「キレる年寄り」にキレない技術…学校・家庭で使えるアンガーマネジメントとは

高齢化社会が進む中でも、多様な年齢層の人たちとよりよい関係を築きながら暮らしていきたいものです。しかし現実は、世代間ギャップからの相互理解の難しさを通してトゲトゲした感情が先立ち、相手の思いを尊重できない場面もあります。高齢者に見られがちなイライラを募らせた言動に対して、若年世代はどのように接していけばよいのでしょうか。『高齢者に「キレない」技術』を執筆した、アンガーマネジメントコンサルタントの川上淳子さんにお話を伺いました。

目次
高齢者の怒りにふり回されて悩む人たち
―川上先生は、幼稚園・小学校の教育現場に長く携わっていらっしゃった後に、アンガーマネジメントコンサルタントの道に進まれました。教師からアンガーマネジメント普及の道を目指された理由は?
川上 32年間公立小学校等で教員生活を送る中で、常に難しさを感じていたのが、「怒り」に対する対処法でした。子どもや保護者の怒りに対して、なんとか対応を試みるのですが、うまくいくこともあれば、うまくいかないこともありました。それは怒りのしくみや性質がわからず、経験則だけで対応していたからだとわかったのです。
しかし、アンガーマネジメントを身に付けてからは、怒りのメカニズムを考慮しながら適切な指導ができるようになりました。その後、もっと教育現場にアンガーマネジメントの手法を伝えたいと願うようになり、アンガーマネジメントの普及事業を立ち上げたのです。
―本書 『高齢者に「キレない」技術』 を書いたきっかけは?
川上 教師経験を踏まえ、子ども・保護者・同僚の怒りに対する対処法をまとめたのが2017年発行の『教師のためのケース別アンガーマネジメント』(小学館)でした。
出版された後、たくさんの反響をいただいたのですが、講演活動等を行う中で気がついたのが、高齢者の怒りにふり回されて悩んでいる方が非常に多いということでした。そこで、高齢者の困った言動に対し、アンガーマネジメントの手法を使ってどう対処するとよいのか、ケース別にまとめたのが『高齢者に「キレない」技術』です。
暴走老人という言葉がありますが、高齢になるとより頑なになり、キレたり、困った行動が多くなったりします。キレやすい高齢者とは関わりたくないと思っても、超高齢化社会の今、家族を含め、あらゆる場面で老人との接触機会は増えてきます。高齢者と良好な関係を築くためにも、アンガーマネジメントは大変有効な手立てとなるはずです。
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