【相談募集中】「好きな友達がいないから、クラスが嫌だと言っている」と保護者に言われて……
みん教相談室に寄せられたのは「クラスに否定的な子どもと保護者」に関する相談です。30代のさと先生は「どんな工夫をしてもクラスに否定的な子どもと保護者に、何かできることはないか」と悩んでいます。回答者は元公立小学校校長で、学校法人八王子学園なかよし幼稚園園長・創価大学教育学部非常勤講師の清水弘美先生。子どもにとっての楽しいクラスをつくる方法を交えて、答えていただきます。
目次
Q.クラスに否定的な子供と保護者に担任としてできることは?
「好きな友達がいないから、今のクラスが嫌だと言っている」と会う度に伝えてくるAさんの保護者。クラスイベントやレクを取り入れたり、授業を分かりやすくしようとしたり、少しでもAさんがクラスを好きになるように努力しているつもりです。
しかし、そういうところは全く評価されず、電話でも参観日に会って話しても「Aは早く次の学年になることを望んでいます」「毎日今のクラスが嫌だと言っています」「次は絶対BさんやCさん、Dさんたちと一緒にしてください」ということを毎回言われます。
「こういう考えの人がいると、行事等でクラスの団結はあり得ないし、同じような不満があってもプラス思考でいる他の子や保護者にも失礼だ」と、Aさんと保護者を色眼鏡で見始めている自分にも失望してしまいます。Aさんや保護者の考えを変えることはできないと思いますが、何か自分ができることはないのか、模索中です。同僚に相談しても「そんなわがまま、ほっといたらいいわ」と言われるだけです……。
(さと先生・30代女性)
A.保護者の苦情は軽くかわして、楽しいクラスをつくるための実践を続けましょう
子どものネガティブな気持ちを笑顔で明るく受け止めましょう
先生はたくさんの工夫をなさっていますね。子供を大事に考えているのが伝わってきます。学級経営のポイントは、教師が頑張るのではなく「子どもたちが自分たちの力で楽しいクラスをつくる」ことができるような活動を組むことです。
Aさんに対しては、保護者も神経質になっているし、個別に軽く言葉がけを続けておけばよいです。その際「このクラスが嫌だ」というネガティブな言葉には「そうかぁ辛いね、でも先生は、Aちゃんが頑張って学校に来てくれるからとっても嬉しいよ。すごく幸せな気持ちになるの、ありがとうね」と、笑顔で明るく受け止めましょう。
人の気持ちを変えることはできませんから、受け止めるだけで十分です。親身に寄り添って一緒に暗くなるのは意味がありません。
保護者には「クラス替えの権限は自分に無い」と伝えましょう
同じように、Aさんの保護者の毒気にも注意が必要です。たくさんの工夫をしているだけに「こんなに〇〇しているのに 」と考えたくなりますが、そうすると先生が「『のに』の呪い」にかかってしまいます(笑)。「のに、のに 」と言っていると、あなた自身のエネルギーが奪われてしまいます。
保護者の苦情には「クラス替えに関しては校長判断でして、お考えをお伝えはしておきますが、校長先生のお考えもありますので、私にはどうにもできないのですよ」と軽くかわしておきましょう。担任に言ってもらちがあかないと、校長室に向かってくれたら正解です。
楽しいクラスは子どもたちがつくり上げるもの、話合いや実践の機会をたくさん持ちましょう
そしてAさんにばかり気持ちを持っていかれないように、あなたの周りの楽しそうにしているたくさんの子どもたちをしっかり見つめてください。先生は、Aさん以外の子どもたちをしっかり見て、子どもたちが自分たちで楽しいクラスをつくるために、話し合って合意形成して実践して行く機会をたくさんつくってあげることです。自分たちでつくる楽しい時間は必ず、子どもの心のつながりを深めてくれます。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。