教師を取り巻く環境整備と、次代を担う人材育成のあり方とは?【連続企画 「持続可能な学校」「持続可能な教育」をどう実現するか? #00】

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「持続可能な学校」「持続可能な教育」をどう実現するか?
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学校をめぐる「持続可能」というキーワード。教師を取り巻く環境の整備、および次代を担う人材の育成という2つの視点から、「持続可能な学校」「持続可能な教育」の実現について考えていく。

教師を取り巻く環境は“危機的状況”

2023年5月、中央教育審議会初等中等教育分科会 質の高い教師の確保特別部会は「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策(提言)~教師の専門性の向上と持続可能な教育環境の構築を目指して~」を取りまとめた。この中で同部会は“学校教育の成否は教師にかかっている”としながら、現状は子どもたちが抱える困難の多様化・複雑化や、保護者や地域からの期待の高まりなどから業務が積み上がっており、教師を取り巻く環境は「危機的状況にあると言っても過言ではない」としている。

そのうえで、こうした状況を改善し持続可能な学校の指導・運営体制を構築していくために、教育に関わるすべての者の力を結集して取り組む必要があると指摘。「国、都道府県、市町村、各学校など、それぞれの主体が自分事としてその権限と責任に基づき主体的に取り組むこと」および「保護者や地域住民、企業など、社会全体が一丸となって上記の課題に対応していくこと」が重要だとしている。

持続可能な学校教育を実現していく上での当面の課題は、働き方の改善を通じて教師のウェルビーイングを確保し、教師としての役割を十全に果たせる環境を整備していくこと、そして今後の学校教育を担う多様な人材を確保していくことであろう。

提言に「緊急的」とあるように、10年後、20年後にも質の高い学校教育を維持していくには、まさに“待ったなし”の状況といえる。個々の学校でまずできることは何か、そのために必要な施策とは何か。それぞれの立場で主体的に考え、迅速に取り組んでいくことが求められている。

予測困難な社会を生きる力を育てるために

一方で学校教育には、「持続可能な社会の創り手」を育成するという使命もある。学習指導要領の前文に、「一人一人の児童が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる。」と示されているほか、2023年6月に閣議決定された新たな(第4期)「教育振興基本計画」においても、そのコンセプトのひとつとして「持続可能な社会の創り手の育成」が掲げられている。

AIの急速な進歩や地球環境の変化など、将来の予測がますます困難になるこれからの時代に、自らが持続可能な社会の創り手、担い手として活躍できる力を子どもたちにどう身につけさせるか。持続可能な開発のための教育(ESD)やSDGs教育はもとより、STEAM教育やグローバル教育、ICT教育などの取組をさらに充実させていく必要があるだろう。

教師を取り巻く環境の改善・整備、そして次代を担う子どもたちへの教育内容の充実により、いかに「持続可能な学校」「持続可能な教育」を実現していくか。識者の提言や各校の事例から考えていきたい。

構成・文/葛原武史(カラビナ)

参考資料
文部科学省「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策(提言)~教師の専門性の向上と持続可能な教育環境の構築を目指して~
文部科学省「小学校学習指導要領
文部科学省「教育振興基本計画

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