【相談募集中】教員2年目。周りの先生方へ迷惑をかけたり、保護者からの信頼関係を崩したりしないために大切なのは?

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「全国教育交流会」代表

中野敏治

周囲の先生に迷惑をかけたり保護者からの関係性がうまくいかなかったりすることが多くてつらいと悩む教職2年目の先生からの相談が、「みん教相談室」に届きました。一度落ち込むとなかなか気持ちを切り替えることができないという相談者さんへ、元中学校校長で「全国教育交流会」代表の中野敏治先生が、教師として働く上で感じる不安を解消するための考え方とアイデアを教えてくれました。

イラストAC

Q.教員2年目。経験不足から、周りの先生方へ迷惑をかけたり、保護者からの信頼関係が崩れてしまったりするのが怖い

教員2年目ですが、経験不足もあって、周りの先生方に迷惑をかけてしまったり、特に保護者との信頼関係が崩れてしまったりするのがつらいです。先輩の先生方に助言をもらって、自分でも振り返りや反省したことを日記に書くようにしています。2年目なのでもっとしっかりしなくてはと思いながらやっていますが、やはり自分のクラスは保護者のクレームが他のクラスよりも多い気がしてしまいます。担任としても教科指導でも自信をなくしてしまったとき、気持ちの整理ができるまで時間がかかってしまいます。一度ミスをしたり、落ち込んでしまうと立て続けにミスを連発してしまい、自分が情けないです。すぐに切り替えられるようになるには経験を積むしかないのでしょうか? 立ち直る方法など、アドバイスをお願いします。(ライム先生・20代女性 中学校 英語)

A.不安を払拭するためには、まずは生徒との信頼関係をつくりあげること

クラスの子どもたちの姿を思い浮かべてください。もし先生が1年遅く教師になったら、1年早く教師になったら、今の勤務校に着任しなかったら、今の学年の所属にならなかったら、今のクラスの担任にならなかったら……、こう考えると、先生にとっても、クラスの子どもたちにとっても、奇跡的な出会いをしたのです。

担任とクラスの生徒としての関係は、人生の中でたった1年間です。でもこの1年間は、先生も生徒も大きく変わる、大きく成長をするという大きな意味をもちます。

保護者からの信頼関係が壊れそうだと不安に思い、保護者の顔色を伺いながら指導をすると、先生のその姿勢を生徒は見抜きます。先生自身も、もっと自信をもって自分らしく指導をしたいと思っていることでしょう。でもそれがなかなかできないのですね。だからより不安になり、その不安が新たな不安を生みだしてしまうのでしょう。

「厳しく指導をしてください」という保護者もいますし、「厳しいと子供のやる気がなくなります」という保護者も出てきます。判断は先生がしなければなりません。生育歴もみんな違いますから、なかなか難しいことですが、先生はそれを判断し、指導をしていかなければなりません。

そして、生徒のことを思って判断したことであるならば、どちらを選んでも先生の判断は間違っていません。判断基準は「生徒のためにどうするか」です。

不安の原因は、教師としての経験がまだ少なく、いろいろと意見を言われても、その判断材料が整っていないからでしょう。では、どうしたらよいかを考えていきましょう。

先生からのメッセージを生徒一人一人に宛てて届ける

まずは生徒との信頼関係を学級経営の中でしっかりとつくり上げていくことです。

例えば、帰りの会の5分間を使い、生徒に「生活ノート」的なものを書く時間を確保するのです。最初は何を書いてよいのか生徒は迷うでしょう。そんな時は先生がテーマを与えます。「体育祭に向けて」「どんなクラスにしたいのか」「夏休みにしたいことは?」など、具体的なテーマを与えると生徒は書きやすくなります。短い時間ですからたくさんは書けないと思います。

そして、そのノートに先生がメッセージを返していきます。多忙な公務もあると思いますので、毎日することが難しければ、週に2回とか曜日を決めて行うのもよいかと思います。こうして先生のメッセージを一人一人の生徒へ届けるのです。

生徒との関係が確立できれば、保護者からのクレームは激減します。保護者は学校のことを、生徒を通じて聞いているからです。

「生活ノート」的なものは、教科で行うこともできます。数学ならば、授業がある日までに、生徒が自分で計算問題を探して10問以上解いてくる。そのノートが提出されたら、教科の先生がコメントを書いて一人一人の生徒に返していくというものです。

こういった取組が定着し効果が出てくるまでには、時間を要します。気長に取り組んでいきましょう。

気持ちを切り替えるためのおすすめの方法

先生は多忙です。働き方改革が騒がれていますが、どの部分を軽減化するのかを考えると、生徒との関わりの部分は軽減してはならないはずです。学校は生徒のためにあるのですから。そして生徒と先生とで学校をつくっていくのですから。

私が校長の時、職員にこんな話をしました。「忙しい時ほど、ていねいに、ゆっくりと」と。忙しいと焦りが出てミスが起きやすくなります。ミスが起きると不安になります。「忙しい」「不安だ」と思ったときに、心を落ち着かせるキーワードとして思い浮かべる自分だけのメッセージを決めておくのも、おすすめですよ。


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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