【相談募集中】集中力を途切れさせることなく、図工を楽しませるためにはどうすれば?
図工の授業中、事あるごとに教師の言葉に反応し、意見をしてくる小四男児。対応すればするほど男児の集中が途切れ、授業から気持ちが離れてしまうそう。この改善策への相談が「みん教相談室」に寄せられました。回答したのは、現役教員として小・中学校の図工を指導しながら、プロイラストレーターとしても活躍している坂齊諒一先生。その内容をこちらでシェアします。
目次
Q. 子どもを図工に集中させるためにはどうすれば?
図工の授業中に小学4年生の男子ひとりが、何かと言葉を返してきます。注意してもまた言い返してくるので、怒るときもあります。そのときはそれで落ち着くのですが、また続くのでどうしたらよいのか分かりません。注意を繰り返すほどその子も図工から気持ちが離れてしまうので、その子が図工に集中できるよう改善したいと思います。 アドバイスしていただけると助かります。
(図工好き・40代男性)
A.「図工=自由に表現できる楽しい時間」という雰囲気づくりを!
日ごろからご指導お疲れ様です。該当児童(以後A君)のふだんの様子や性格、家庭環境など分かりかねますので、それらは加味せずに、あくまでも「授業に集中できないこと」「気持ちが離れないようにすること」に絞って回答させていただきます。
図画工作の授業は技術を高める時間ではなく、あくまでも「自分の表現したいもの」を「自分のやり方」または「自分が求めたやり方」で作る時間です。私も図工を指導しているとつい技術面に目がいってしまいがちですが、そこはグッと我慢しています。
基本、教師側は「図工の時間が楽しいな」という雰囲気を作り、そして自分が一番楽しむくらいの気持ちで一緒に絵を描いたり作品を作ったりすることをお勧めします。A君が言葉を返してくることの前に、どのような会話や様子があったのかによって対応が変わると思います。
A君がそもそも絵を描いていないので描くように促す、という会話があった場合
A君がなぜ絵を描かないのか原因を探る必要があります。「なぜ描かないの?」「こうやって描いてみたら?」というような教師主体の話の進め方ではなく、「絵を描くことに不安があったりする?」「何か気になることがある?」と、その子の悩みや気持ちを聞き出してみましょう。重要なことは、原因が分かったとしても相手の話を聞き続けることです。そして、自分で今後の行動を決めさせるとよいでしょう。
A君の絵に先生がアドバイスをした、という会話があった場合
教師側からの「ここをこういう風に描いてみたら?」というアドバイスはお勧めしません。児童の絵に対するアドバイスは求められたときだけ行うとよいでしょう。求めていないアドバイスは、自分を含めあまり聞きたくないものですからね。
もし、「もっと絵を描いてほしい」「アドバイスをしたい」と考える場合は、前段階の会話として「絵を見たら先生はこんな様子が思い浮かんだよ」「絵を見たらこんな気持ちになったよ」「どんな気持ちで描いたの?」など、気持ちの変化についての会話をするとよいでしょう。例えばですが、
ずいぶんと楽しそうな笑顔の子が沢山いるね!これは何をしている様子を描いたの?
夏休みに海に行って、いっぱい泳いでいる様子を描きました
そうなんだ!この絵を見たらみんな海に行きたくなっちゃうね。しょっぱい感じも伝わってくるねえ!
という簡単な会話を2、3言交わしてその場をすぐに去ります。この会話があるだけでも「指導」という雰囲気が薄まって、児童が絵を楽しむ雰囲気が生まれやすくなります。また、児童が描き方に困ったときに、先生に声を掛けやすくなります。
詳しくは私の書いた記事に載っています。よかったらご覧ください。
こちらの記事もご覧ください↓
いちばん楽しいアート「適切な声掛けで、図工の授業を最高に楽しい表現活動の場にしよう!」
子どもたちの為によりよい指導を追い求めるその行動力に脱帽いたします。私の回答が少しでも役に立てば、という思いで書かせていただきました。まだまだ2学期は始まったばかりです。お体に気を付けてください。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。