子どもの行動力が高まる「日記」の指導アイデア【ノート指導11】
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朝、登校したときに書く日記とは…? 子どもの行動力が高まるノートの使い方アイディアの紹介です。
執筆/北岡隆行
目次
めあてをノートに書く(3~6年生向き)
4月になると、どのクラスでもクラスのめあてを決めます。つくり方は違っても、似ているところがあります。
めあては、つくっただけでは飾り物なのです。
次に示すものは、10年以上前に子どもと一緒につくったものです。このめあては、1日、2日、ひと月と、日がたつにつれて次第に重みを増していきました。
問いかけるためのノート
まず、行動レベルまで掘り下げて、考えさせたことがあります。具体化することで、意味をもたせたのですが、ここでノートが活躍します。ノートに書くことは、問いかけ、考えさせ、意味をもたせることになります。
「明るいって、どういうこと?」と問いかけ、それぞれのイメージを書かせると、ノートには次のようなことが書かれました。
明るいクラスにするために
○教室に入ってくるときに、元気にあいさつをする
楽しいクラスにするために
○先生の話をよく聞いて、いろんな意見を出す
○話を聞くときに、うなずいたりする
○できるだけいっぱい発表する
○できるだけたくさんの人と遊ぶ
ばかにしないクラスにするために
○遊びを一緒に考え、みんなで遊ぶ
○友達を誘って、図書館で本を読む
○仲間はずれをしない
次に「明るい」「楽しい」「ばかにしない」をめあてにした背景をおさえました。ノートに書くことでふり返らせ、うれしかったこと、いやだったことを書くことで意識させたのです。
考えるためのノート
これらを板書し、一緒に読んだあと、いやだったことについては「この反対のことをできないかな?」と問いかけました。書いたことをもとに、自分のできることを考えさせたのです。
「みんなで」ではなく、「自分から」やることを考えさせます。そして、考えたことを「今日の日記」の1ページ目に書かせます。下の図がその例です。
真ん中にクラスのめあてがあります。そのまわりに、めあてから思いついたこと、自分のできること、したいことを手当り次第に書かせ、結びつけます。
そして、できたものには日付を入れて、新しく思いついたことはそのつど書き加えます。
「今日の日記」は2ページ目から始まるので、必ず、1ページ目を見てから書くことになります。ですから、クラスのめあては、一日一日、意味がふくらんでいくのです。
朝、登校したときに書くノート
日記は1日をふり返って書くものですが、「今日の日記」は、その日の朝、登校したらまず書くノートのことです。
朝、出席をとって、子どもが返事をします。このとき、ある決められた班の子が、書いておいた今日の日記を読みます。今日の日記を読むことで、自分の1日のめあてをはっきりさせるのです。そうすることで、子どもの生活をつくっていきます。
そして、帰りの会で1日をふり返り、今日の日記の続きを書いてできあがりです。
子どもたちにはこう言いました。
そして、子どもたちに変化が表れました。
変化①
ノートにあらかじめ書いておくので、ほかの子に左右されない自分のめあてを書くようになった。
変化②
授業中、ほとんど何も言わなかった子が、きく・話す・書くという自分、あるいは友達のめあてに触発されて、抵抗感なく話したり、行動できるようになった。
変化③
実行力の点でいま一歩だった子も、日々の反省と成果のなかから、新たなめあてをつくり、実行するようになった。
●今日の日記・例
子どもが帰ったあと、赤ペンを入れました。その子の行動を評価しつつ、次の行動へのアドバイスをするためです。
ただし、時間的にむずかしく、毎日全員のノートを見たわけではありません。月曜日から金曜日まで、1日に1班ずつ見ていきました。朝の会の発表も同じ班にしましたから、5つの班があります。1日1班だと、見るのも6〜8人ですみます。短時間に、しかも1週間の動きをみてアドバイスができます。
イラスト/相澤るつ子
「COMPACT64 ノート指導 早わかり」より