「コグトレ」でコミュニケーション力を育てよう〔段階式問題解決トレーニング(何があったか考えよう)〕#10ダウンロードプリント付

連載
子どもたちの認知機能を高める 教室コグトレ
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立命館大学教授・一般社団法人日本COG-TR学会代表理事

宮口幸治
「コグトレ」でコミュニケーション力を育てよう〔この人たちはどんな気持ち?〕#2ダウンロードプリント付 バナー

10回目の今回は、対人関係がからんだ問題解決のスキルを養う「段階式問題解決トレーニング」のなかの〔何があったか考えよう〕にチャレンジしましょう。「コグトレ」とは、宮口幸治先生たちが開発した「コグニティブ(認知)機能」に着目したトレーニングのことで、身体面、学習面、社会面の3方面から包括的にトレーニングする特徴があります。本連載では、社会面のトレーニング(認知ソーシャルトレーニング)を基に、感情を上手にコントロールしたり、相手の気持ちを考えたりするコミュニケーション力などを高めるトレーニングを紹介します。ダウンロードプリントを活用して、ぜひ試してみてください。

監修/立命館大学教授・宮口幸治

認知ソーシャルトレーニングとは

コグトレの認知ソーシャルトレーニングは、感情を統制する、危険を予知する、対人スキルを高める、問題を解決するなど、社会で生きる力を養うトレーニングです。以下の表のように「段階式感情トレーニング」「危険予知トレーニング」「対人マナートレーニング」「段階式問題解決トレーニング」など、4つのトレーニングから成り立っています。

コグトレ 表1

今回は、「段階式問題解決トレーニング」のなかから、〔何があったか考えよう〕の課題を紹介します。

このトレーニングは、何か問題が起こったときに、自分の力で考えて解決できる問題解決の力を養います。困った問題に対し、適切な目標を決めることが最初の段階の難しい壁になります。そこでここでは、まず適切な目標(ポジティブな目標)を設定しておき、それに対してどのような解決策があるかを考えるトレーニングをします。問題解決力の第1段階の力を鍛えていきます。

〔何があったか考えよう〕にチャレンジ!

ねらい
困ったことに直面した際に、自分の力で考えて解決できる問題解決の力を養います。ここでは、目標をポジティブに設定し、そうなるための経過の部分を考えます。

進め方
1 困った場面を含んだ短い物語があります。話は途中で途切れ、時間が経過すると(「……」の部分)、問題が解決しています。
2 「……」の部分ではいったいどのようなことが起こり、問題が解決したのかを考えてもらいます。

※より理想的な問題解決力の目安として、①解決策が複数あるか(解決策の数)、②時間の経過が考慮されているか(時間)、③すぐにはうまくいかないことも考慮されているか(障害)の3つがまんべんなく含まれていることが大切です。
※偶発的に解決できたというのは、自ら問題解決したことにはなりませんので、偶然うまくいったという話は最初に避けるように伝えておきます。
※解決策としては適切でなくても、いろいろな考え方を提案できたことに対して評価しましょう。

 

課題シート

課題シート
課題シートをクリックで拡大、ダウンロードできます。

回答例:
AさんはBさんにCさんのよいところを伝えました。
でもBさんは黙っていたので、Aさんはさらに、
「CさんもBさんのこと、とてもやさしい人だねってほめていたよ」と伝えました。
するとBさんは笑顔になり
「それならいいわ」
と答えました。

授業の進め方

進め方は以下の手順を参考にしてください。※詳しくは『子どもの認知能力をグングン伸ばす!マンガコグトレ入門』(小学館)をご覧ください。

『子どもの認知能力をグングン伸ばす!マンガコグトレ入門』(小学館) マンガ

  

宮口幸治(みやぐちこうじ)

立命館大学教授 一般社団法人日本COG-TR学会代表理事
京都大学工学部を卒業し建設コンサルタント会社に勤務後、神戸大学医学部を卒業。児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務、2016年より現職。困っている子どもたちの支援を行う「日本COG-TR学会」を主宰。医学博士、子どものこころ専門医、日本精神神経学会精神科専門医、臨床心理士。著書『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)が大ベストセラーになる。

取材・文・構成/浅原孝子 イラスト/畠山きょうこ、荻野琴美(オーデザインチャンネルズ)

出典:『社会面のコグトレ 認知ソーシャルトレーニング② 対人マナートレーニング/段階式問題解決トレーニング編』(三輪書店)

 

『逆境に克つ力』(宮口幸治・神島裕子著)表紙


『逆境に克つ力
~親ガチャを乗り越える哲学~』(小学館)

著/宮口幸治 ・神島裕子
新書判 192ページ

逆境に苦しんでいる子への支援のヒントが満載

どの親のもとで生まれたかによって子どもの人生が左右される現実をカプセルトイにたとえた「親ガチャ」という言葉。 『ケーキの切れない非行少年たち』の著者と気鋭の哲学者が、全ての人が幸せを追求できる社会のあり方を考えながら、逆境を乗り越えるための心の持ち方人生を切り開く力のつけ方を、哲学・精神医学・心理学の観点から具体的に提唱する。

『マンガコグトレ入門』(宮口幸治著)表紙

『子どもの認知能力をグングン伸ばす! マンガコグトレ入門』(小学館)

著/宮口幸治
A5判 224ページ

教室を舞台にしたマンガでコグトレの進め方を楽しく具体的に紹介しています。「コグトレを取り入れたいけれど、何からどのように始めたらよいかわからない」という方にもピッタリの1冊です。「コグトレ」の代表的な50種のトレーニングのねらいや進め方・ポイントなどを、マンガを交えて易しく解説。紹介する課題のワークシートはすべてダウンロード可能。

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