小3理科「光と音の性質(音)」指導アイデア

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1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」
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執筆/福岡県北九州市立木屋瀬小学校教諭・大山裕之
   福岡県北九州市立香月小学校教諭・原田佐吉
監修/文部科学省教科調査官・有本淳
   福岡県北九州市立大積小学校校長・吉澤律子
   福岡県北九州市立大積小学校教頭・中村英嗣

単元目標

音を出したときの震え方に着目して、音の大きさを変えたときの現象のちがいを比較しながら、音の性質について調べる活動を通して、それらについての理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、主に差異点や共通点を基に、問題を見いだす力や主体的に問題を解決しようとする態度を育成することがねらいである。

評価規準

知識・技能

①物から音が出たり伝わったりするとき、物は震えていることを理解している。
②音の大きさが変わるとき、物の震え方が変わることを理解している。
③音の性質について、器具や機器などを正しく扱いながら調べ、それらの過程や得られた結果をわかりやすく記録している。


思考・判断・表現

①音の性質について、差異点や共通点を基に、問題を見いだし、表現するなどして問題解決している。
②音の性質について、観察、実験などを行い、得られた結果を基に考察し、表現するなどして問題解決している。


主体的に学習に取り組む態度

①音の性質についての事物、現象に進んで関わり、他者と関わりながら問題解決しようとしている。
②音の性質について、学んだことを学習や生活に生かそうとしている。

評価計画

総時数 6時間

第1次 音が出ているときの物の様子について調べる

1 楽器を使って、音を出す活動から、音と物の震えについて調べる。(授業の詳細①)

思考・判断・表現①
音の性質について、差異点や共通点を基に、問題を見いだし、表現するなどして問題解決している。〈記述分析・発言分析〉

知識・技能
音の性質について、器具や機器などを正しく扱いながら調べ、それらの過程や得られた結果をわかりやすく記録している。〈行動観察・記録分析〉

2~3 音の大きさを変えたときの、物の震え方のちがいを比べながら調べる。(授業の詳細②)

知識・技能
音の大きさが変わるとき、物の震え方が変わることを理解している。〈記述分析・発言分析〉

主体的に学習に取り組む態度①
音の性質についての事物、現象に進んで関わり、粘り強く、他者と関わりながら問題解決しようとしている。〈行動観察・記述分析・発言分析〉

第2次 音が伝わるときの物の震え方について調べる

4~5 音が伝わるときの物の震え方について調べる。

知識・技能
物から音が出たり伝わったりするとき、物は震えていることを理解している。〈記述分析・発言分析〉

思考・判断・表現②
音の性質について、観察、実験などを行い、得られた結果を基に考察し、表現するなどして問題解決している。〈記述分析・発言分析〉

6 音の性質についてまとめる。

主体的に学習に取り組む態度②
音の性質について、学んだことを学習や生活に生かそうとしている。〈行動観察・記述分析・発言分析〉

授業の詳細①

第1次 音が出ているときの物の様子について調べる

1 楽器を使って、音を出す活動から、音と物の震えについて調べる。


楽器を叩く活動を通して、音を出したときの震え方に着目し、差異点や共通点を基に、問題を見いだし、表現する。

板書例の画像(1枚目)
板書例①(クリックして拡大)

①問題を見いだす

楽器を演奏した様子から、音が出ているときに物がどんな様子かを話し合う。

シンバルから音が聞こえているとき、シンバル自体はどうなっているのでしょう?

金属の部分が揺れているよ。

震えているように見える。

楽器を触ったらわかるかな。

では、学級のみんなで調べていくときに、どのような問題にすればよいですか。


音の出る楽器を触ると、震えているのだろうか。

②予想する

これまでの経験を想起し、予想する。

シンバル以外の楽器も音が出るとき、震えていると思う。なぜかというと、たいこを叩いたときに、手に伝わったことがあったから。

楽器によって震えたり震えなかったりすると思う。

③解決方法を考える

震えているかを確認するには、どのような方法があるでしょうか?

 
シンバル以外にも、子どもが音楽科などで演奏したことがある楽器などを用いて、子どもの意欲を引き出せるようにしましょう。さらに、実際に震えていることを体感することにより、他の楽器についても確かめたいという主体性へとつなげられるとよいです。

④観察・実験をする

音を出したときに、楽器が震えるのかを調べる。


●小太鼓

●トライアングル

●シンバル

●大太鼓

⑤結果の処理

音の出る楽器を触ってみて、どうでしたか。

叩いたところが、震えていたよ。

トライアングルは、叩くと震えて、震えているところを押さえると音が止まった。

⑥結果を基に考察する

予想と同じで、大太鼓やトライアングルも音を出したときに震えていたから、音が出るときは震えるんだね。

音の出る楽器を触ってみて、どうでしたか。

⑦結論を出す


音が出るとき、物は震えている。

物から音が出るとき、物は震えているのですね。

⑧振り返る

 音が出るときに物が震えているのなら、音が大きくなると、大きく震えるのか確かめてみたいです。

安全指導①

楽器の操作方法について確認しましょう。また、子どもはつい大きな音を出しがちですが、震えを確かめる実験なので、大きな音を出しすぎないよう指導しましょう。

授業の詳細②

第1次 音が出ているときの物の様子について調べる

2~3 音の大きさを変えたときの、物の震え方のちがいを比べながら調べる。


音の性質についての事物・現象に進んで関わり、他者と関わりながら問題解決しようとするとともに、音の大きさが変わるときの物の震え方が変わることを理解する。

板書例②(クリックして拡大)

①問題を見いだす

(輪ゴムギター、太鼓、ペットボトルギロを提示して)大きな音を出すためにはどうしたらいいですか。

 
音の鳴らし方が異なる楽器を提示すると、それらの共通性から本時で調べる視点が定まります。「叩く」「擦る」「弾く」楽器を提示し、どの楽器も大きな音が出ているときの共通なところを問いかけましょう。また、楽器の中には「吹く」もありますが、振動として捉えにくいものが多いため、避けたほうがよいでしょう。

ギターは強くはじいて、太鼓は強くたたく。ギロは強くこすります。


「強くたたくと、大きな音がでる。」といった捉えをすることがありますが、ここでは「振動の大きさ」と「音の大きさ」に着目させて考えることが大切です。体験活動を行うなかで、「振動」に着目できるようにしましょう。また、「エネルギー」を柱とする領域である本単元は、主として量的・関係的な視点でとらえることが大切です。「音が大きくなると、物の震え方も大きくなる」といった量的・関係的な視点で捉えるようにして、問題を見いだします。

どの楽器も音の鳴らし方を強くすると、どれも大きな音が出るのはどうしてですか。大きな音や小さな音を出しながら考えましょう。

太鼓の音が出るところを触ったら、とても震えていたよ。

シンバルは、鳴らすところが大きく震えていたよ。大きな音を出すとたくさん震えているのかな。


音の大きさを変えると、物の震え方は変わるのだろうか。

②予想する

音を大きくしたり、小さくしたりすると、物の震え方はどうなると思いますか。

どの楽器も音を大きくすると大きく震えて、音を小さくすると小さく震えると思うよ。

③解決方法を考える

どのように、輪ゴムギター、太鼓、ペットボトルギロを実験したらよいでしょう。

 
震え方を手ごたえで感じ取るだけでは、子どもによって振動の程度が異なるため、主観的な捉えになります。問題を科学的に解決するためにも、視覚的に振動を捉えるようにしましょう。

どの楽器も音を大きくしたり、音を小さくしたりして、実験するとよいと思います。

④観察・実験をする

音の大きさを変えたときに、物の震え方が変わるのか調べる。


●太鼓
ビーズをケースに入れたものを太鼓の上に置き、大きな音を出したときと、小さな音を出したときのビーズの揺れ方を観察する。


●輪ゴムギター
大きな音を出したときと、小さな音を出したときのゴムの揺れ方を観察する。

※ケースが動かないように、手で押さえるようにしましょう。

●ペットボトルギロ
ペットボトルの中にビーズを入れ、大きな音を出したときと、小さな音を出したときのビーズの揺れ方を観察する。

※表面に凹凸があるものを使いましょう。
※ペットボトルは持ち上げず、机に置いてこするようにしましょう。

⑤結果の処理

音の大きさによって、震え方のちがいが視覚的に理解できるように、表を使って結果を記録する。

 
実験の様子を動画で撮っておくと、大きな音と小さな音との比較がしやすくなります。特にビーズの動きは、視覚的に捉えにくいため、動画で確認するとよいです。


結果を表にしてまとめることで、複数の楽器の結果が視覚的にわかりやすくなります。

⑥結果を基に考察する

予想どおり、音を大きくすると、大きく震えたよ。

他の楽器も大きな音を出すと、大きく震えるんじゃないかな。

大きな声を出すと、のどが大きく震えるのも同じだね。

⑦結論を出す


音の大きさを変えると、震え方が変わる。

⑧振り返る

他の楽器も同じように音が大きくなると、大きく震えるのか確かめてみたいな。

安全指導②

楽器の操作方法について確認しましょう。また、小グループをつくり、1つの楽器に適切な人数で実験できるようにしましょう。

イラスト/難波孝

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