小4 国語科「調べて話そう、生活探検隊」全時間の板書&指導アイデア

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1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」
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文部科学省教科調査官の監修のもと、小4国語科「調べて話そう、生活探検隊」(光村図書)の全時間の板書例、発問例、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小四 国語科 教材名:調べて話そう、生活探検隊(光村図書・国語 四下)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/大妻女子大学家政学部児童学科教授・樺山敏郎
執筆/鹿児島県霧島市教育委員会学校教育課指導主事・尾﨑裕樹

1. 単元で身に付けたい資質・能力

この学習では、話の中心が明確になるよう話すとともに、相手の人数や関係性、目的や場などを意識し、声の強弱や言葉遣い、視線などを工夫して、グラフや表などの資料を活用しながら分かりやすく説明する力を身に付けていきます。
実際の学習では、グループで調べたいことについてアンケートを実施して調査し、分かったことや考えたことについて資料を使って発表する活動を位置付けます。
言葉の抑揚や強弱、間の取り方、聞き手の反応を確かめながら話したり、順序や軽重を考えながら話したりすることができるように指導していきます。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

本単元は、アンケートを用いて調べたことを、グラフや表を作成して分かりやすく報告したり、聞いて意見を述べたりする言語活動を設定しています。
アンケートを基にグラフや表などを作成する活動は、発表者の意図や目的を明確にして発信することにつながっていきます。
また、調べたことを報告する活動によって、相手の人数、目的や場などを意識し、話し方や視線などについて考え、グラフや表などの資料を活用しながら分かりやすく説明する力を身に付けることができます。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 単元全体の学習内容と身に付く力を見通す導入

児童が主体的に学んでいくためには、児童自身が、今自分はどんなことを学んできていて、これからどんなことを、どれくらいの時間をかけて、どんな学習のゴールを目指して学習していくのかが分かっていなければいけません。
これまでに児童は、3年生で相手や目的に合う理由や資料を選んで、工夫して学校自慢を行う学習などを経験しています。4年生では、大事なことを考えながらメモを取る、役割を意識しながら話し合う学習などを経験しています。過去の「話すこと・聞くこと」の学習のワークや発表の動画等を振り返ることで、話の中心を捉えて聞いたり、役割を意識して話し合ったりした学習を想起し、これまでにできるようになったことについて考えることができるようにします。

本単元では、これまでの学習を踏まえ、相手や目的を意識して、声の出し方や声の抑揚、間、視線などに気を付けて、グラフや表などの資料を使って話の構成を工夫しながら分かりやすく友達に説明するという単元のゴールを設定します。
教科書の内容を確認しながら、どのような学習をすればゴールに到達できるのかを教師と共に考えながら、簡単な学習計画を立てます。
さらに、この単元を終えると身に付けられる力を児童に教師が提示することで、児童自身が自己評価しながら学習を主体的に進めることができるようにします。身に付けられる力は、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点で示します。

〈対話的な学び〉 発表の工夫について吟味する場の設定

グループで発表の練習を行い、相互に失敗や課題について修正していく活動を設定します。
相互意見を出し合い、協力して発表をよりよくしていくためには、児童が共通の視点をもっておく必要があります。

そこで、児童に発表のグッドモデルを見せることで、発表の工夫に気付くことができるようにし、上手く伝わるようにするための発表のポイントをまとめます。そのポイントを基準にして、修正を図るようにします。

〈深い学び〉 身に付けた力や学び方を実感し、自己の成長を実感できる振り返り

単元の振り返りについては、これまでのワークシートやノート、板書、単位時間の振り返りカード、発表の録画などの学習物を見ながら行います。
導入時に提示した、単元を終えるときに身に付けたい力を基にして、どのような力が身に付いたのか、どのような学び方をしたのか、友達とどんな交流をしたのか、この学習がどんなことに生かせそうかなど、観点を明確にして自分の言葉で評価カード等に記入させるようにします。
その際、リハーサル時の発表の様子と発表会の様子の動画を見比べて、自分や友達の成長を実感できるようにします。さらに、自分の振り返りを友達と交流したり、全体で発表したりすることで、教師が児童の成長を価値付けし、自他の成長を実感できるようにします。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1)記録し、確認するための活用

特に「話すこと・聞くこと」の学習においては、実際の発表を見ても、話し言葉が流れていってしまい、聞く側の記憶に残りにくいです。そこで、次のことに1人1台端末の録画機能を活用します。

① 発表等のグッドモデル、バッドモデル等を提示し、よりよい発表のためのポイントに気付く。
② リハーサル等の様子を録画し、グループで問題点を洗い出し、ワークシートに記録する。
③ 修正を図り、必要に応じて②に戻る。

録画をすると、繰り返し見ることができ、ゆっくり再生したり止めたり等も自在にできるため、確認が容易にできます。

(2)アンケートの作成と集計、資料の作成

アンケートの作成については、1人1台端末に入っているアプリを利用して作成することができます。そうすることで、集計がすぐにできるので、時間削減になります。
また、発表資料についても、アプリを活用して作成することができ、電子黒板等で資料を提示すると、大きく拡大して提示することができます。
端末の活用については、児童の技能によりますので、どこまで活用するかは学級の実態と活動のねらい等に応じて考えていくことが大切です。

【 端末を活用したアンケートの例 】

端末を活用したアンケートの例

(3)情報の共有

発表のモデルからよりよい発表のポイントをまとめる際に、児童が気付いた工夫についてまとめていきます。その際、1人1台端末でお互いのまとめを比較して見ることで情報を共有し、より詳しくまとめていきます。
また、単位時間や発表、単元の振り返りにおいて、教師が児童の振り返りを電子黒板等で提示し、比較、分類して、学習によって身に付けた力を児童が自覚できるようにします。
1人1台端末を活用すると複数の資料を一斉に表示することができるので、情報の共有が容易にできます。児童は共有した情報を基に意見を出し合い、よりよい発表のために考えます。1人1台端末での情報共有は、児童の協働的な学びを促し、思考を活性化させます。

【 単位時間の振り返りカードの例(端末画面) 】※全ての項目を書く必要はありません。

端末画面の単位時間の振り返りカードの例

【 単元の振り返りカードの例(端末画面) 】※3観点で振り返ります。

端末画面の単元の振り返りカードの例

6. 単元の展開(8時間扱い)

 単元名: 調べて分かったことを話そう

【主な学習活動】
・第一次(1時
① これまでに調べて発表した経験を想起し、これまでにできるようになったことを振り返る。
教科書を読み、調べて分かったことを発表するという課題を立て、グループで話し合いたいことを決め、学習計画を立てる。
〈 話し合いたいことの例 〉
・みんなが好きな給食のメニュー(教科、アニメなど)
・1日に行うゲームの時間
・将来就きたい職業
・今一番行きたい場所 など
  学習課題:生活に関するぎもんについてグループで調査したことを、資料を使って分かりやすく発表しよう。

・第二次
2時
② アンケートの方法と集計方法、表現方法を確認し、グループごとにアンケートを作成する。〈 端末活用(1)〉

3時4時
③ アンケートを集計する。
④ 集計結果を基に、発表用の資料を作成する。〈 端末活用(2)〉

5時
⑤ 発表の工夫をグループで確かめ、発表の準備と練習をする。

6時
⑥ グループで発表の準備をし、学級全体で発表会の準備をする。

・第三次(7時8時
⑦ 発表会をし、感想を伝え合う。
⑧ 単元を振り返り、身に付いた力について話し合う。〈 端末活用(3)〉

全時間の板書例、発問例、児童の発言例

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例

〇 導入では、子供たちがこれから学習する単元の全体を見通すことが大切です。
これまでの学習経験でできるようになったことを確認して、単元の学習計画を子供たちと共に考えることで、学習の見通しをもつことができるようにします。
さらに、この学習を通してできるようになることを子供たちと共有することが大切です。できるようになること、つまり、能力面のゴールを、知識・技能、思考・判断・表現、主体的に取り組む態度の観点で示すことで、単元終了後の自分の姿をイメージさせ、学習に向かう意欲を高めるようにします。

< 教師の発問、児童の発言例 >
~ 学習計画を立てる場面 ~

みんなで学習課題とゴールを決めました。自分たちで生活の中で疑問に思ったことを調べて、資料を使いながら分かりやすく発表することが、単元のゴールです。(学習課題は、これまでの学習でできるようになったことを話し合い、これまでに身に付けた力について自覚できるようにします。その上で、過去の児童の発表の動画やワークシートを見たり、教科書等で学習内容を確認したりすることで、どんな学習課題にすればよいか、どんな単元のゴールイメージをもつかについて話し合い、学習課題、単元のゴールを決めることができるようにします。)
どんな学習をしていけば、ゴールにたどり着けると思いますか。教科書も参考にして考えてみましょう。単元全体で、今日を含めて8時間です。あとの7時間は何をすればいいのでしょうか。(ここでの8時間は、教育課程で計画された単元の指導時数を教師が児童に提示しています。学習課題を踏まえ、単元のゴールにたどり着くためには、どんな学習をしていけばよいのかを、教科書等を参考にさせながら考えさせるようにします。児童の実態に応じて、教師がどの程度関わるのかを考えて指導します。できるだけ児童自身で学習計画が立てられるように年間を通して計画的に指導していく必要があります。)

まずは、課題に沿ったアンケートを作る必要があります。

アンケートを集計して、発表の資料も作る必要があります。

発表会もあります。

課題はこの後みんなで決めましょう。アンケート作成は、何時間目にすればいいかな。(集計、発表会等も同じように児童に考えさせます。)

2時間目にします。資料作りには、時間がかかりそうだと思います。

では、2時間目にアンケートを作って、集計と資料作りはみんなが言うように時間がかかりそうですので3、4時間目にしましょうか。5時間目に発表会ができるかな。

いきなりは難しいと思います。練習や発表会の司会を決めるなどの準備が必要です。

5時間目は練習、6時間目は発表会の準備、7、8時間目に発表と振り返りをするといいですね。

上手く話せるか心配だから、上手な話し方についても知りたいです。

そうですね。5時間目の練習の前に、上手な話し方についても考えていきましょう。

~ 授業の終末の場面 ~

イラスト/横井智美

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