小学国語「構造的板書」の工夫とコツ|イメージマップを活用する
スッキリした分かりやすい構成で、子どもたちに伝わりやすい板書の書き方を目指す本シリーズ。今回は、小五の国語の「百年後のふるさとを守る」「じゅく語の構成を知ろう」をテーマに、イメージマップや知識を主体的に活用できるようにするための構造的板書について解説します。
執筆/大阪府公立小学校教諭 ・樋口綾香
目次
国語スキル1:イメージマップ
「マインドマップ」というのを聞いたことがあるでしょうか。イギリス人であるトニー・ブザンが1960年代に提唱したノート術です。真ん中にテーマを書き、そこから連想される言葉を書いて、線でつないでいきます。書いたことがある人も多いのではないでしょうか。
マインドマップは、書いたことをグルーピングしたり色を多用したり、絵を描いたりします。そうすることでよりアイディアが出やすくなるというのがメリットです。しかしグルーピングや色を使うことは、じっくり考えたいときには効果的ですが、ひらめきや発想を促したいときには向いていません。そのようなときには「イメージマップ」が有効です。
イメージマップも書き方はマインドマップと同じです。ただ、色を変えたり絵を描いたりせずに、言葉だけを書いて線でつないでいきます。
「百年後のふるさとを守る」(光村図書五年)
伝記を読んで、自分の生き方について考えるのがこの単元の目標です。伝記を学習するのは五年生で初めてになりますが、既に学習漫画等で伝記に触れてきている子供も少なくありません。
そこで、伝記について知っていることをイメージマップによって短時間で思い出させます。イメージマップを書くときの約束事として、「思いついた言葉はとにかく書くように」と伝えましょう。これは、観点を多く出させて、共通点を全員で見つけ出すためです。そうすると、伝記の特色の片鱗が表れてきます。
次に、伝記の特色を理解するために、伝記の比べ読みをします。このときには、二段対応表を使って、イメージマップに出てきた観点を基にそれぞれの作品の本文を読むようにしました。ペアやグループで協働的に学習することで、より主体的に内容を読もうとする子が増え、対話が活発になるでしょう。
二つの作品の共通点や相違点を問えば、「伝記の特色」と「『百年後のふるさとを守る』の特徴」が明らかになります。これらを次時に活かしましょう。
国語スキル2:知識を活用する構造的板書
知識を獲得するのが主な目標である小単元では、授業が教師からの一方的な知識注入型になりがちです。知識をきちんと教えることはもちろん大切ですが、教えた知識が確実に使えるように、短時間で技能を身につけたり、場合に応じて使い分ける思考力・判断力・表現力をつけていくことはより重要です。
板書を工夫することで、子供たちが学習の見通しをもちながら、知識を主体的に活用できるようにする方法があります。
黒板を横に3つに分ける
黒板を3つに分け、上から順に、知識を教える場、それらの例を示して使い方を知る場、自分で判断して表現する場とします。そうすれば、黒板を見たときに、上から順に学習を進めたことと、自分の知識が増えたことで国語力が身についたことを客観的に理解することができます。
「じゅく語の構成を知ろう」(東京書籍五年)
二字以上の漢字を組み合わせてできた熟語がどのような構成になっているかを知る単元です。構成は、漢字一つ一つの意味を考えたり、訓読みしたりすることで理解できます。
具体的な授業の流れ
- めあてを確認する。
- 5つの熟語を提示し、熟語の構成を考える。
- 5つの熟語の構成の種類を上段に書いて確かめる。
- 中段で例を示し、全員で確認する。
- 子供は、国語辞典で熟語を調べたり、知っている熟語の構成を考えたりして、中段に書く言葉を増やす。
- 下段にいろいろな構成の熟語を短冊にして教師が提示する。フラッシュカードのように示して、全員で読んでおく。
- 教師が提示した熟語が5つの種類のどれにあてはまるか、個人やペアで考え、ノートに記述したあと、全体で答えを確かめる。
- 国語辞典を使って熟語の構成の問題づくりをする。
『小五教育技術』2018年12月号より