【相談募集中】民間企業から教職へ。まずは講師として経験を積んだほうがいいのでしょうか?
民間企業で働きながら教師を目指す方から「みん教相談室」へ相談が寄せられました。講師などの経験がないまま、いきなり教師として働くのはハードルが高すぎるのではないかと不安に感じているそう。これに回答をしたのは、同じく民間企業から転職をして現在は東京都の公立小学校で働く谷口大樹先生。その内容をシェアします。
目次
Q. 講師経験を積んでから教師になったほうがいいのでしょうか?
今年38歳になる、民間企業で働きながら通信制大学にて中高保体の免許取得を目指し、今年初めて教員採用試験を受験している者です。2つの自治体の二次試験を終え、あとは結果を待つのみという状況です。
ここで心配事の一つとして、講師経験がない状態でもし採用試験に合格して教諭として働き始めた場合、様々な意味でハードルは高いのではと感じております。やはり講師経験を積んでから教諭になるという順序がいいのでしょうか。
結果も出ていない状況、また受けている中でのこの内容の質問で申し訳ございません。アドバイスやお考えをいただけますと大変助かります。 よろしくお願いいたします。
(uchi・30代男性)
A. 高い志をもつあなたなので、早く教師になることを私は願います
民間企業で働きながら、挑戦する志に敬服いたします。私も同じく転職し、教師として学校教育に飛び込みました。理想に心を燃やす一方で、漠然と不安になる複雑な心境を経験しました。相談者の方も同じような思いなのかもしれません。
結論から言うと、早く教師になるのがいいと私は考えます。その理由は二つあります。
一つ目は相談者の方の志が高いからです。働きながら、通信制大学に通うという時点で大きな決断をされています。それほど高い志と行動力をもつ方であれば、早く現場で教師として実践を重ねてほしいという私の願いもあります。
二つ目は相談者の方にはすでに社会人経験者という大きなアドバンテージがあるということです。急に教員として働くのはハードルが高いと感じられているようですが、それは新卒の教師も同じこと。それに比べ、相談者の方は民間企業のなかで業務内容、人間関係など、様々な難題や変化をその都度解決してきた経験があります。これは大きなアドバンテージです。
講師の経験を積むことで、指導技術が向上したり、学校の仕事環境に慣れるというメリットはあるでしょう。しかし、大きな志をもって挑戦し、教師になる覚悟をされたのであれば、小さな差であると思います。
とはいえ、転職して教師になることは大きなチャレンジです。一番大切な心構えは「謙虚であれ」ということだと思います。
相談者の方は教師としては初任者となり、あなたより年齢が若い方も全員が先輩です。言葉づかいや態度に気をつけてコミュニケーションをとることが大切です。初任者は教材研究の時間を確保するために、校務分掌が大きく軽減されます。その分は先輩たちが負担しています。いわゆる「難しいクラス」や「配慮が必要な児童」も先輩が受け持ってくれています。自分の仕事が順調だとしても、それは先輩たちのおかげであると知り、感謝の気持ちを忘れないようにしたいものです。
学校現場で仕事をすると、理想とのギャップや古い慣習に対して批判したくなることも多いと思います。社会人経験者として「新しい風を吹かせる」という役割が期待されていますから、意見を述べることは大切なことです。しかし、学校にはその学校特有の事情があり歴史があります。そういった背景を理解し、敬意をもって丁寧に伝えることを心がけたいものです。
業務のGIGAスクール構想の急速な推進など、学校教育は大きな転換期を迎えています。だからこそ、社会の大きな変化のなかで悪戦苦闘してきた「社会人経験者」の力は貴重です。教師の仕事は日本の未来を作る誇り高い仕事です。一緒にチャレンジしていきましょう!
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