小1国語「どうぶつの赤ちゃん」京女式板書の技術
今回の教材は、説明文の「どうぶつの赤ちゃん」です。本単元では「比べて読み、他の動物の赤ちゃんとの違いについて交流する」が目標になります。そのため、子供が「くらべる」について理解し、どのように比べるとよいのかが分かるような板書の工夫を紹介します。
監修/元京都女子大学教授
同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・松下祐子
教材名 「どうぶつの赤ちゃん」(光村図書出版)
目次
単元の計画(全10時間)
- 全文を読み、大体の内容をつかむ。
- 初めて知ったことや不思議に思ったことを話し合う。
- 「生まれたばかり」のライオンとしまうまの赤ちゃんの様子を比べて読む。
- (※3と同様)
- 「大きくなっていく」ライオンとしまうまの赤ちゃんの様子を比べて読む。
- (※5と同様)
- カンガルーとライオン、しまうまの赤ちゃんの様子を比べて読む。
- 他の動物の赤ちゃんについて調べる。
- 他の動物の赤ちゃんとの違いについて交流する。
- 学習を振り返る。
板書の基本
〇1年生も後半を迎えました。4月と比べると、子供たちの成長の大きさに目を見張ります。子供たちの成長は国語科の授業という面から見ても、納得できることが数々あります。具体的には、文章が書ける、文章を読める、国語の授業をしっかり受けることができる、等々です。
〇一方、子供一人一人については、国語科における学力の開きを感じることが度々あります。ひらがなをしっかり書けない子、文章を読むときに文字をたどりながら読む子、話を聞いているように見えても発問の意味がよく理解できていない子、等です。
〇2年生への進級までに、子供が困らないようにしていきたいと考えています。そのために、本単元の最初は板書を活用し、次のことを大切にして、授業をします。
・学習用語として「くらべる」の言葉を覚えさせる。
・主語、述語の理解を通して、文を正しく読む。
・ひらがな、かたかなの文字を正しく読み書きができると共に、語句としてのまとまりで読めるようにする。
板書のコツ(3/10時間目前半)
板書のコツ①
日付、題名を書きます。
次に、めあてを板書します。特に「くらべる」という語句を正しく音読させます。
板書のコツ②
「ライオンの赤ちゃん」の段落のはじめの2文を板書し、子供にもノートに書かせます(ここでは句読点を含めて、文字を指導します)。
ノートを音読させ、書き写しの間違いがないかを確認します。
板書のコツ③
この文が、ライオンの赤ちゃんの「生まれたとき」の様子を説明していることを確認します(板書に線を引き、子供にも同じ活動をさせます)。
「この文は、」と板書し、次のカードを貼ります。
ライオンの赤ちゃんのようすです。
大きさは、です。
目や耳は、です。
そして、カードのに語句を入れて、発表することを伝えます。
正しく発表できるようになったら、ペア学習でライオンの赤ちゃんの生まれたときの様子を説明し合うことを指導します(話すこと、聞くことの指導を意図しています)。
「聞いてください」「同じことを言います」など、話し合いで使う言葉の指導も繰り返し行います。
板書のコツ(3/10時間目中盤)
板書のコツ①
しまうまの赤ちゃんの「しまうまの赤ちゃんは、生まれたときに、もうやぎぐらいの大きさがあります。目はあいていて、耳もぴんと立っています。」の文を板書します(このときにはノートに写させないで、板書しながら漢字の書き方や句読点などの大切なところを補足します)。
板書のコツ②
「くらべる」というめあての言葉を示し、「ライオンとしまうま」を比べる学習であることを理解させます。
しまうまのカードを貼り、比べているものについて考えさせ、ライオンと同じように、しまうまについてペアで発表させます。
板書のコツ(3/10時間目後半)
板書のコツ①
比べたことをまとめます。何と何を比べるのかを考えさせ、黒板に「◎くらべること」と書きます。そして、ワークシートを配付し、「くらべること」である「大きさ」「目」「耳」と書き込ませます。
板書のコツ②
授業のまとめの段階で、学習したことをまとめるために板書を活用します。1年生の子供は、板書の役割について理解していません。そのため、1年生の後半であるこの時期に、次のことを理解させることを目的に板書を活用しました。
①「めあて」をもとに勉強してきたことを確かめる(「めあて」を読ませる)。
②勉強してきた文を音読させ、学習の内容を思い出させる(教科書の語句を入れて、カードを読ませる)。
③ライオンとしまうまの赤ちゃんの違いを確かめる(表を読ませる)。
※このとき、誰の言った言葉が黒板に書いてあるかを発言させる方法もあります。
構成/浅原孝子