整列する力を育てるための「全校朝会」ちょっとした工夫とは?

元東京都公立小学校校長

清水弘美

全校朝会も学校行事の1つです。整列する力を育てるために、全校朝会を活用することを提案します。

執筆/東京都公立小学校校長・清水弘美

全校朝会のイメージ・校庭に並ぶこどもたち

儀式的行事としての全校朝会

学校行事というと、大きな行事を思い浮かべがちですが、全校朝会も学校行事の1つです。新たな週の生活を頑張るぞ、という区切りの場面というだけでなく、全校の子供や教師が1つの場所に集まる儀式的で組織的な活動だとすれば、各自がその場の礼儀正しい空気をつくる一員という位置付けになります。

整列する力を育てるために、全校朝会を活用していきます。「ちゃんと並びなさい」「私語厳禁」としつけるのではなく、「列がそろうと、気持ちがいいね」という学校行事にふさわしい空気をつくることの価値を、みんなで共有するようにするのです。

6年生が整列を指導する

整列には1年生を中心にして外側に行くほど高学年を置く形が多いようです。これでは、前へならえをさせると、縦はそろいやすいけれども、横はそろわないというデメリットがあります。

集団演技などで横をそろえることは重要です。そこで、1年生から順に並ばせ、6年生を右端に置く形もあります。前にならえで縦をそろえ、右端の6年生に対して右にならえをして横をそろえます。そのとき、6年生が列を横に歩いて間隔を整えるようにするのです。前にならえのとき、1年生は前の子との間隔がうまくつかめませんが、6年生がその距離感を教えてくれます。1年生にしたら、前の子との距離がより離れる感じになるので、自ずと前後の子とおしゃべりしなくなります。異年齢交流活動が、ここでも生きてくることでしょう。

このようにすれば、子供たちは縦の列も横の列もそろった整列を感覚的につかむことができます。また、6年生にとっても、最高学年としての自覚が持続することになります。

全校朝会終了後、各学年は、同時に昇降口に集まると混雑するので、行進をして時間差をつけて教室へ戻ります。6年生は校庭を一周してから戻るようにしていました。こうすれば、避難訓練や社会科見学の移動にも役立たせることができます。

 行進して昇降口へ。
行進して昇降口へ。

その他全校朝会は、委員会の連絡にも使いたいところです。「今週の金曜日は、図書室で読み聞かせ会を開きます」などと全校に呼びかける機会を設けることにより、下学年の子供たちに高学年の姿を見せることができます。

『教育技術 小五小六』2019年12月号より

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