小5国語「古文に親しむ」板書の技術
今回の教材は、「古文に親しむ」です。本単元では、「好きな古文を選んで感想をまとめる」という言語活動を行います。そのため、まずは、声に出して繰り返し読んでいくことで文章に慣れ、言葉の響きや独特のリズムの美しさに気付き、古文を読む楽しさを味わえるようにすることです。それのよりどころになるような板書の工夫を紹介します。
監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/大阪府公立小学校教諭・岡本美穂
教材名 「古文に親しむ」(東京書籍)
目次
単元の計画(全3時間)
1 古文を読んで気付いたことや感じたことを話し合う。
2 「竹取物語」「平家物語」「徒然草」「おくのほそ道」をそれぞれ音読し、言葉の響きを味わう。
3 4つの古文から好きなものを1つ選び、気付いたことや感じたことについて、同じ作品を選んだ友達と話し合い、その後学習したことを振り返る。
板書の基本
本単元では、「好きな古文を選んで感想をまとめる」という言語活動を行います。感想に書く内容は、「あらすじ」「この本を選んだ理由」とすることで、古文の魅力に迫ります。書き終えた感想は、学級で読み合い、次の読書活動へとつなげていきます。感想をまとめることを通して、昔の人のものの見方や感じ方に触れ、自分の考えを広げることができるようにします。
また、なじみのない語句や文体に、抵抗を感じることもあるかもしれません。まずは、声に出して繰り返し読んでいくことで文章に慣れ、言葉の響きや独特のリズムの美しさに気付き、古文を読む楽しさを味わえるようにします。
学習指導要領では、
第3学年及び第4学年では、
(学習指導要領の文)
(ア)易しい文語調の短歌や俳句を音読したりするなどして、言葉の響きやリズムに親しむこと。
(イ)長い間使われてきたことわざや慣用句、故事成語などの意味を知り、使うこと。
第5学年及び第6学年では、
(ア)親しみやすい古文や漢文、近代以降の文語調の文章を音読するなどして、言葉の響きやリズムに親しむこと。
(イ)古典について解説した文章を読んだり作品の内容の大体を知ったりすることを通して、昔の人のものの見方や感じ方を知ること。
とあります。このつながりを意識して指導計画を組むようにしました。
板書のコツ(1/3時間目前半)
板書のコツ①
めあては「古文を読んで気づいたことを見つけ、今とのちがいを考えよう。」としました。古文という言葉自体、初めて聞く子供たちもいたので「古文とは何か」と考える様子も見られました。その後、1文ずつ文章を紹介していくので何という題名の作品かを想像しながら音読していくように伝えました。その際、1文はあえてバラバラに紹介していきました。
最初は、「名をば、さぬきのみやつことなむいひける。」の短冊です。ぱっと見て分かりにくいものにしていくことで何度も音読する姿が見られました。「桃太郎」「ごんぎつね」いろいろな作品を想像していた子供たちでしたが、なかなか分からないようで次の短冊を期待しています。
板書のコツ②
そこで、次は「それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。」を貼りました。一寸法師を予想していた子供たちもいたので、より混乱しながら楽しそうに考えています。このように1つずつ短冊を貼っては音読しながら予想していきました。途中から「竹」という言葉で「かぐやひめ」だと分かると「やっぱり」というつぶやきも聞こえてきました。
短冊にすることで、どこにでも動かすことができます。板書では書きにくい上のほうにも表示することができます。貼る位置を移動するだけで子供には刺激になります。子供たちに動かしてもらいながら発言してもらうことなどもできます。こういう動く貼り物を教室に貼っておけば、休み時間などに子供たちは遊びながら学ぶこともできます。
「竹取物語」は「かぐやひめ」の原作であることを知り、子供たちは古文という言葉を知っていきます。
板書のコツ(1/3時間目中盤)
板書のコツ①
その後、その短冊を並びかえるのをペアで相談し、みんなで交流しながら正しく並べ替えをしていきます。教師の範読に続いて音読して、ノートにも書いていきました。ノートに書くことで、今と違う読み方をするひらがな(「む」は「ん」と読むなど)に気付くこともできます。
板書のコツ②
最初はゆっくりとした速度で音読練習をしていきましたが、だんだんと自然な速度で音読できるようになります。また、ノートに書くことで内容の大体を知って音読することもできました。またノートに書くことで、めあてである「今との違い」に気が付く子供たちも出てきます。「おきな」「よろづ」この言葉を想像したり、辞書で調べたりしながら考えていきました。
板書のコツ(1/3時間目後半)
板書のコツ①
本時のまとめです。調べたことを交流し合い、今の言葉との違いに気が付く子供たちです。古文の響きやリズムが心地よかったなど、古文のよさについての感想も振り返りに書かれていました。授業後に学習した言葉で友達と雑談する姿も見られました。「古文っておもしろいな、楽しいな」という感想が多く、「古文に親しむ」ことができました。
構成/浅原孝子