小4国語「世界にほこる和紙」京女式板書

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、「世界にほこる和紙」です。この単元では、「伝統工芸について調べ、必要な情報を整理し、リーフレットを完成させる」という学習活動に取り組みます。まずは「世界にほこる和紙」の内容を把握し、中心となる語や文を捉え、文章を要約することを指導します。そのため、要約の仕方の基本を理解させる板書の工夫を紹介します。

監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/前京都女子大学附属小学校教頭・古垣内千鶴子

 

教材名 「世界にほこる和紙」(光村図書出版)

単元の計画(全16時間)

1 伝統工芸に関心をもち、学習の見通しをもち、学習計画を立てる。
2 「世界にほこる和紙」を読み、おおまかな内容を捉え、文章全体を「初め」「中」「終わり」に分ける。
3 「中」を2つのまとまりに分け、筆者の考えの理由となる2つのことを読み取る。
4 「中」で、どのような事例が何を説明するために述べられているのかを読み取る。
5 「初め」「中」「終わり」のまとまりごとに、中心となる語や文を捉え、文章を要約する。
6・7 伝統工芸に関する本について、伝統工芸のよさを中心に要約する。
8 リーフレットをつくることに意欲をもち、取り上げる題材を選ぶ。
9~12 伝統工芸について調べ、必要な情報を整理し、文章の組み立てや資料を考える。
13~15 下書き後、レイアウトを工夫し、リーフレットを完成させる。
16 友達とリーフレットを読み合い、感想を交流する。

板書の基本

〇教材「世界にほこる和紙」には、2つの魅力があります。

1つ目は、「和紙の魅力」を小学4年生の子供に分かりやすく伝えているということです。それは「伝統的なぎじゅつ」「洋紙にはないよさ」をはじめ、絵画や手紙を例にして、和紙の魅力をしっかり伝える文章からくる魅力です。

2つ目は、文章の「初め・中・終わり」の段落の構成をはじめ、文章全体が丁寧に書かれていることです。「中心となる語や文を見付けて要約し、調べたことを書こう」という学習活動に適している教材です。

単元では、「世界にほこる和紙」「百科事典の調べ方」「伝統工芸のよさをつたえよう」という3教材を通して「リーフレット」をつくるということに導いています。

そのためには、「世界にほこる和紙」において、文章のだいたいでなく、「要約」につながる指導を大事にしたいと考えました。

〇「要約」の仕方を丁寧に指導するということが、板書で大事にしたことです。そのための工夫として、第1段落全体を通して、要約の仕方の基本を理解させる板書にしました。全文を視写する活動を通して、1文ごとに、文章の役割を考え、文と文のつながりを読み取る活動を指導しました。

そして、第1段落で習得した方法で、第2段落を自分で行い、要約の力を蓄え、第3段落以降、自分の力で要約の学習活動を続けるという方法を考えました。学習方法を習得させることを目的にした板書です。

本時までに、単元全体の学習活動を見通した後、全文を読み、感想を話し合うことを通して、教材に興味をもっている子供たちでした。そして「中心となる語や文を見付けて要約」することの大事さも理解をしている段階の板書です。

板書のコツ(5/16時間目前半)

小4国語「世界にほこる和紙」 板書
5/16時間目前半の板書

板書のコツ①

日付、題名、めあてを板書しました。

続いて、学習範囲は第1段落であることを指示し、音読をした後、「要約の仕方」の学習であることを説明しました。

そのためには、大事な「中心となる語や文を見付ける」という方法があることに関連させ、本時の「めあて」の意図を説明しました。
 
まず、文の数を確かめます。句点の数が4つであることを確かめ、(1)4文から大事な文を選ぶこと(2)4文からそれぞれの文で大事な語を選ぶことが、初めの学習であることを説明しました。

板書のコツ②

文の①から④まで番号を付け、ノートに書き写させました。教師も、第1段落を全文板書しました。ノートに書き写す活動において指示をしたのは次のことです。

○文ごとに並べて書く(板書の通り)。
○書き込みができるように、1行空けて書く。
○漢字は正しく間違いのないように書き写す。
○書き写しながら、大事であると思える語には印を付けておく。

板書で留意したのは、次のことです。
○ノートに書き写すことを急がないように、子供のノートに書き写しを応援するようにしました。つまり、丁寧に書けない子、書くのが遅い子に負担にならないように、ゆっくりと丁寧な板書に努めました。
○漢字や漢語については、言葉の意味を補足(つぶやき)しながら、関心をもたせるようにしました。例:「無形文化財」「せんい」「日本のわざ」など。

板書のコツ(5/16時間目中盤)

小4国語「世界にほこる和紙」 板書
5/16時間目中盤の板書

板書のコツ①

第1段落を音読し、大事な言葉や文を発表させた後、その根拠を話題にしました。「無形文化財」「すばらしさ」「日本のわざ」など、語句の意味に対する理解を示す発言が続きました。しかし、「要約」につながる、中心となる「語や文」の説明が十分でなかったので、次のように指導しました。

「①の文で大事な言葉は、何ですか」
「①の文で主語は、どの言葉ですか」
「① の文で述語は、どれですか」

子供の発言から、「ぎじゅつが、」「登録されました。」が大事であることを板書しました。

板書のコツ②

②の文では、「紙は」は主語であることがすぐに見付かりました。また、くわしく述べるための、「修飾語」の役割を説明しました。「細い糸のようなものでできています。」が、述語にしては長いという印象をもっている子があり、「述部」の指導をしました。

板書のコツ③

③の文では、主語、述語、修飾語の関係は理解でき、主語、述語を板書しました。
④の文の「日本には、このすばらしいぎじゅつによって、つくられた和紙もあるのです。」では、「この」の指示語が大事であることを付け加えて指導をしました。

板書のコツ(5/16時間目後半)

小4国語「世界にほこる和紙」 板書
5/16時間目後半の板書

板書のコツ①

文と文の関係を考えることを具体的に指導し、板書しました。

①の文では、次のように中心以外の文を削るという指導をしました。

小4国語「世界にほこる和紙」 板書

板書のコツ②

②の文では、「紙は(主語)」を示し、「せんいでできています(述語)」と捉え、①の説明として理解させました。
③の文では「日本のわざが、世界にみとめられたのです。」の文は、①の文の「ぎじゅつ」としてつながっていること、つまり補足説明であることを指導し、板書しました。④についても、①の文の説明であることを指導しました。

板書のコツ③

学習の内容をグループで確かめ合ったのち、第1段落の要約を書く時間を設けました。そのために、中心となる語や文を見付ける方法として、「主語・述語」「修飾語」、そして、「文と文のつながり」を箇条書きとして板書しました。
その後、第1段落の要約文を書く活動を指示しました。

 

構成/浅原孝子

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