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子どもの「できないこと」にどう対処していますか?

2019/12/27

そろそろ上の学年への進級が視野に入ってくるこの時期。落ち着いて学校生活をしているものの「できないこと」が気になります。今回は「できないこと」に対する支援について解説します。正しい知識と子どもを見る目で、支援のセンスを磨いていきましょう。問いに対する答えを自分で考えながら、読み進めてみてください。

執筆/岡山県公立小学校教諭・南惠介

支援イメージ
撮影/浅原孝子

Q1「できないこと」がいろいろあり、いろいろ手を打ってみたけど、なかなかできるようになりません。どのように支援を行えばよいでしょうか。

特別支援には、「これをしたら必ずこうなる」という魔法の杖はないと私は考えています。しかし、いくつかのセオリーはあります。以下に紹介していきます。

スモールステップ

一つの事柄をさせるとき、実はその子にとっては作業内容が多すぎてどうしたらよいかわからないことがあります。例えば、「ノートに写す」ということ一つとっても

「黒板を見る」
「書く順番を確認する」
「鉛筆を持つ」
「ノートを開く」
「ノートのどこに書くかを決める」
「黒板の写す箇所を確認する」
「覚える」
「ノートに書く」

というような多くの作業が含まれています。

「ノートに写す」という言葉だけでできる子もいるでしょうが、そうでない子も教室にはいます。そういう子にはその一つずつを細かく分け、一つずつさせていくことで、結果的に「ノートに写す」という一連の作業ができるようになります。このように一つの大きな作業をいくつもの細かいステップ(スモールステップ)に分けることで、できるようになることがあります。

その子の「得意」に合わせる

教師の口頭での説明がわかりやすい子もいれば、すごく苦手な子もいます。黒板に説明を書いたほうがわかりやすい子もいれば、説明を読むのがすごく苦手な子もいます。耳で聞いてわかるのか。目で見てわかるのか。実際にやってみてわかるのか。それぞれの「わかり方」を注意深く見てみましょう。

同じように、書くのが得意な子、話すのが得意な子もいれば、それぞれをとんでもなく苦手としている子もいます。結果的に「前より」できればよいと考え、多様に示すことができるなら、伝える方法や表す方法は多様なほうがよいのです。その子の「得意」を見つけて、それに合わせて指導の仕方を工夫してみることで、できるようになることは増えていきます。

「今」できることからスタートする

自己肯定感を傷つけられることで、そもそもやろうという気持ちはしぼんでいきます。全く何もできることがない子はいないはずです。「今」できることはなんでしょうか? そして、「ちょっとだけ頑張ったらできそうなこと」は何でしょうか。その「ちょっとだけ先」を示し、くり返しできるように練習させていくことで、できるようになっていきます。

「鍛える」ことは支援が必要だと言われている子にも必要です。ただし、いきなり「高いゴール」を目指さないで、「今よりちょっとだけ頑張ったらできそうなこと」を提示して、頑張らせてみることで、できるようになることは増えていきます。しばしば勘違いしがちですが、全ての子が他の子と同じようにできるとは限りません。できなくてもなんとかやっていける環境を用意することも大切です。階段を上れなくてもスロープがあれば上れるように、違う登り道を用意する。それを「合理的配慮」と言います。

できることからスタートするイメージイラスト
イラスト/大橋明子

Q2「成功体験が大切」とよく言われますが、「成功体験」とはどのようなものでしょうか? そして、どのように積み重ねさせていけばよいのでしょうか?

何もイベントのような「成功体験」が必要なわけではありません。日常的に「ぼくもやったらできるじゃん」と感じられる経験を小さく小さく積み重ねていくことのほうが大切です。「前の自分より伸びたか」ついつい人間は、他の人との比較で自分を評価します。支援が必要な子も、もちろん同様です。しかし、大切なのは「前よりできるようになったかどうか」なのです。

まず、「今できていないこと」を把握しておきましょう。そして、「こうしたらできるよ」と方法やコツと合わせて教えて、励ましてみましょう。そして、ちょっとでもできたときには「前よりできるようになったね」と一緒に喜びましょう。そのためには、少しの変化を見逃さないことが重要です。昨日よりちょっとでも進歩したか。決して「100点」を取らせる必要はないのです。

また、できたかできないかをほめていくことも大切ですが、その子がそこにいるだけでうれしいと思えるような態度を教師が見せることが大切です。「成功体験」を積ませる目的は、「僕って大切なんだ」「僕もやればできるんだ」という自尊感情や自己肯定感を高めることなのです。

『小一教育技術』2017年12月号より

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