小1算数「整理しよう」指導アイデア《絵やグラフから、データの個数や特徴を読み取る》

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

執筆/新潟市立新津第二小学校教諭・風間亜子
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、新潟市立新津第一小学校・新津第一幼稚園 校園長・間嶋哲

単元の展開

第1時 データの個数と種類に着目しながら整理し、よりよい整理のしかたを考える。

第2時(本時)簡単な絵やグラフから、データの個数や特徴を読み取る。

本時のねらい

データの個数を読み取るときには、ものの個数を整理して図や絵グラフで表すことで、最大値や最小値、同数がひと目で比べられるというよさに気付くことができる。

評価規準

  • ものの個数について、簡単な絵や図などに表し、資料の最大値や最小値などを読み取ることができる。(知識・技能)
  • データの個数に着目し、身の回りの事象の特徴を捉えることができる。(思考・判断・表現)
  • 簡単な絵や図を用いてデータの個数を表したり、その特徴を捉えたりすることで、そのよさや楽しさを感じ、今後の学習や生活に生かそうとしている。(主体的に学習に取り組む態度)

本時の展開


かずくらべクイズを しよう!

今日は、釣りゲームで釣った生き物で数比べクイズをします。たくさん問題を考えてきましたよ。

早くやりたいな。全部正解したい。

それでは第1問! あれ、しまった! 答えがどれか分からなくなってしまいました。これではゲームができないですね。


「答えのカードをわざと床に落とす」「答えが分からないふりをする」など、クラスの実態に合わせて演じてください。

できます。みんなで考えれば分かりそうです!


単元を通して同じ題材を使うことで、前時とのつながりを意識させます。

事前に問題とそれに対応する答えをいくつかつくります。答えをバラバラに黒板に貼ることで、クイズを完成させるという目的をもたせ、考える意欲を高めます。難易度を上げる場合は、選択肢となる答えのカードがなくてもよいです。


どうすれば問題の答えが分かるかな。

見通し

たくさん問題があるけど、みんなはすぐにどれがどの答えか分かりそうですか。

このままだと分かりにくいです。昨日やったように、バラバラなものを並べるといいと思います。

どうやって並べていましたか。

ものの大きさをそろえていました。

並べるときに縦と横をそろえていました。


データの個数を並べるよさを、前時の活動をふり返りながら実感させます。

そうすると、すっきりと整理されましたね。でも、どこを見れば答えが分かるのでしょうか。

整理したそれぞれの生き物の数を数えればいいです。そうすると、どの生き物が多いかが分かります。

並べたそれぞれの数の高さを見ても分かりそうです。高いのと低いのがあります。

なるほど。ものの数を整理して、並べたものの数や高さを見ると答えが分かりそうなのですね。

自力解決の様子

A つまずいている子
絵グラフに整理することができない。バラバラな図のまま数えて答えを考えようとしている。


B 素朴に解いている子
絵グラフに整理して答えを考えている。絵グラフに表したそれぞれのものの数を数えて答えを出している。


C ねらい通り解いている子
絵グラフに整理して表し、それぞれのものの数の高さに注目すればすぐに答えが分かることに気付き、答えを出している。


学び合いの計画①

ものの数がバラバラに配置された図を、前時の考え方を使って絵グラフに並び替えます。

その際、タブレット端末を用いて、子供たちが実際に動かしながら図を絵グラフに並び替える活動を行います。

その後、絵グラフから最大値や最小値、同数を読み取ることで「数の大小や差などがひと目で比べやすくなる」という「整理のしかたに気を付けて図やグラフに表すよさ」を実感させたいものです。

1人1台端末活用アイデア①

タブレット端末上で図を動かして絵グラフに並べ替えることで、これまで教科書などに色を塗っていた手間を省くことができます。

また、実際にバラバラの図を絵グラフに整理する過程で、間違いをすぐに正したり、落ちや漏れがなく整理したりできるとともに、工夫して整理するよさの実感をもたせることができます。

ノート例

※子供の考えの表現はタブレット端末を活用します。

ワークシート(タブレット端末)例

※タブレット端末で操作します。
※生き物や答えのカードを動かして、活動します。

<解答前>

<解答後>

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

第1問「一番多いものはどれ?」の答えは何でしょうか。

カニだと思います。

なぜ、カニだと思いましたか。


問題ごとに色を変えて板書することで、子供の理解を促します。(最大値:赤色など)

並べた数が一番多くて、8匹いるからです。

なるほど。並べた数を数えると一番多いことがすぐ分かりますね。

数えなくてもすぐに分かります。カニを並べた高さが一番高くなっているからです。

数えなくても、ものの数を整理すると問題の答えがすぐに分かりそうですね。では、第2問「一番少ないものはどれ?」の答えは何でしょうか。

これも同じように考えれば分かります。並べた数が4匹で一番少ないから、答えはイカです。

数えなくても、並べた高さが一番低いものを探せばいいから、答えはイカだと分かります。

では、最後の第3問「同じ数のものはどれとどれ?」の答えは何でしょうか。

数えるとどちらも6匹で同じ数だから、魚とタコです。

同じ数は、並べた数が同じ高さになっているものを探せばいいです。だから、魚とタコだと分かります。


並べた数を数えたり、並べた高さを比べたりする。

皆さんのおかげで、数比べクイズをすることができましたね。先生が考えた問題は3問だけだったけど、ほかにも整理した図を見て気付くことはありますか。

カニとイカは、数が4匹違います。

カニとタコは、数が2匹違います。魚もタコと同じ数だから、カニと魚も数が2匹違います。

見付けたことをクイズにすると、どんな問題がつくれそうですか。

「カニとイカの違いはいくつ?」がつくれそうです。

「数が4匹違うものは、どれとどれ?」がつくれそうです。


子供から出た考えは、この後の問題づくりのヒントに生かします。

数に注目するといろんな問題がつくれそうですね。皆さんも自分で数比べクイズをつくって、友達と問題を出し合いましょう。

学び合いの計画②

前時の評価問題を使って問題づくりをします。絵グラフから読み取れることを問題にして、数比べクイズをつくります。

できた問題は隣の席の人に出題をします。

1人1台端末活用アイデア②

問題を作成したら、タブレット端末上に提出させます。教師は提出されたものを見て評価ができます。

隣どうしだけでなく、提出させたものはテレビに映して全体でクイズ大会を行うこともできます。

評価問題

ワークシート(ダウンロード可)

ダウンロードはこちら>>

子供の期待する解答の具体例

絵グラフから問題をつくり、正しく答えを作成できる。

・一番多いものは何ですか?→答えはウサギです。
・一番少ないものは何ですか?→答えはキリンです。
・同じ数のものは何と何ですか→答えはゾウとシマウマです。など


発達段階に合わせて、手書き入力、音声入力、タッチパネルのキーボード入力などを選択してください。

感想例

ものの数を工夫して整理すると、多い数や少ない数がすぐに分かりました。もっとクイズに挑戦して、たくさん問題を解きたいです。

板書例


バラバラの図は、白黒印刷をした全体図とカラー印刷をして切り分けてあるものの2つを用意します。そして、白黒印刷をした全体図の上に、カラーで印刷した生き物を1つずつマグネットで貼り付けておきます。そうすることで、生き物が表に整理されたことが分かりやすくなります。

最初はバラバラに掲示します。
問題づくりをスムーズに行うには、これまでのたし算や引き算の単元で問題づくりの経験をさせておくとよいです。

イラスト/横井智美、やひろきよみ

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