井智美

『小三教育技術』2018年2/3月号より

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