小6理科「月と太陽」指導アイデア
執筆/福岡県福岡市立志賀島小学校教諭・北藍子
監修/文部科学省教科調査官・有本淳
福岡県福岡市立南片江小学校校長・酒井美佐緒
福岡県福岡市立東吉塚小学校校長・杉原賢太郎
目次
単元目標
月と太陽の位置に着目して、これらの位置関係を多面的に調べる活動を通して、月の形の見え方と月と太陽の位置関係についての理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、主により妥当な考えをつくりだす力や主体的に問題解決しようとする態度を育成する。
評価規準
知識・技能
①月の輝いている側に太陽があることを理解している。
②月の形の見え方は、太陽と月との位置関係によって変わることを理解している。
③月の形の見え方について、観察、実験などの目的に応じて器具や機器などを選択して、正しく扱いながら調べ、それらの過程や得られた結果を適切に記録している。
思考・判断・表現
①月の形の見え方について、問題を見いだし、予想や仮説を基に、解決の方法を発想し、表現するなどして問題解決している。
②月の形の見え方について、観察、実験などを行い、月の位置や形と太陽の位置との関係について、より妥当な考えをつくりだし、表現するなどして問題解決している。
主体的に学習に取り組む態度
①月の形の見え方と太陽との位置関係についての事物・現象に進んで関わり、粘り強く他者と関わりながら問題解決しようとしている。
②月の形の見え方について学んだことを学習や生活に生かそうとしている。
評価計画
総時数 6時間
第1次 月の形とその変化を調べる。
1 午前中に見える月について、その形の見え方や位置と、太陽との位置関係を調べる。(授業の詳細1-①)
思考・判断・表現①
月の形の見え方について、問題を見いだし、予想や仮説を基に、解決の方法を発想し、表現するなどして問題解決している。〈発言分析・記述分析〉
2 2~3日後、同時刻に観察し、月の形の見え方や位置と太陽との位置関係を調べる。(授業の詳細1-②)
知識・技能①
月の輝いている側に太陽があることを理解している。〈行動観察・記述分析〉
知識・技能③
月の形の見え方について、観察、実験などの目的に応じて器具や機器などを選択して、正しく扱いながら調べ、それらの過程や得られた結果を適切に記録している。〈行動観察・記述分析〉
3 太陽と月の位置関係で月の形の見え方が、どのように違って見えるかをモデル実験で調べる。
思考・判断・表現②
月の形の見え方について、観察、実験などを行い、月の位置や形と太陽の位置との関係について、より妥当な考えをつくりだし、表現するなどして問題解決している。〈発言分析・記述分析〉
4 「ボールの明るい部分の形の変化」と「電灯とボールの位置関係」から、実際の「月の明るい部分の形の変化」と「月と太陽の位置関係」を捉える。
知識・技能②
月の形の見え方は、太陽と月との位置関係によって変わることを理解している。〈発言分析・記述分析〉
第2次 月と太陽の表面の様子を調べる。
5 月や太陽の表面の様子などを、本やコンピュータや映像資料を使って調べる。
主体的に学習に取り組む態度①
月の形の見え方と太陽との位置関係についての事物・現象に進んで関わり、粘り強く他者と関わりながら問題解決しようとしている。〈行動観察・発言分析・記述分析〉
6 太陽と月の様子を観察する。
主体的に学習に取り組む態度②
月の形の見え方について学んだことを学習や生活に生かそうとしている。〈行動観察・発言分析・記述分析〉
授業の詳細1-①
第1次 月の形とその変化を調べる。
1 午前中に見える月について、その形の見え方や位置と、太陽との位置関係を調べる。
午前中に見える月と午後に見える月を観察し、月の輝いている側には太陽があることから、月の形の変化の規則性の予想や仮説を発想し、表現できる。
①問題を見いだす
月を観察することができるように、月の形の見え方について事前に調べておく必要があります。群馬県立ぐんま天文台のホームページから、昼間に月が見える日程を調べることができます。
子ども達の生活には昼間の月は直接的な関わりがなく、変化について関心が高い方ではないと考えられます。日程をよく確認し、実際に見る活動は必ず取り入れましょう。
月の写真を見てみましょう。
この月は満月だね。
この月は三日月だよ。どの月も綺麗だね。
半月は四年生の時に観察しました。
実は、今この時間も空に月が見えていますよ。
昼間に月が見えるとは知らなかったよ。どのように見えているのかな。
昼間の空に月はどのように見えているのだろうか。
②予想する
四年生の時に観察したように、半月があると思う。
今は太陽が明るすぎて見えないと思うよ。
細い線のように見えたこともあったな。
③解決方法を考える
方角と、空にほかに何が見えたかも観察しておこう。
空に太陽もあるから、書いておこう。
④観察をする
午前中に見える月について、その形の見え方や位置と太陽との位置関係を、撮影したり観察カードを記入したりして調べ、問題を見いだすようにする。
月をよく見ると、白く輝いている方に太陽があるね。
別の日にも観察してみたほうがいいね。
子どもたちがICT端末を使って昼間の月を撮影する場合には、まず撮影する場所・方角を決めること、そして、月だけでなく目印になる建物なども撮影できるようにします。撮影した後、忘れずに太陽の位置をペイントツールなどで書き込むように声をかけましょう。写真で撮影しておくと、月の拡大が容易にできるので、形の変化にも気づきやすくなります。 また、学校の周りの障害物によっては月が見えない場合もあるので、事前にどこで観察できるのかを確認をしておきましょう。(安全指導)
【撮影のポイントをまとめたサイト(参考)】
熊本大学教育学部 渡邉重義教授のホームページ
・天体学習の支援教材
・~月の表面の写真 昼間辺~
▶結果の処理等は次の時間に行います。
授業の詳細1-②
第1次 月の形とその変化を調べる。
2 2~3日後、同時刻に観察し、月の形や位置と太陽との位置関係を調べる。
観察結果を基に考察する際に多面的な考え方を働かせられるように、予想を基に数日間同時刻で観察することができるように日時を設定します。(ポイント①参照)
①問題を見いだす
数日経ったけど、月の形の見え方に違いはあるのかな。
何日かたつと、月の形の見え方はどのように変わるのだろうか。
②予想する
3年生のときに調べた太陽の動きは、「東から南を通って西」と決まっていたから、いつも同じように光が当たっていて変わらないと思う。
4年生の時に半月を調べた時は、その何日か後に満月が出たから、だんだん太くなっていくと思う。
午前中に見える月について、その形や位置と太陽との位置関係を、撮影したり観察カードを記入したりして調べ、問題を見いだすようにする。
⑤結果の処理
観察カードや写真を第1時と本時とで、比べて提示する。
⑥結果を基に考察する
多面的に考え、より妥当な考えをつくりだすことができるように、複数の観察から得た結果を板書に示し、それを基に考察できるようにします。また、「月の形の見え方が日によって変わって見えるのは、月と太陽との位置関係が変わるからではないか。」といった気付きや、振り返りの記述などを取り上げましょう。
よく見ると2日後の月の形が少し変わっているようだね
やっぱり太陽のある方がいつも輝いているみたいだね。
⑦結論を出す
月の輝いている側に太陽がある。同じ時刻の太陽の位置はほぼ変わらないが、月の位置は日によって変わり、月の形も変わって見える。
⑧振り返る
いつも太陽が左側にあるのに、月の形が日によって違うのはどうしてだろう。
夜は太陽がないのにどうして光って見えるのかな。
3日間観察すると、太陽と月の位置関係がはなれているよね。
最後に授業のまとめとして、「月の形の見え方が日によって変わるのは、月と太陽の位置関係が変わるからだろうか」という問題を確認します。
安全指導
実験にあたっては、次のことを確実に指導するようにしましょう。
●月を撮影する際には、太陽を見ないように方角を確認しましょう。
●撮影するときも、レンズを太陽に向けたり、太陽を直接見たりすることがないようにしましょう。
イラスト/難波孝