• 勉強マーク小学館ロゴ
  • facebookアイコン
  • twitterアイコン

教室で子どもの物がなくなった時に教師はどうすべき?【ぬまっち流】

2020/1/27

斬新な授業で、子どものやる気をグングン引き出すカリスマ教師「ぬまっち」こと、沼田晶弘先生が、先生のお悩みに答えてくれます。
今回のテーマは、「ものがなくなる」「手が出てしまう」などの学校でありがちなネガティブな状況を、教師の声かけでポジティブな学びに変えていく方法を伝授します!

沼田晶弘先生
沼田晶弘先生 写真/下重修

トラブルに対し、あえてポジティブな声かけをする

友達とのトラブルや、嫌な出来事など、一見ネガティブに思えるようなことでも、叱ったり、否定するのではなく、意図的にポジティブな対応をすることで、より効果的な指導ができることがあります。

例えば、学校でありがちな「物がなくなりました」というトラブル。持ってきたはずのものがなくなった時、多くの場合は、どこかに落としてしまったり、他の荷物の中に紛れてしまっていたりするのですが、「誰かが隠したのではないか」といった疑いがかかると、途端にネガティブな出来事となってしまいます。

ボクのクラスでは、「うちのクラスに、人のものを隠すような子はいないでしょ?」と言って、その前提で、子どもたちが楽しみながらそのトラブルを解決するような工夫をします。

まず、子どもたちが好きな探偵もののドラマの音楽をかけて、「今からみんなは探偵です。Aさんの手袋がどこにあるのか、探偵になったつもりで推理しましょう」と声をかけ、Aさんから明るく事情聴取します。

「なくなったのは、いつ、どこだと考えられますか?」
「特徴は?」
「最後の目撃情報は?」

など、情報を集め、みんなで捜索会議をし、今度は「踊る大捜査線」のテーマに合わせて、捜索開始。発見されたら、発見された合図であるRPGゲーム「ファイナルファンタジー」の『勝利のファンファーレ』を流し、捜索終了。

なくしてしまった子には、「見つかってよかったね。でも次は気を付けようね」とひとこと伝えれば、ネガティブな気持ちをもつことなく、素直にその指摘を受け止めてくれるでしょう。

ネガティブな感情との上手な向き合い方を教える

お家で、めんどくさいからと後回しにして家族に叱られることが多いことを取り上げて、「めんどくさいモンスターをたおせ!」という話合いをしたこともありました。

めんどくさいモンスターをたおせ! の話合いで使用した板書
「めんどくさいモンスターをたおせ!」の話合い
※クリックすると別ウィンドウで開きます

自分の中の「めんどくさい」という感情とどう向き合い、どうやって克服するのかを話し合った。

また、イライラした気持ちとどう向き合うのかという話合いをしたこともありました。

「イライラしても我慢しなさい」
「喧嘩はダメ」

と言われても、子どもはすぐにイライラするものです。そこで、「イライラコップ」という言葉を使って、どうしてイライラするのか、子どもたちの意見を聞き、イライラしやい人と、あまりイライラしない人との違いや、イライラした時にどうすればよいのかについて話合いをしたのです。

実は、この話合いは、ある男子が、上級生と喧嘩をしてしまったことがきっかけでした。喧嘩の最中、上級生が手を出した時、ボクが「君はやり返すな。ボクがやり返すから、今はやり返すな」と言ったところ、本当にその子はやり返さず、我慢することができました。普段は喧嘩が強くて手が出るのが早い子なのですが、どうして我慢できたのか気になったのです。

男の子に何がきっかけで我慢できたのか、その時の感情をコップを使って説明させると「ぬまっちが僕の代わりにやり返してくれると言ったから、イライラのコップにふたをした」と言っていました。その出来事も含めて、「イライラってなぜ起きるんだろうね」ということをコップの絵を描きながら話し合い、感情を言語化していったのです。

まず、「嫌なことがあると、ネガティブな気持ちがイライラコップに溜まっていく。ただ、コップには小さな穴が開いていて、時間が経つとイライラは少しずつチョロチョロと外に出ていく。しかし、出ていく量よりも、入る量が多くて、それが溢れてしまう時に『爆発』してしまう」、という怒りのシステムを説明します。

そして、「イライラコップの大きさは人によって違うし、穴の大きさも違う。また、『取り付け式の穴』というものがあって、それを刺すと大量のイライラがどっと外にでることがある。それがリフレッシュだったり、自分の好きなことで気分転換することなんだ」と解説。そうやってイライラの仕組みがわかったところで、みんなの「取り付け式の穴」ってなんだろうと聞いてみます。そうやって、イライラした時の解消法を一人一人に見付けてもらうのです。

「イライラコップをしっておく」の話合いの板書
「イライラコップをしっておく」の話合い
※クリックすると別ウィンドウで開きます

イライラしたときの感情をコップを使って解説。イライラした感情を受け止めるコップの大きさは人によって違うことを学び、我慢して乗り越えた時には、コップ自体も大きくなるということを伝えた。さらに、どうすればイライラの気持ちを溜めずに逃がすことがでるのか、自分にとっての「取り付け式の穴」を一人一人考えさせた。リフレッシュできる「取り付け式の穴」がたくさんあると、爆発することが少なくなるという話をすると子どもたちは大いに納得してくれた。

ネガティブな感情は誰にでも起こるもの。トラブルもなくなることはありません。叱る前に、もっとポジティブな対応策がないか考えることで、「ネガティブ」を「ポジティブ」に変えることができるのです。

取材・文/出浦文絵

沼田晶弘先生 撮影/下重修
沼田晶弘先生 撮影/下重修

沼田晶弘先生
1975年東京生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に、『one and only 自分史上最高になる』(東洋館出版社)等がある。

『教育技術 小一小二』2020年1月号より

★小学館『みんなの教育技術』Webサイトでは小学校の先生に役立つ情報を毎日発信中★ぜひお気に入り登録して最新記事をチェックしてください!
↓↓↓
『みんなの教育技術』トップへ

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

関連する記事

『クラス運営のヒント』の記事一覧

いつも保護者とうまくいくあの先生がしていること【♯三行教育技術】

なぜかいつも多くの保護者を味方につけている、あの先生はどんなことをしているのでしょう?
♯三行教育技術(Twitterで【技の名前+3行程度の箇条書き説明】に…

忘れ物の指導をやめてみませんか?かわりにできる2つの代替案とは?

教師をしていて最も悩むことの一つに、「児童が忘れ物をしたときの対応」があるのではないでしょうか。クラスに必ず一人はいるであろう、頻繁に忘れ物をする子。この子にど…

九九の先取り、ピラミッド、迷路…一年生が喜ぶ自由課題のつくりかた

もっとも忙しい年度末。テスト後の課題に、補欠で入ったときの課題に、自分が休んだときの自習用に、自由課題をたくさんストックしておきましょう。
一年生の三学期は、…

思いついたらすぐできる!室内カンタン学級レク15【♯三行教育技術】

雨で外に出られない日。突然できた待ち時間。ちょっと空気を変えたい時。先生の身を助けてくれるのは・・・学級レク! ♯三行教育技術(Twitterで【技の名前+3行…

新学習指導要領時代に求められる学級経営力とは?

どんな大規模校も、あるいは小規模校も、学校は一つひとつの学級の集合体として成り立っています。ゆえに、学校をよくするということは、それぞれのクラスの運営状況を向上…

ふりかえりながら”寄せ””詰め”の三学期「学級仕舞い」

一学期の「学級開き」に対して、三学期は「学級仕舞い」。「学級仕舞い」で大切にしたいのは、「もう一歩の成長」のための再確認です。その再確認は、どういうものか。生活…

子どもの悩みを解き去る「教師の心」で立ち向かえ【4年3組学級経営物語23】

4年3組担任の新任教師・渡来勉先生……通称「トライだ先生」の学級経営ストーリー。児童同士で起きたケンカトラブルで、口を閉ざす子どもたち。ケンカの解決には、ケンカ…

最高の学年末を迎えるための話し合いと掲示物のアイディア【3分動画】

2月のこの時期、「なんだが学級経営がうまくいかない」と悩んだり、「もうすぐ学年末なのにトラブルが続いている」と、焦っている先生はいませんか? そこで、本誌でもお…

【ぬまっち流】納得度の高い通知表を作成する
通知表所見は子どもに協力をお願いして納得感を高める【ぬまっち流】

三学期に入り、そろそろ通知表と向き合う時期がやってきました。ユニークな実践で知られるカリスマ教師、「ぬまっち」こと沼田晶弘先生から、子供の本音を加味し時間をかけ…

学年末に向けてやってみたいこと15のアイディア【#三行教育技術】

普段の日常を大切に過ごす? 印象的なイベントを仕掛ける? 立つ鳥跡を濁さずを意識する? 自分の強みで学校に貢献してみる? ♯三行教育技術より、学年末に意識してい…

もっと見る