小2国語「あったらいいな、こんなもの」板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、「あったらいいな、こんなもの」です。本単元の目標は、「相手の考えを引き出す質問をしよう」です。そのため、質問の内容や質問の仕方について捉えやすい、よい質問の仕方や相手が話しやすくなる聞き方についての気付きが出るような板書の工夫を紹介します。

監修/元京都女子大学教授
 同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立小学校教諭・園田萌(せせらぎの会)

 
単元名 あいての考えを引き出す しつもんをしよう
教材名 「あったらいいな、こんなもの」(光村図書出版)

単元の計画(全7時間)

第一次 学習課題を設定し、学習の見通しをもつ。(1時間)
 学習課題と「といをもとう」を確かめ、学習の見通しをもつ。
第二次 友達と質問し合い、「あったらいいな」と思うものについて考えをまとめる。(5時間)
 「あったらいいな」と思うものを考えて、絵に描く。
 友達の考えを詳しく知るための質問の仕方を考える。
 友達とペアで質問し合う。
 質問や聞き方を工夫して質問し合い、質問されて答えたことを自分の考え(絵)に付け足す。
 発表の準備をする。
第三次 「あったらいいな発表会」をして、学習を振り返る。(1時間)
 グループで「あったらいいな発表会」をする。

板書の基本

「質問の内容」とそれに対応する「質問の仕方」を捉えやすくする思考ツールを活用した板書

道具の絵から詳しく知りたいことを書き出し、「質問の内容」とそれに対応する「質問の仕方」を捉えやすくするために、ウェビングマップを活用します。また、それぞれの「質問の内容」と「質問の仕方」の色をそろえることで、子供同士で質問し合う活動の際に、知りたい内容に合った質問の言葉を選びやすくします。

さらに、今回の板書は、カードを活用します。カードを活用することに3つの意味があります。

①同じカードを本単元の授業(3・4・5/7時間目)で使う。
②黒板に貼ったり外したりできることを生かしてカードを子供の目の前に持っていき指導できる。
③「話すこと・聞くこと」のカードを掲示に使い、他の教科でも使えるようにする。

カードだからこそ、話すこと・聞くことに活用できます。

〇子供の学習活動を通して学習内容を付け足していく板書

子供同士で相手の考えを引き出すために質問し合い、その活動を振り返ることで、よい質問の仕方や相手が話しやすくなる聞き方についての気付きが出てきます。子供の考えを板書に書き足し、全体で押さえることで、さらに質問の仕方や話の聞き方を工夫できるようにします。

板書を活用した授業の進め方(3/7時間目)

「あったらいいな、こんなもの」3/7時間目の板書
3/7時間目の板書

1 本時の学習のめあてを確かめる

月日・教材名を板書します。次に、前時に考えた「あったらいいな」(絵に表したこと)を振り返り、本時のめあて「ともだちの考えをくわしく知るためのしつもんのしかたを考えよう。」を板書します。

2「あったらいいな」と思う道具の絵について、知りたいことを出し合う

「あったらいいな」と思う教科書の絵を黒板の中央に貼り、その絵について知りたいことを発表させます。子供の発言から、名前やできること、色、形などについてウェビングマップを使って整理していきます。どんなことを知りたいかという内容を明確にし、知りたいことを押さえます。具体的には次のような展開になります。

例:「何ができるのか知りたい」→「できること」
  「なんであったらいいなと思ったのか知りたい」→「あったらいいなと思ったわけ」

知りたいことは、内容ごとに色分けしながら丸で囲みます。また、できることは「はたらき」、色や形、大きさは「つくり」という内容であることを確認し、それぞれ色チョークで板書します。

3 知りたい内容を質問の言葉に表す

子供たちの発言から、知りたい内容ごとに質問の仕方を以下の手順でまとめ、知りたいことに対応する「質問の仕方」を指導します。

①知りたい内容ごとに、子供の発言をもとに質問の仕方を確かめ、短冊カードに書く。
②知りたい内容ごとに分けていたチョークの色に合わせて、質問の仕方の疑問詞の部分に同色の下線を引く。
 ※知りたい内容に対して、「どうして」や「なぜ」のように質問の仕方が複数あることを押さえる。
③ 知りたい内容の横に、短冊カードを貼る。

短冊カードは、4/7や5/7時間目の質問し合う学習活動でも活用します。
最後に、教科書92ページの二次元コードの質問する様子の動画を見て、質問の仕方を確かめます。

4 相手が話しやすくなる聞き方を考える

質問の仕方だけでなく、相手が話しやすくなる聞き方が大切であることを伝えます。このことを目的にして、「あいてが話しやすくなる聞きかた」と板書し、教科書92ページの二次元コードの動画を活用します。子供の発表から、①感想を伝える②友達の考えのよいところを伝えることの2点を短冊カードに書き、黒板に貼ります。動画をもとに、自分だったらどんな感想やよいところを伝えるのか考えさせ、子供の発言を板書して伝え方のイメージをもたせます。そして、友達と質問したり、応えたりする話合いでは、話を受けて返すことを指導します。

5 学習の振り返りと、次時の学習の見通しをもつ

学習の振り返りをノートにまとめとして書きます。次時は、今回学習したことを生かして実際に質問し合うことを予告します。

板書を活用した授業の進め方(5/7時間目前半)

「あったらいいな、こんなもの」5/7時間目の板書
5/7時間目前半の板書

1 本時の学習のめあてを確かめる

月日・教材名を板書します。本時は、友達の考えを詳しく知るための質問や相手が話しやすくなる聞き方を工夫して、友達の考えを引き出すことを伝えます。子供と共書きをしながら、めあてを板書します。

2 質問の仕方と話の聞き方を確認する

相手の考えを引き出すためには、どのように質問したらよいのかを問いかけ、前時まで使用した短冊カード(3/7・4/7時間目など)を使って確認し、カードを黒板に貼ります。相手が話しやすくなる聞き方も前時までの学習を振り返り、短冊カードを黒板に貼ります。

3 前時と違うペアで質問し合う

質問の仕方と話の聞き方を意識して2人組で質問し合います。後で話合いの様子を振り返ることができるように、各ペアで活動の様子を録画します。質問に答えたことで、自分の考えに詳しくなったことがあれば絵や文字で書き足します。

板書を活用した授業の進め方(5/7時間目後半)

「あったらいいな、こんなもの」5/7時間目後半の板書
5/7時間目後半の板書

1 さらに考えを引き出すための質問や相手が話しやすくなる聞き方を理解する

「考えを引き出せた質問の仕方」と「相手が話しやすくなった聞き方」の2つに注目し、よかったところを振り返らせ、以下のように授業を進めます。

<考えを引き出す質問の仕方>
①質問でよかったところについて子供に発表させる。
②新たに出された質問の仕方を短冊カードに書き、黒板に付け足す。
③よかったところの場面について大型提示装置を活用し、質問の仕方を確認する。
 
<相手が話しやすくなる聞き方>
①話の聞き方でよかったところについて子供に発表させる。
②新たな聞き方の工夫は、短冊カードに赤色で書き、黒板に付け足していく。

2 ペアを変えて質問し合う

「友達とペアで質問し合う。」で見付けた質問の仕方と聞き方を意識して、ペアで相手の考えを引き出す質問をし合います。そして、自分の考えに詳しくなったことを絵や文字で書き足します。

3 学習の振り返りと、次時の学習の見通しをもつ

質問すると、相手の考えを詳しく知ることができることを確認し、学習の振り返りをノートにまとめます。
そして、次時は自分の「あったらいいな」と思うものについて、発表の準備をすることを予告します。

 

構成/浅原孝子

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