小4国語「言葉から連想を広げて」京女式板書の技術
今回の教材は、「言葉から連想を広げて」です。本単元では、「書くときに使おう」が目標になります。そのため、本時では、言葉から連想を広げる手順を経験させるような板書の工夫を紹介します。
監修/元京都女子大学教授
同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・酒井愛子
単元名:書くときに使おう
教材名:「言葉から連想を広げて」(光村図書出版)
目次
単元の計画(全2時間)
- 連想を広げて、詩を作る。
- 表現を工夫し、できた詩を紹介し合う。
板書の基本
〇「言葉から連想を広げる」ということを理解させるには、どのような学習活動があるのかということを考えました。まず、「言葉から」を考えると、物の名前や動きを表す言葉が思い浮かびます。次に「連想を広げる」から考えると、1つの言葉から思い付くことを書き出すという学習活動が考えられます。この視点で、教材を読むと考えの筋道が理解できるように構成されていることが分かります。
しかし、個別最適の学びの視点から考えると、どの子にも理解できるかということについては、丁寧な指導が必要であると考えました。
そこで、板書を効果的に活用する方法を取り入れました。その意図は、「教材の意図を子供自らが理解できる力を育てること」と「習得した力を生かして表現したいという意欲をもたせること」です。
そのために、最初の段階では、協働学習として、言葉から連想を広げる手順を経験させることが大事だと考えて、板書を工夫しました。教科書の筋道を離れて自力で学習できる耕しと位置付けたのです。
具体的には、教科書を自力で読む前段階に見方や考え方を育てておくことを大切にしたこと、そして、教科書を自力で読み、自らの力で学習活動を広げるということを意図した板書にしました。
板書のコツ(1/2時間目前半)
板書のコツ①
日付、題名を板書し、題名から考えたことを簡単にノートに書かせます。難しくて書けないという子に「分からなさ」を発表させ、「言葉から」と「連想を広げて」の意味を分かることが本時のめあてであることを補足し、めあて「連想を広げて詩を作ろう。」を板書します。
板書のコツ②
「まどみちお おふろあがり」を板書し、題名を考えさせます。子供たちからは「ほっかほか」「気分上々」などの意見が出ました。一通り意見が出たところで、「ニンジン」のカードを貼ると、子供たちは驚きの表情を見せていました。
板書のコツ③
まどみちおさんは、「ニンジン」からどのように連想を広げて「おふろあがり」という表現にたどり着いたのかを考えました。「にんじん」から連想する言葉をマッピングでまとめました。子供たちは連想を楽しみながら言葉を広げましたが、「おふろあがり」の言葉にはたどり着くことができませんでした。
「赤い」の言葉に着目した子供から「ほっぺた」と発言があり、「ほっぺた」「ほてっている」「ぽかぽか」などの言葉を結び付けるなかで、「おふろあがり」とつながるのではないかと、話し合いがまとまりました。
板書のコツ④
教科書の挿絵をもとに「うさぎのマイク」を考えました。うさぎの餌であるニンジンがマイクに見えるという意見を受けて、黄色チョークで「たとえ」と板書しました。また、「色」「見て」「おもったこと」「なりきって」などを黄色チョークで板書し、連想を広げる視点として指導しました。
板書のコツ(1/2時間目中盤)
板書のコツ①
「ニンジン」を読み返し、自分の力でも学習を進められるかどうかを考えさせました。
「広げる」ということの意味や学習方法を確認して、2つ目の例として「トマト」と題名を板書しました。「トマト」を選んだのは、「ニンジン」と似ているので、学習活動として子供たちに身近で分かりやすいと思ってほしいからです。
板書のコツ②
「ニンジン」と同じように「トマト」から連想を広げ、マッピングしました。「ミニトマト」「プチトマト」から「種類がいっぱい」と板書し、線で結びました。その他にも「赤い」「丸い」「おいしい」の発言を受けて、板書しました。
子供たちの連想が止まったので、トマトの写真を掲示し、写真から「たね」という言葉を導き出しました。ここで、「大家族」と詩を板書すると、子供からはまた、驚きの反応が返ってきました。子供たちは「どうして?」という疑問がわいていましたが、写真を見つめていた子供の「たねがいっぱいある」というつぶやきから、教室中に「大家族」という詩に対して、納得の空気感が広がりました。
板書のコツ(1/2時間目後半)
板書のコツ①
子供たちから「早く詩を作りたい」という声が聞かれたので、「連想を広げる」「(連想を)楽しむ」「思いつくままに(表現する)」「おもしろい表現(を考える)」という言葉を板書し、詩を創作する視点を示しました。
2つの詩「ニンジン」「トマト」から、めあてである連想を広げる、詩を作るをつないで、一行詩の耕しをしました。その過程で言葉から連想を広げるという言葉の意味をイメージさせることができました。
構成/浅原孝子