林間学舎は授業日? 授業日ではない? 授業日・休業日・授業時数について~シリーズ「実践教育法規」~
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- シリーズ「実践教育法規」
教育に関する法令や制度に詳しい早稲田大学教職大学院・田中博之教授監修のもと、教育にまつわる法律や制度を分かりやすく解説していく本連載。第12回は「授業日・休業日・授業時数」について。「授業日」の定義、休業日は誰が決めるのか、標準授業時数について法令に基づいて解説します。
執筆/蛯谷 みさ(大阪体育大学教育学部教授)
監修/田中 博之(早稲田大学教職大学院教授)
【連載】実践教育法規#12
目次
授業日とは
授業日は、学校において編成した教育課程を実施する日のことです。
運動会や遠足などの実施日は授業日です。一方、長期休業期間中に登校日や林間学舎などの実施日を設けたとしても、自由参加の場合や、学習指導要領に定める教育課程である各教科、特別活動、総合的な学習の時間、外国語活動を実施しない場合は、授業日とはみなしません。
ただし、長期休業期間中であっても、教育委員会の学校管理規則の定めるところに基づき、所定の手続きを経て教育課程を実施する場合や、国民の祝日等に教育課程に基づいた学校行事を実施した場合は、授業日となります。
休業日・臨時休業日とは
休業日は、授業を行わない日のことです。
公立学校における休業日は、学校教育法施行規則第61条(小学校)において、祝日や土曜日・日曜日のほか、学校教育法施行令第29条の規定により教育委員会が定めることとなっています。なお、私立小学校における学期及び休業日は、当該学校の学則で定めます(学校教育法施行規則第62条)。
また、「公立の学校の学期並びに夏季、冬季、学年末、農繁期等における休業日又は家庭及び地域における体験的な学習活動その他の学習活動のための休業日は、市町村又は都道府県の設置する学校にあつては当該市町村又は都道府県の教育委員会が、公立大学法人の設置する学校にあつては当該公立大学法人の理事長が定める」(学校教育法施行令第29条)とされています。
臨時休業には、学校教育法施行規則第63条による、非常変災その他急迫の事情があるときに校長が決定する臨時休業や、学校保健安全法第20条による、感染症予防上必要があるときに学校設置者が決定する臨時休業などがあります。非常変災その他急迫事情による臨時休業の際は、公立学校においては校長が、期間・児童生徒数・概要等を当該学校を設置する教育委員会に報告しなければなりません。
授業時数の確保と課題
標準授業時数は、学習指導要領で示している各教科等の内容を指導するのに要する時数を基礎として、学校運営の実態などの条件を考慮して国が定めたものです。小学校・中学校・義務教育学校・中等教育学校の前期課程では、学校教育法施行規則において、教科等ごと、学年ごとに標準授業時数を定めています。
各学校においては、標準授業時数等を踏まえ、学校の教育課程全体のバランスを図りながら、児童生徒・学校・地域の実態等を考慮し、学習指導要領に基づいて各教科等の教育活動を適切に実施するための授業時数を具体的に定め、適切に配当する必要があります。
標準授業時数は、学習指導要領に示す各教科等の内容の指導の質を担保するための量的な枠組みとして、これまで教育の機会均等や水準確保に大きな役割を果たしてきました。しかし、すべての子どもたちの可能性を引き出す、個別最適な学びと協働的な学びの実現を目指す「令和の日本型学校教育」においては、標準授業時数の在り方について、児童生徒や教師の負担について考慮すべきとの指摘があります。
また、学習状況に課題のある児童生徒も含めて指導すべき内容を一般的に教えることが可能なものとなっているのか、ICTを活用した学習指導を踏まえた柔軟な在り方について検討が必要といった指摘もあります(令和3年6月28日第124回教育課程部会資料4)。
このような課題に対応する仕組みとして、2021年7月「授業時数特例校制度」が創設され、2022年度から運用が開始されることになりました。これは、学校や地域の実態に照らし、より効果的な教育を実施するため、これまでの標準授業時数は確保した上で、教科等ごとの授業時数の配分について一定の弾力化による「特別の教育課程」の編成を認める制度です。
さらに、新型コロナウイルス感染症により始まったオンライン授業の在り方についても検討する必要があります。今後いつこのような災害に見舞われるかわからないため、授業時数確保のために、突発的な臨時休校に備えて避難訓練と同様に定期的に「オンライン授業訓練の日」を設けるなど、平時からきめ細かい対応が求められます。
※学校教育法施行規則第61条・第62条の規定は、幼稚園(第39条)、中学校(第79条)、義務教育学校(第79条の8)、高等学校(第104条)、中等教育学校(第113条)、特別支援学校(第135条)、高等専門学校(第179条)に準用する。
『実践教育法規 2023年度版』に加筆・修正