小1国語「つぼみ」京女式板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、説明文の「つぼみ」です。この単元の学習内容は、説明文を読んで大体の内容を捉えることです。本時では、特に、問いの文と答えの文が対になっている文の構成が、子供たちに意識できるような板書の工夫を紹介します。また、1年生の子供たちの集中が途切れないようにする秘訣もお届けします。

監修/元京都女子大学教授
 同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・松下祐子

 
教材名 「つぼみ」(光村図書出版)

単元の計画(全8時間)

  1. 「つぼみ」について知っていることを出し合い、本文を読む。
  2. 「あさがお」のつぼみについて読む。
  3. (※と同様)
  4. 「はす」のつぼみについて読む。
  5. (※と同様)
  6. 「ききょう」のつぼみについて読む。
  7. (※と同様)
  8. 学習のまとめをする。

板書の基本

〇教材「つぼみ」は、あさがお・はす・ききょうの3つの花のつぼみについて説明しています。始まりの文は、右側のページにあります。「いろいろな はなの つぼみを みて みましょう。」という文と写真が1ページ目です。左側のページには、右側にあった「あさがお」の写真を拡大したものが下段にあります。上段の文は、「さきが ねじれた つぼみです。」「これは、なんの つぼみでしょう。」の2文です。答えは、ここでは分かりません。ページをめくると「これは、あさがおの つぼみです。」という仕組みになっています。本時は、「あさがお」のつぼみを取り上げています。
 
〇板書で大事にしたのは、問いの文である「これは、なんの つぼみでしょう。」そして、答えの「これは、あさがおの つぼみです。」の2文です。問いの文と答えの文を意識して、板書を工夫しました。

特に、問いの文である「これは、なんの つぼみでしょう。」に対して、日常的には「あさがおです。」と答えます。それを「これは、あさがおの つぼみです。」と答えるのが正しい答え方であることを理解させたいと考えました。

また、「つぼみ」や「ねじれ」は、教科書が示している語句です。一方、写真を見て、子供たちの使う語彙は、教科書の通りではないものがたくさんあります。板書では、発言した言葉の取り上げ方も工夫しています。

板書のコツ(2/8時間目前半)

小1国語「つぼみ」京女式板書の技術 2/8時間目前半の板書
2/8時間目前半の板書

板書のコツ①

日付・題名・めあてを板書します。黒板にいきなり書くのではなく、これから始めることを予告しながら進めます。学習へ向かう気持ちを高めるように、黒板に書くことを分かりやすく伝えます。

「めあて」と書くときには、「今日、勉強すること」と言い、「め・あ・て」と1文字ずつ書きます。文字を読むことが苦手な子もいることを意識して文字を確認し、「めあて」と書き終わったときに、「めあて」を語句としてなめらかに読めるように指導します。一斉に読ませるより1人で読ませます。声の出し方、口の開け方も指導の中に折り込みます。

板書のコツ②

「さきが ねじれた つぼみです。」の文を音読した後、つぼみの写真を見るように指示します。「先がねじれていますね」と説明して、文章を読むという方法もあります。この場合、読む前に「ねじれる」という答えを知っているので、文章を読むときの緊張感は薄れます。

1年生の授業で、全員の子に緊張感をもたせるには、教師の説明する言葉が続くより子供の活動が大事であると考え、音読から始めて、その次に写真、そして「さきが ねじれた つぼみです。」と板書します。特に、「つぼみです。」の「。」の句点を丁寧に書き、大事な記号であることを意識させました。

板書のコツ③

「これは、なんの つぼみでしょう。」のカードをどのように意識させるのかということを大事にしました。特別な文として、子供たちに伝えたいからです。すでにこの文が問いの文であることや「これは、あさがおの つぼみです。」という答えの文が次のページに書いてあることを知っている子もいます。どの子も、初めての文であるという気持ちをもてるように指導を工夫しています。

方法として、カードを裏側にして、何が書いてあるかに興味をもたせます。また、「これは」を繰り返し読ませ、慣れた段階でカードの全文を読ませます。そして、同じ文が教科書に書いてあるというように指導します。子供に緊張感をもたせる板書の秘訣です。

板書のコツ(2/8時間目後半)

小1国語「つぼみ」京女式板書の技術 2/8時間目後半の板書
2/8時間目後半の板書

板書のコツ①

丁寧に指導をした問いの文「これは、なんの つぼみでしょう。」の答えの文が、「これは、あさがおの つぼみです。」であることを指導します。幼稚園や保育園では「問題の文」という理解をしていますので、「問いの文」も同じであることを説明します。授業の初めの段階は、緊張感があります。それを持続させるために、あさがおについて知っていることを発表させて、学習活動の目先を変えます。

また、個別指導として「これは、なんの つぼみでしょう。」と「これは、あさがおの つぼみです。」の文を、2人で交互に読ませる「問いと答えの言い合いっこ」を言葉遊びとして折り込みます。問いと答えの2枚のカードを用いて行い、子供たちのゆるみそうな気持ちを建て直します。
 
板書のコツ②

文章の音読を繰り返して行います。その後、写真から見付けたことや知っていることを発表させます。「知っていること」の発表は、国語の入門期にある子供にとっては得意なことですから、どこかでその機会をもつと、いろいろと知っている子の発表したい気持ちを満足させることにもなります。

発表を聞きながら、次の言葉を板書しました。

・ねじれたところがひろがる。       
・まるいはな
・ラッパみたい   
・こいピンクいろ   
・したはしろい。

「ねじれたところが ひろがる。」は、子供が発言した言葉です。教科書では、「ねじれた ところが ほどけて、だんだんと ひろがっていきます。」となっています。自分たちの言葉が黒板に増えていく国語の楽しさを体験させたいので、板書には子供が発言した通りに「ひろがる」と書きました。教科書にある「ほどけて」は、この段階でなくても習得する機会(生活科など)はあるので、まずは長い1時間の学習を積み上げるという経験を支える板書にしたいと考えました。 

 

構成/浅原孝子

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