小2国語科「みの回りのものを読もう」全時間の板書&指導アイデア

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国語科 令和6年度版 新教材を活用した授業づくりー文部科学省教科調査官監修の実践提案ー
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1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」
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文部科学省教科調査官の監修のもと、令和6年度からの新教材、小2国語科「みの回りのものを読もう」(光村図書)の全時間の板書例、発問、想定される児童の発言、ワークシート例、1人1台端末の活用例等を示した授業実践例を紹介します。

 小二 国語科 教材名:みの回りのものを読もう(光村図書・こくご二上)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/埼玉県上尾市教育委員会学校教育部指導課指導主事・𠮷野竜一
執筆/埼玉大学教育学部附属小学校・笠原雅広

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、身の回りには、言葉や絵などの使い方を工夫して情報を伝えるものがあることに気付いたり、どんな工夫がされているか考えたりすることを通して、大事な情報を読み取る力を育てていきます。

具体的には、身の回りの言葉や絵などを使って情報を伝えるものについて、児童同士でこれまでの自身の経験を振り返って共有し合ったり、どうしてその工夫がされているのかをみんなで話し合ったりする活動を取り入れて学習を進めることで、言葉のよさを感じられるようにしていきます。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

本単元では、身の回りの標識や看板などを探して、どのような工夫がされているか考えるという活動を位置付けます。

私たちの身の回りには、情報を伝えるものがたくさんあります。ときには、文字だけでなく色や形などが伝えようとしている内容を読み取ることもあります。しかし、生活の中では、それが何を伝えようとしているか、なぜそのような工夫をしているか、じっくりと考えることはありません。

そこで、児童との対話を通して、身の回りの情報を伝えるものを、言語として捉え直すことを丁寧に行うことで、重要なことを読み取る力を育んでいけるようにしていきます。

実際には、児童や学級の実態に応じて、学校の中や生活場面、町の中など、情報を伝えているものを様々なところから探すなど、子供の声を生かして共に学びをつくっていきましょう。

また、1人1台端末の写真アプリ等を活用することで、一人の児童が見つけたものをみんなで共有することもできます。

なお、教師自身も共に活動に参加し、見つけたものが何を伝えているのか考えたり、どんな工夫がされているか、子供と話し合ったりすることも大切です。児童の身近な存在である教師が学ぶ姿勢を見せることは、一番のお手本です。

身の回りの標識や看板などの情報を伝えるものが何を伝えているのか、どんな工夫がされているのかを考えるにあたっては、大人である教師でも、簡単に答えを見出すことは難しいと思います。だからこそ、大人も子供も共に学ぶ、そんな授業を心がけてやっていくとよいでしょう。

4. 指導のアイデア

本単元で身に付けたい指導事項は、知識及び技能(1)ア「言葉には、事物の内容を表す働きがあることに気付いている。」、思考力、判断力、表現力等C「読むこと」の(1)ウ「文章の中の重要な語や文を考えて選び出している。」です。

身の回りの情報を伝えるものには、文字だけでなく色や形など、様々な工夫がされています。それを言語化してみて、大事なことを読み取る作業を丁寧にやっていくことが大切です。

また、児童が、言葉が生活に根ざしているものであることを感じ、授業を終えた後も言葉のよさに気付いていけるようにしていきましょう。

「言葉や絵などを工夫して情報を伝えているってすごいな。」「これからも、生活の中でもっと探してみたいな。」というような姿が見られたら、大いに価値付けるチャンスです。このような主体的に学習に取り組む姿を称賛し、本単元で学んだことを生活につなげていくようにしましょう。

具体的には、まず、導入において、身の回りで言葉や絵などの使い方を工夫して情報を伝えているものについて、児童の経験を引き出すような問いかけを行います。
生活の中での経験を引き出して学習をスタートすることで、言葉は身の回りの生活に根ざしているものであり、全ての児童に関係するものであるという自覚を、ゆるやかにもたせていくとよいと思います。

展開の前半部分では、教科書の写真がどのような情報を伝えようとしているか、また、そのためにどんな工夫をしているのか考える活動を展開していきます。
まず、アが何を伝えているかを問いかけ、どこからそう思ったかという問い返しを行いながら、色使いや使われている場所といった情報を引き出していきます。

その際、写真についての説明を文字だけで表したものと比べ、どちらが伝わりやすいかを考えることで、工夫を実感することができるようにします。

次に、イからエは、それぞれ、どんな工夫がされているか問いかけ、同じように考えていきます。
また、どうしてそのような工夫をしたのかも一緒に考えていきます。

それぞれの写真や絵の工夫を、言語として捉え直すことを丁寧に行うことで、重要なことを読み取る力を育んでいけるようにしていきます。

展開の後半部分では、身の回りの標識や看板等を探して、何を伝えているか考える活動を展開していきます。子供たちの実態に応じて、1人1台端末を活用したり、他教科の学習と結び付けたりするなど、多様な学習展開が考えられます。

なお、ここでは教師も一緒になって活動に参加していきましょう。教師が学習を楽しんでいる姿を意識的に子供に見せることで、子供たちも対象に興味をもつことができたり、活動の見通しがもてたりするなど、主体的に学びに向かっていくことができます。

終末には、情報の伝え方を工夫するよさと、それに気を付けて大事なことを読み取るよさを考えることで、これからも、自分で伝え方を工夫したり、言葉の使い方に気を付けて大事なことを読み取ろうとしたりする意欲を高めるようにします。国語の学習だけでなく、他教科の学習や日常生活でも言葉のよさを感じさせる機会をつくっていくとよいでしょう。

5. 単元の展開(2時間扱い)

 単元名: せいかつの中で読もう「みの回りのものを読もう」

【主な学習活動】
第1時
① 教科書の写真がどのようなことを伝えようとしているかを考え、話し合う。

第2時
② 身の回りの標識や看板を探して、何を伝えているかを考える。〈 端末活用(1)〉
事後…生活の中で標識、看板などを見つけたら、その工夫の解説と共に児童が発表・掲示できるようにし、言葉のよさについて共有する場面を設定する。

全時間の板書例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例

イラスト/横井智美

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