小4算数「折れ線グラフ」指導アイデア《折れ線の傾きと事象の変化の度合いの関係を理解する》

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」
小4算数「折れ線グラフ」指導アイデア バナー

執筆/台東区立浅草小学校教諭・横須賀咲子
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、東京学芸大学玉川大学非常勤講師・長谷豊

年間指導計画 折れ線グラフ

単元の展開

第1時  折れ線グラフの特徴や読み取り方を理解する。

第2時 折れ線グラフの増加・減少、傾きに着目し、データの特徴を読み取る。

第3時 折れ線グラフのかき方や、対照による変わり方の読み取り方を理解する。

第4時 波線の意味を理解し、波線を用いた折れ線グラフの表し方を考える。

第5時 折れ線グラフのデータの特徴に着目し、データから読み取れる内容について考える。

第6時 学習内容の生活への活用

第7時(本時) 学習内容の習熟・定着

本時のねらい

折れ線の傾きと事象の変化の度合いの関係を理解し、説明することができる。

評価規準

折れ線の傾きに着目して、気温の変わり方について考え、説明している。(思考・判断・表現)
折れ線の傾きと変わり方の関係を用いて、折れ線グラフから情報を読み取ることができる。(知識・技能)

本時の展開

前の時間に、日本の神戸とブラジルのリオデジャネイロの気温の変化を、表や折れ線グラフで見ましたね。今日は、他の国の気温の変化を折れ線グラフで見ていきますよ。初めにモンゴルのウランバートルの気温の変化を見てみましょう。

※ウランバートルの画像を提示する。

温かそうです。

学習のねらい①
気温の変わり方を調べるには、グラフの傾きに注目するとよいことに気付く。

※隠していたグラフを、1月から徐々に見せていく。

うわー! すごく気温が低いです。

マイナス25℃くらいです!

2月は少し上がったけど、まだ寒いです。マイナス20℃です。

3月にぐんと上がりました!

一気に上がりました!

どうして「一気に上がった」ということが分かったのですか。

マイナス20℃からマイナス5℃くらいまで上がっているからです。

2月と3月の気温を読み取って分かったのですね。

読み取らなくても分かります。

2月と3月が何度か読み取らなくても、一気に上がったということが分かると言っています。どうして分かるのでしょう。隣の人とお話ししてみましょう。

グラフが低いところから高いところに急に上がっているからです。

グラフの線が急な坂みたいになっているからです。

そうですね。これを「傾き」と言います。傾きが急ですよね。では、続きも見ていきましょう。

あ、また急です。

でも、2月と3月の間ほどではありません。

2月と3月の間の傾きのほうが、3月と4月の間より急なのですね。「より急だ」ということはどういうことを表しているのでしょう。隣の人と話してみましょう。

ぐんと上がっているということを表しています。

たくさん変わっていることを表しています。

差が大きいと言うことを表しています。

上がり方が大きいと言うことを表しています。

そうですね。では、続きを見ていきますよ。

4月でようやく0℃を越えました。

(6月から7月を見ながら)傾きが緩やかになりました。

ということはどういうことですか。

あまり変化していないということです。

7月に15℃くらいというのは、涼しくてうらやましいです。

日本だと、7月に30℃を超えることがあります。

(7月から8月を見ながら)あ、下がりました。

どうして下がったとすぐに分かったのでしょう。

右下がりになったからです。

右下がりになったということは、8月のほうが気温が低いということだからです。

1月から7月までは右上がりだったから、気温が上がっていることが分かったのですね。

8月でもう下がるのですね。日本は、8月は7月よりもっと暑くなります。

(10月から11月を開けるとき)ぐんと下がりそう。

ぐんと下がるとき、グラフはどのようになるでしょう。手で表してみましょう。傾きがどうなりそうですか。

急になると思います。

今度は急に下がるから、急な右下がりになると思います。

(10月から11月を見て)やっぱり!

傾きに注目すると、それぞれの温度を読み取らなくても、どのような変わり方をしているのかが分かりますね。右上がりの傾きならどうですか。

気温が上がっています。

右下がりの線ならどうですか。

気温が下がっています。

急だと変わり方が大きいということでしたね。

学習のねらい②
グラフの傾きに注目して気温の変化の特徴を読み取り、説明する。

では、次はインドネシアのジャカルタの気温の変化を見てみましょう。

インドネシアは暑そうです。

今度は、一人一人で変わり方の特徴を調べましょう。グラフを見て、変わり方の特徴について気付いたことを書いていきましょう。

自力解決の様子

A つまずいている子
1、2、3、4、6、7、12月は26℃。5、8、9、10、11月は27℃。
上がったり下がったりがない。


B 素朴に解いている子
グラフがほぼ平らで、気温があまり変わらない。
傾きがほとんどなく、変わり方が小さい。


C ねらい通り解いている子
26℃、27℃のあたりでグラフがほぼ平らであり、気温があまり変わらない。
傾きがほとんどなく、変わり方が小さい。上がり方、下がり方が1℃のみ。

学び合いの計画

友達の発言の意味や意図を隣どうしで確認し合ったり、自分の読み取りを説明し合ったりする活動を取り入れることで、一人一人が説明する機会を多くもたせます。また、友達の説明の仕方を学ぶ機会にもさせます。

ノート例

B 素朴に解いている子

A つまずいている子

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

隣どうしで、どのような変わり方の特徴を書いたか説明し合いましょう。

※隣同士で説明し合う。

友達どうしで説明し合って、特徴を上手に説明していたなと思うものを紹介してください。

○○さんが上手に説明していました。「グラフが平らだから、気温がほとんど変わっていない」と説明していました。

どんなところが上手だと思ったのですか。

「平ら」というグラフの線の傾きと、気温の変化のことを結び付けていたからです。

□□さんは「1、2、3、4、6、7、12月は26℃で、5、8、9、10、11月は27℃」と説明していました。

どんなところが上手な説明だと思ったのですか。

具体的な数で説明しているのでいいと思いました。

でも、変わり方の特徴を説明するから、「どう変わっているか」とか「変わっていない」ということを言ったほうがいいと思います。

「1、2、3、4月は26℃で変わらない。8、9、10月は27℃で変わらない」ではどうですか。

それだと、5、6、7、12月はどうなのかということになってしまうと思います。

△△さんが具体的な数も説明していたし、「どう変わっているか」も説明していました。

組み合わせていたのですね。組み合わせたら、どういうふうに説明することができるでしょう。

〈△△さん〉「26℃、27℃のあたりでグラフがほぼ平らであり、気温があまり変わらない。傾きがほとんどなく、変わり方が小さい。上がり方、下がり方が1℃のみ」と書きました。

△△さんの説明だと、気温がほとんど変わらないという変わり方の特徴も分かるし、それが26℃と27℃なのだということも分かります。

学習のまとめ

変わり方の特徴を調べるには、折れ線グラフのどのようなところに着目するとよいでしょう。

グラフの線の傾きに注目すると変わり方が分かります。

傾きが平らなのか、なだらかなのか、急なのかに着目すると分かります。

傾きと具体的な数を組み合わせると、よりくわしく分かります。

評価問題

①日本の神戸(前時に提示)のグラフを読み取り、□にあてはまる数を書きましょう。また、そのようになる理由を説明しましょう。(知識・技能)

②日本の神戸の気温の変わり方の特徴を読み取り、グラフの様子と結び付けて説明しましょう。

子供に期待する解答の具体例


気温の上がり方がいちばん大きいのは□月から□月です。

(知識・技能)
A評価:□に当てはまる月を正しく入れることができ、その理由を説明している。
B評価:□に当てはまる月を正しく入れることができる。

2月から8月までは線が右上がりなので気温が上がり、8月から12月までは線が右下がりなので気温が下がっている。
気温の上がり方が大きいのは、傾きが急な右上がりの3月から4月で、6℃上がっている。
気温の下がり方が大きいのは、傾きが急な右下がりの9月から10月で、6℃下がっている。
グラフが平らな1月と2月は変わらず、6℃である。

感想

  • 折れ線グラフの傾きに注目すると、気温の変化の様子がすぐに分かった。インドネシアのグラフが、傾きがほとんどなくて驚いた。他の国の気温の変化の様子も調べてみたい。
  • モンゴルのように傾きが急で気温の変化が激しい国もあれば、インドネシアのようにほぼ平らで気温の変化がほとんどない国もあった。折れ線グラフを比べてみると、国によって気温の変化の仕方がまったく違うことが面白かった。自分でも折れ線グラフをかいてみたい。

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