小6国語「宇宙への思い」板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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大阪府公立小学校教諭

岡本美穂
連載 見やすく理解しやすい 京女式 単元別 板書の技術  バナー

今回の教材は、「宇宙への思い」です。本単元では、宇宙に関わる人たちの文章を読み、宇宙や地球の未来について考えたことを話し合うことをめざしています。本時では3つの文章を読み、それぞれの内容について考えます。そのため、共通点や違う点など視覚的に比較しやすい板書の工夫を紹介します。

監修/元京都女子大学教授
 元同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/大阪府公立小学校教諭・岡本美穂 

 

単元名 宇宙や地球の未来について話し合おう
教材名 「宇宙への思い」(東京書籍)

単元の計画(全6時間)

  1. 既習事項を確かめ、単元の学習の見通しをもつ。
  2. 「宇宙への思い」の3つの文章を読んで、それぞれの文章の内容を確かめる。
  3. 3つの文章をもとに自分の考えを広げる。
  4. (※と同様)
  5. 宇宙や地球の未来について考えたことを話し合う。
  6. それぞれの文章を読み、宇宙や地球の未来についてどのようなことを考えたかを振り返り、身に付けた「言葉の力」を確かめ、これからの学習に生かそうという意識を高める。

板書の基本 

この単元では、宇宙に関わる人たちの文章を読み、宇宙や地球の未来について考えたことを話し合うことを目標にしています。 5年生でも、多角的に捉えることをめざして「『弱いロボット』だからできること」を学習しました。この単元でも説明的な文章を比較するなどして読み、分かったことや考えたことを伝えることをめざします。

そのためにまず導入として、宇宙に関する仕事や研究にはどのようなものがあるのかを考えます。そして、これまでの学習を生かして3つの文章を読み、それぞれの人が経験したことやメッセージについて考えることで、自分の考えを深めることをめざします。

具体的には、「宇宙からのながめが教えてくれること」ということで、国際宇宙ステーションで働く油井さん、「食品からつながる宇宙」ということで、宇宙食や生活用品に関わる仕事をされている込山さん、そして「宇宙の生命の起源を求めて」ということで、リュウグウの石や砂の分析をされている薮田さんの3人の文章から、宇宙や地球の未来について考えたことを話し合います。最初は、

・初めて知ったこと
・興味をもったこと
・筆者が伝えたいこと
・仕事をする中で考えたことや気付いたこと
・宇宙に対する思い
・読み手へのメッセージ

など、多様な意見が出てきます。そこで板書では3人の「宇宙への思い」を分類して書くようにしました。そうすることで、筆者の主張やそれを支える根拠に立ち止まったり、複数の資料を読み比べたりすることができます。同時に意味を捉える、自分の考えをつくるなどの経験を想起させることを通して、これからの自分の生き方について考えるきっかけにもなるのではないでしょうか。

板書のコツ(2/6時間目導入

小6国語「宇宙への思い」板書の技術 2/6時間目導入の板書
2/6時間目導入の板書

板書のコツ

この単元の「付けたい力」を「三つの文章から伝わってきたことを話し合い、自分の考えをまとめよう。」であると子供たちと確認し、授業を始めました。毎回確認することで、子供たちだけでなく、教師自身も意識できるようになります。

板書のコツ(2/6時間目前半)

小6国語「宇宙への思い」板書の技術 2/6時間目前半の板書
2/6時間目前半の板

板書のコツ

めあては、「三人の筆者の『宇宙への思い』について話し合おう。」です。「宇宙への思い」の3つの文章を読んで、それぞれの文章の内容を確かめます。そのなかで、共通点や違う点など視覚的にも見やすいように3人の主張のポイントを子供たちの意見をもとにまとめていくことにしました。

板書のコツ(2/6時間目中盤)

小6国語「宇宙への思い」板書の技術 2/6時間目中盤の板書
2/6時間目中盤の板

板書のコツ

子供たちから出てきた意見のなかで、ポイントとなる言葉を板書していきます。何をどのように書くのかを悩むことも多いのですが、教材解釈をしていくなかで核になると思う言葉は板書計画で書くようにしています。今回では、油井さんは「地球の人々の協力」、込山さんは「宇宙の魅力をもっと多くの人たちに知ってほしいこと」、薮田さんは「地球が存在する価値、地球の素晴らしさ、尊さ」が板書計画の段階で大事にしたい言葉になっていました。

板書のコツ(2/6時間目後半)

小6国語「宇宙への思い」板書の技術 2/6時間目後半の板書
2/6時間目後半の板

板書のコツ①

その後、それぞれのポイントを赤色チョークで囲み、子供たちに発問しました。

「共通点は何ですか?」と聞くと、

・宇宙から未来について考えている。
・つながりが大事と考えている。
・どの筆者も「つながって」考えている。
・努力している。
・筆者ががんばって考えたこと、伝えたいことが書かれている。

という意見が出てきたので、真ん中に書きました。

また、違う点としては、

・油井さんは協力することが大事だと思っている。
・込山さんは、身近をよくするということを考えてほしいと思っている。
・薮田さんは、地球の存在の素晴らしさ、がんばることで新しい発見がある。

などの意見が出てきたのでこのように板書しました。

板書のコツ②

これまでの学習から考えたことを、それぞれの筆者ごとに比較できるようにすることで、共通点や相違点、またそれについての自分の考えを振り返りに書くことができるようにしています。

 

構成/浅原孝子

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