小1国語「しらせたいな、見せたいな」板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、「しらせたいな、見せたいな」です。本単元では、「知らせたいものを観察して、細かいところを見付け、書きたいことをはっきりさせてから文章を書く」ということを学習します。その学習をしやすくするため、観察カードの書き方や文の作り方が分かる板書の工夫を紹介します。

監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立小学校教諭・並木知子(せせらぎの会)

 
単元名 「くわしく かこう」

教材名 「しらせたいな、見せたいな」(光村図書出版 1年下)

単元の計画(全10時間)

1 単元名とリード文を読み、学習の見通しをもつ。
  家の人に知らせたいものを決める。
2 観察カードの書き方を知る。
3 知らせたいものの絵を描き、見付けたことを短い言葉で書く。
4 短い言葉を基にした文の作り方を知る。
5 自分の「かんさつカード」を見ながら、文を作る。
6 文を仲間分けし、書く順序を決める。 下書きをする。
7 下書きを見直す。
8 清書をする。
9 友達と読み合い、良いところを伝え合う。
10 家の人からの感想を発表し、学習を振り返る。

板書の基本

「かんさつカード」の書き方が分かる板書

本単元では、知らせたいものを観察して細かいところを見付け、書きたいことをはっきりさせてから文章を書くということを学習します。

この時期の1年生は、見付けたことや気付いたことをすぐに文にして書くことに慣れていません。そこで、まず、観察カードに絵を描き、見付けたことや気付いたことを単語や語句の短い言葉で書く学習をします。これが「取材」に当たります。

取材の仕方を理解させるために、教科書の例の「かんさつカード」を黒板に貼り、参考にさせます。「◎しらせたいこと『・学校でかっているモルモットのもこのこと』」を板書し、「◎見つけたこと」(取材の観点)を色別のカードで示し、黒板に貼ります(2/10時間目前半の板書)。黒板に貼った「見つけたこと」のカードと同じ色の「言葉のカード」を「かんさつカード」の言葉に重ねて貼り、対応させることで、「何をどのように書けばいいのか」を具体的に理解させることができます(2/10時間目後半の板書)。

黒板に掲示してある「かんさつカード」の内容を、「かんさつカードのかきかた」として整理し、箇条書きで板書し、観察カードの書き方の理解を深めます。

文の作り方が分かる板書

観察カードに書いた短い言葉を使って、文の作り方を学ばせます。「○○は、です。」「○○は、ます。」という文型を板書し、文の形を示します。掲示してある「かんさつカード」の絵と言葉から、「○○は、」に当てはまる言葉や「です。」「ます。」に入る言葉を、教師といっしょに考えさせます。黒板に掲示した「たんざくカード」に一文ずつ書き、繰り返し声に出して読ませ、文の作り方を理解させます。

板書を利用した授業の進め方(2/10時間目前半)

小1国語「しらせたいな、見せたいな」板書の技術  板書
2/10時間目の板書 

1 題名とめあてを読み、学習の見通しをもつ

題名とめあて「かんさつカードのかきかたをたしかめる。」を板書し、本時の学習の見通しをもたせます。

 「かんさつカード」の書き方を確認する

教科書18ページの例を参考にして、「しらせたいこと」の絵が描いてある観察カードを貼ります。「かんさつカード」と板書し、黄色チョークで囲みます。

「かんさつカード」を活用した指導の進め方は、次のようになります。

①真ん中に大きく絵が描かれ、周りに言葉が書かれていること、絵と言葉が線で結ばれていることを確認させます。

②観察カードの右上部に知らせたいものの名前「モルモットのもこ」と書かれていることに気付かせます。そして、「◎しらせたいこと『・学校でかっているモルモットのもこのこと』」と、板書します。

③教科書18ページの下部に書かれている取材の観点を確認させます。示されている「いろ」「かたち」「大きさ・ながさ」「さわったかんじ」「うごき」の言葉を、それぞれ色別のカードで示し、黒板に貼ります。「◎見つけたこと」と板書し、印象付けます。

 ※「ながいひげ」は、長さを表しているので、「大きさ」の観点に加えて示します。

④絵の周りの言葉を声に出して読ませます。色別カードで示された「見つけたこと」が、短く具体的な言葉で、絵の周りに書いてあることに気付かせます。

板書を利用した授業の進め方(2/10時間目後半)

小1国語「しらせたいな、見せたいな」板書の技術  板書
2/10時間目の板書

1 「かんさつカード」の書き方を確認する(つづき)

「見つけたこと」が、「かんさつカード」に、どのように書かれているかを確認させます。「見つけたこと」に示した観点と同じ色の「言葉のカード」を事前に準備しておきます。

「言葉のカード」は、次のように活用します。

・「いろ」について・・・ の言葉のカード(ピンク色)
「しろ」「くろ」「ちゃいろ」の色を見付けたことを確認させ、それぞれの言葉の上にピンク色の「言葉のカード」を重ねて貼ります。

・「かたち」について・・・ の言葉のカード(黄色)
「まるい」形を見付けたことを確認させ、「まるい」の言葉の上に黄色の「言葉のカード」を重ねて貼ります。

・「大きさ、ながさ」について・・・ の言葉のカード(水色)
「ひげが長いこと」を見付けたことを確認させ、「ながいひげ」の言葉の上に、水色の「言葉のカード」を重ねて貼ります。

・「さわったかんじ」について・・・ の言葉のカード(黄緑色)
「さわったらふわふわだった」ということを確認させ、「ふわふわ」という言葉の上に、黄緑色の「言葉のカード」を重ねて貼ります。

・「うごき」について・・・ の言葉のカード(藤色)
「もぐもぐ」が動きを表していることを確認させ、「もぐもぐたべる」の言葉の上に、藤色の「言葉のカード」を重ねて貼ります。

小1国語「しらせたいな、見せたいな」板書の技術  板書

「かんさつカード」に、「見つけたこと」の観点(いろ・かたち・大きさ・ながさ・さわったかんじ・うごき)と同じ色の「言葉のカード」が貼られることで、様々まな観点から取材して、見付けたことを短い言葉で書くことを理解させます。

2 「かんさつカード」の書き方を整理する

「『かんさつカード』のかきかた」と板書します。「かんさつカード」を見ながら、書き方を整理して、箇条書きで板書します。教科書18ページの「男の子のつぶやき」も参考にさせます。

・真ん中に、絵を大きく描く。
・絵から線を引いて、見付けたことを、絵の周りに短い言葉で書く。
・カードのはじめに、知らせたいことを書く。

3 次時の見通しをもつ

本時のめあてを基に、板書を通して学習を振り返ります。次時は、自分が知らせたいことを絵と言葉でかくことを知らせ、学習意欲を高めます。

板書を利用した授業の進め方(4/10時間目)

小1国語「しらせたいな、見せたいな」板書の技術  板書
4/10時間目の板書

1 本時の学習の見通しをもつ   

めあて「見つけたことから、文をつくる。」を板書します。教科書19ページの文章を声に出して読ませ、「かんさつカード」に書かれていた言葉を使って、文章が作られることを確認させます。

※教科書19ページの文章は、拡大して黒板の横に掲示しておきます。

2 文の作り方を確認する

「文のつくりかた」と板書し、青色チョークで囲みます。「かんさつカード」に書いた言葉1つずつについて、文を作ることを確認させ、「一つのことば→一つの文」と板書します。文の作り方については、「○○は、です。」「○○は、ます。」という文型を示し、青色チョークで囲み、印象付けます。

指導の進め方は、次のようになります。

(1)黒板に掲示した「かんさつカード」の言葉を読みながら、いくつあるか数え、一つ一つの言葉に通し番号を振ります。番号を振っておくと、文を作る際に、いくつの文を作ることができるか見通しをもつことができます。黒板の「かんさつカード」の例では、①から⑧まで言葉があるので、8つの文が作られることを確認させます。そして、「たんざくカード」と板書し、黄色のチョークで囲みます。「かんさつカード」の左側に8枚の短冊カードを貼り、①から⑧の番号を振ります。

(2)文の作り方を確認させます。「○○は、です。」「○○は、ます。」の文型を読み直し、「です。」「ます。」のには、「見つけたこと」が入ることを確認させます。例として、番号①の言葉(しろ)について、「○○は、です。」と文を作り、何が白いのか、○○に入る言葉(主語)を見付けさせます。「かんさつカード」を見ながら、「けが、しろい」ことを確認させ、「けは、しろいです。」という文を作ります。黒板に掲示した①の短冊カードに書き、声に出して読ませます。

(3) ①の短冊カードを参考にして、⑧の言葉まで、同じような手順で文を作ります。短冊カードに書き、その都度声に出して読ませます。声に出して読むことは、文の形式を理解させることにつながります。

〈短冊カード〉
① けは、しろいです。
② めは、くろいです。
③ めは、まるいです。
④ けは、ちゃいろです。
⑤ もこは、えさをもぐもぐたべます。
⑥ ひげは、ながいです。
⑦ けは、ふわふわです。
⑧ けは、くろいです。

⑤の言葉「もぐもぐたべる」については、「○○は、」に当てはまる言葉(主語)を考えさせ、「もこは、えさをもぐもぐたべます。」という文が作れることを確認させます。

④声に出して読むことで、「○○は、」の主語が、同じ言葉の文があることに気付かせます。何について書いてあるのかをはっきりさせるために、同じ言葉は、同じ色で囲みます。それは、「文の仲間」として意識させることにもつながります。そうすることで、文章を書く際に、仲間分けした文で段落を作ることにつながります。

小1国語「しらせたいな、見せたいな」板書の技術  板書

3 次時の見通しをもつ

本時のめあてを基に、板書を通して学習を振り返ります。次時は、自分が知らせたいことの「かんさつカード」の言葉から、文を作ることを知らせ、意欲を高めておきます。

 

構成/浅原孝子

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