小4社会「伝統的な技術を生かす新宿区」指導アイデア
執筆/東京都小金井市立小金井第一小学校主任教諭・丸野陽子
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登
国士舘大学教授・秋田博昭
目次
年間指導計画
・都道府県の様子
・水はどこから
・ガスはどこから
・ごみの処理と再利用
・自然災害から人々を守る活動
・伝統文化を今に伝える福島県
・郷土の発展に尽くす-蚕当計(さんとうけい)を発明した中村善右衛門-
・伝統的な技術を生かす新宿区
・伝統文化を守り生かす台東区
・豊かな自然環境を生かす小笠原
・国際交流に取り組む大田区
目標
伝統的な技術を生かした産業が盛んな新宿区について、位置や自然環境、人々の活動や産業の歴史的背景、人々の協力関係などに着目して、地図帳や各種の資料で調べて年表などにまとめ、地域の様子を捉え、それらの特色を捉え、表現することを通して、新宿区では、人々が協力し、特色あるまちづくりや観光などの産業の発展に努めていることを理解できるようにするとともに、主体的に学習問題を追究・解決しようとする態度を養う。
評価規準
知識・技能
①新宿区の位置や自然環境、人々の活動や産業の歴史的背景、人々の協力関係などについて、地図帳や各種資料で調べて、必要な情報を集め、読み取り、伝統的な技術を生かした産業が盛んな地域の様子を理解している。
②調べたことを白地図や図表、文などにまとめ、新宿区では人々が協力し、特色あるまちづくりや観光などの産業の発展に努めていることを理解している。
思考・判断・表現
①新宿区の位置や自然環境、人々の活動や産業の歴史的背景、人々の協力関係などに着目して問いを見いだし、伝統的な技術を生かした産業が盛んな地域の様子について考え、表現している。
②特色ある地域の人々の活動や産業とそれらの地域の発展を関連付けたり、自分たちの住む地域と比較したりして、伝統的な技術を生かした産業が盛んな地域の特色を考え、適切に表現している。
主体的に学習に取り組む態度
①伝統的な技術を生かした産業が盛んな新宿区について、予想や学習計画を立て、学習を振り返ったり見直したりして、学習問題を追究し、解決しようとしている。
学習の流れ(10時間扱い)
問題をつくる 2時間
- 東京都でつくられている伝統工芸品の種類や場所を調べ、白地図にまとめる。
- 東京都の中でも染め物が盛んな新宿区に着目し、東京染小紋について生産の方法やそこに携わる人々などの疑問を話し合い、学習問題と学習計画を立てる。
(学習問題)
新宿区では、いつから、どのように伝統的な染め物がつくられ、受け継がれてきたのだろう。
追究する 5時間
- 東京染小紋がどのようにつくられていくのかを調べる。
- 職人の努力や思いについて調べる。
- 東京染小紋の歴史や現在の課題を調べる。
- 染め物を生かした新しい取組について調べる。
- 職人以外の人々の協力体制について調べる。
まとめる 3時間
- これまでに学習したことを振り返り、東京染小紋について紹介するパンフレットにまとめる。(2時間)
- 完成したパンフレットを基に東京染小紋や、地場産業を生かしたまちづくりをしている新宿区の特色について話し合い、学習問題に対する自分の考えを書く。
問題をつくる
東京都でつくられている伝統工芸品の種類や場所を白地図にまとめ、それらを基に話し合うことで、学習問題を設定する。(1、2/10時間)
導入のくふう
都庁や高層ビル、新宿駅などがある新宿区では、東京染小紋という伝統工芸品がつくられていることを資料から読み取ることで、東京染小紋の歴史や人々の取組の様子などに関心をもち、主体的に追究できるようにする。
1時間目
東京都でつくられている伝統工芸品の種類や場所を調べ、白地図にまとめる。
東京都にはどのような伝統工芸品があるかを調べ、白地図にまとめてみましょう。
調べてみると、東京都には41種類の伝統工芸品がありました。HPには、東京の伝統工芸品は、長い歴史の中で育まれ、時代を越えて受け継がれてきている「わざ」によってつくられていると書いてありました。
名前に「江戸」という名前が付く工芸品も多いですね。それは、東京が「江戸」と呼ばれていた昔からつくられていたからではないかな。どのようにして、今まで受け継いできたのか知りたいな。
東京都の伝統工芸品には、いろいろな種類があることが分かりましたね。次の時間からは、都庁がある新宿区でつくられている伝統工芸品のことを調べていきますよ。
※2時間目は、染め物が盛んな新宿区に着目して学習問題と学習計画を立てる。
新宿区では、いつから、どのように伝統的な染め物がつくられ、受け継がれてきたのだろう。
追究する
新宿区でつくられている東京染小紋について、製法、職人の思い、歴史、現在の課題などに着目して調べる。(3、4、5、6、7/10時間)
ICTを活用した調べ学習のくふう
染物工場や「東京染物語博物館」などを見学する活動や、1人1台端末を活用する活動を設定することで、実際の製法や職人の思いなどに着目して調べることができるようにする。
3・4時間⽬
東京染小紋の製法や職人の思いを調べる。
イラスト/(資)イラストメーカーズ