小5国語「詩を味わおう(かぼちゃのつるが)」京女式板書の技術
今回の教材は「詩を味わおう(かぼちゃのつるが)」です。この単元では、「比喩・反復などの表現の工夫に気付き、その効果を考えること」を意識します。詩の全体像を具体的に想像したり、表現の効果を考えたりすることで、詩を深く味わうようにします。詩の全文を視写することにより、比喩や反復などを分かりやすくするような板書の工夫を紹介します。
監修/元京都女子大学教授
同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教頭・砂崎美由紀
教材名 「詩を味わおう」(光村図書出版)
目次
単元の計画(全2時間)
- 「かぼちゃのつるが」を音読し、全文を視写し、表現の効果を考える。
- 「われは草なり」を音読し、全文を視写し、表現の効果を考える。
板書の基本
〇「かぼちゃのつるが」と「われは草なり」は、どちらも繰り返しの表現が効果的に使われています。この単元では、比喩・反復などの表現の工夫に気付き、その効果を考えることを意識します。可視化された反復は、子供たちがだれでもたやすく見付けることができます。詩の全体像を具体的に想像したり、表現の効果を考えたりすることで、詩を深く味わうことになるでしょう。
板書では、全文を視写することで、交互に繰り返す、2回ずつ繰り返す、ペアになって繰り返す、修飾する言葉が付いて繰り返すなどの反復を見付けます。また、子供のノートに視写させる手引きとなるよう、「ひとマス分、空ける」などの指示をしながら、子供たちといっしょに板書します。
〇詩の全文を黒板いっぱいに書きます。18行の詩のため黒板の中央あたりに9行目を書くように、少し行間を空け、後で書き足すことができるように板書します。本文はいつも白チョークで書くことにしています。子供はノートに同様に書きます。黒板の下部には、見付けたことや読み取ったことを書き加える予定であることを子供に伝えます。2回繰り返しを意識し、縦・横の文字の配置もそろうように心がけます。
板書のコツ(1/2時間目前半)
板書のコツ①
授業の始まりは、音読からです。繰り返しが何度もあることを音声で確認します。その後、本時の学習のめあてを板書します。今日は、「繰り返し」などの表現の効果を考えることを確認します。
詩の全文を視写することを指示します。まず、題名と作者名はそれぞれ1行ずつ使って書くことを指示します。マス目ノートを使っている場合は、題名は3マス空けてから書くこと、作者名は次の行の下方に書くことを指示します。年間を通して同様のノート作りをすることで、子供は安心してノート作りができます。
詩の本文は、すべての行を1字下げたところから書くように指示します。マス目ノートの場合、各行のひとマス目を空けます。黒板には、黄色のチョークで□を書きます。この黄色いチョークのマークは「ノートの書き方についての指示」ですので、子供にはノートに書く必要がないことを伝えています。
板書のコツ②
次に、詩を読み、各自で見付けたことをノートに書きます。1人学習の時間です。筆箱には3色ボールペン(赤・青・緑)を入れていますので、子供たちは見付けた繰り返し部分に、色を分けて線を引いています。3色に色分けしなくても、鉛筆で波線や2重線など違いを付けるのもよいでしょう。
1人学習の後、ペア学習をします。どんなことを見付けたのかを確かめる時間を設けました。「はい上がり」「葉をひろげ」に線を引いていることが確かめられました。板書にも黄色チョークと青チョークで線を引いた後、繰り返しを意識して音読しました。これまでの学習で、繰り返しのところを音読する際には、1回目と2回目で違う読み方をしてみたくなる子もいるでしょう。2回目の声を強く音読する子が多くいました。
板書のコツ③
ペア学習のときに、教師が机間指導をしました。その際、教科書の挿絵を活用しているのを見付けました。かぼちゃのつるを指さしながら2人が話し合っていました。学習方法を共有することを目的に、教師は黒板に「かぼちゃのつる」の絵を描きました。それをきっかけに、さらに近くの友達と話し合う時間をとり、つるや葉の具体物を提示しながら「繰り返し」の効果を考えさせました。このように、ペアや小グループでの話合いでは、自分の考えと友達の考えを交えることができます。その後、全体で発表する時間をもちました。
全体の発表では、次のことが話題になりました。
〇2・3行目の「はい上がり」の繰り返しでどんな感じがするかを問うと、「かぼちゃの縦の生長」を表しているという意見が出ました。2回繰り返すのは、それだけ伸びている感じがするという考えです。また、同じ表現からでも「複数のかぼちゃのつるが競い合うように伸びている様子」を表しているという意見も発表されました。
〇4・5行目の「葉をひろげ」の繰り返しは「かぼちゃの横の生長」を表しているという意見が出ました。「葉が大きくなっていっている」ことを表しているという考えもありました。
〇6・7行目の繰り返しでは、2回ずつの繰り返しとは違って、どんどん生長していく感じがするから、「かぼちゃの生長の継続」を表しているという意見が出ました。別のグループからは、「繰り返すことで勢いが増している」という意見でした。
いろいろな考えや感じ方が出てくると、もっと話し合いたくなるようでした。このあと、もう一度近くの友達と話し合う時間をとりました。
板書のコツ(1/2時間目後半)
板書のコツ①
授業の中盤では、子供たちの話し合う内容が、詩の後半に広がりました。繰り返し(反復)以外の詩の技法を見付け、発表しました。詩の技法は赤いチョークで書くようにしていますので、今回も同様に板書しました。また、この詩には句読点がないと発表した子供から、これは1つの文のようだとの意見が出ました。
では、主語は何で、述語は何かという疑問が出ました。「詩の1行目が主語で、つるの様子がずっと表されていて、止まることも休むこともなく、竹や屋根を頼りに、足場を固めてさらにまだ伸びようとしている」という意見が出ました。
さらに題名と1行目がいっしょであることに着目した子供もいました。題名に「つるが」とあることで、引き付けられることや、つるがどこまでも伸びていく感じがする、などの考えもありました。子供たちが想像したり読み深めたりすることは、すべて表現の効果であることを確かめました。
学習の最後には、一人一人が「学習の振り返り」をノートに書きます。振り返りを書くときに使うキーワードを示します。この授業で押さえるべきポイントは、学習のはじめに確かめた「めあて」です。本時は、詩の技法・繰り返し・効果と提示しました。これらをキーワードとして示し、自分たちの学習を振り返り、学習で読みが深まったことを認識します。また、自分の考えとは違う考えに出合ったことで、学習の広がりについても知ることができるでしょう。1時間で自分が変わったことを知ることが、主体的な学習のさらなる動機付けとなります。
構成/浅原孝子