図工の授業で、子どもの描いた絵がスカスカだった…! そんなとき、どうしますか?


「先生完成しました!」という声が聞こえて絵を見てみたら、明らかに描き込みが足らない余白の多い絵だった、なんてことありますよね。感性を育み、楽しく豊かな生活を送るための情操を育むこと。そんな図工教育の理念から、子どもたちに手を差し伸べたいと皆さんも思われるのではないでしょうか。そんなとき、どう声を掛けたらいいのか、ご提案したいと思います。
題字・イラスト・執筆/埼玉県公立小・中学校教諭 坂齊諒一
連載【いちばん楽しいアート】#12
1、まずは教師の声掛け不足として捉える
スカスカの絵が生まれるのは珍しいことではありません。それは当たり前です。児童は図工の授業で商業的な絵を描くわけではありません。自分の描きたいものを自分の表現で紙に表しているだけなので、構図もバランスもないのです。加えて、学習指導要領では、
『自分の感覚や行為を通して理解するとともに、材料や用具を使い、表し方などを工夫して、創造的につくったり表したりする』
『創造的に発想や構想をしたり、作品などに対する自分の見方や感じ方を深めたりする』
『つくりだす喜びを味わうとともに、感性を育み、楽しく豊かな生活を創造しようとする態度を養い、豊かな情操を培う』
とあります。我々教師が目指す図工の授業は、商業的にうまいと見える絵や技巧を凝らした絵を描かせるものでもないということを念頭に考えていきましょう。
図工の授業も言葉が大切です。教師からの「素敵を見つけた声掛け」
<参考記事:児童への図工的「ほめ言葉」をトレーニングして、楽しく自由な図工の授業をつくろう!>
をたくさん行うことで、児童が楽しく授業に取り組み、絵を完成させることが出来るはずだと考えています。そのため、スカスカの絵が生まれてしまった場合には、
●教師の声掛けが足らなかった
●その子が絵を紙一杯に描きたくなるような環境にすることが出来なかった
と捉えてみましょう。児童に原因がある、というようなスタンスで接してしまうと、児童も教師も成長の機会を逃すことになってしまいます。