小5国語「動物たちが教えてくれる海の中のくらし」板書の技術
今回の教材は、「動物たちが教えてくれる海の中のくらし」です。本単元では、「文章全体の構成、要旨を把握する力を身に付けられるようにする」ことを目標としています。そのため、「要旨」を把握することにつなげるための様々な板書の工夫を紹介します。
監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/大阪府公立小学校教諭・岡本美穂
教材名 「動物たちが教えてくれる海の中のくらし」(東京書籍)
目次
単元の計画(全9時間)
1 学習の見通しをたて、単元のゴールが意識できるようにする。
2 文章に書かれている内容を、叙述を基に押さえる。
3・4・5・6 文章の構成を考えながら読み、整理する(序論、本論、結論)。
7 文章の要旨をまとめ、読み合う。
8 それぞれ書いた「要旨」を基に、考えたことを伝え合う。
9 振り返る。
板書の基本
子供たちは、これまで説明文の学習において、低学年では時間の順序や事柄の順序を考えながら、大まかに内容を捉える学習に取り組んできました。また中学年では、段落相互の関係に着目しながら、筆者の考えとその根拠について、叙述を基に捉える学習に取り組んできました。これを土台に、この単元では、文章全体の構成、要旨を把握する力を身に付けられるようにしていきたいと考えました。
「要旨」という学習用語が、この単元で初めて提示され、学習内容になります。初めてですから、「要旨」という用語の意味を理解させることが必要です。それは用語の説明ということでなく、文章を読み取る過程で理解するという指導を意味しています。具体的には、筆者が文書の中で取り上げている事実と感想に着目することです。
そこで、板書では「筆者の伝えたいことをまとめよう」と短冊に書くことで、単元のゴールを視覚化しています。そして、板書では、本時の「めあて」を毎回書くようにしています。1学期は「友達の話をしっかり聞きたい」「~をがんばりたい」など授業態度のことから、徐々に「~について考えたい」と教材の文章についてより深く理解しようとする「めあて」に移行できるようにしていきたいと考えています。具体的になることを目指しているので、チョークの色分けも、態度面はピンクのチョーク、教材の内容などについては黄色のチョークで色分けしています。
板書のコツ(2/9時間目)
板書のコツ①
めあては「大事な言葉を見つけて考えよう。」です。まず、1、2段落を音読しながら、大事だと思った言葉に線を引くように伝えました。線を引くという作業は、国語が苦手だと思っている子供でも難しさを感じにくくなります。そして、線を引いた後に交流し合いました。それを真ん中に板書していきます。
板書のコツ②
教材解釈していくなかで核になる言葉だと思った「海の中のくらしぶり」「バイオロギング」を黄色のチョークで書くことで、目立つようにしました。そしてそのキーワードから序論の役割や筆者の考え、主張を読み取ることをしたかったので、色分けして囲みながら板書しています。
板書のコツ③
「題名に筆者の主張が隠されている」という子供たちの発見があったので、それが見ただけで分かるように色で区別しています。そして、これまでに学習した物語文や説明文と比較しながら読み取る子供たちもいたので、系統的に学ぶことは国語の授業で大事にしていきたい1つであるため、板書することにしました。
板書のコツ(5/9時間目)
板書のコツ①
めあては「本論三について考えよう。」です。この教材は、本論を3つに分けることができるので、それぞれに題名を付けるという活動をしました。この題名を付けるという取り組みは、「要約」することにつながっています。そこから、単元の最後の「要旨」につなげていく計画です。
板書のコツ②
毎回、授業の最初に「この教材のめあては?」と言いながら、みんなで「筆者の伝えたいことをまとめよう」と言いながら短冊を貼るようにしていました。ただ「めあて」を書いたり写したりする作業となっては意味がないので、そうならないように、話し合いの途中で「筆者」意識の発言が出てきたら、黒板に印を付けるなどして考えられるようにします。
板書のコツ③
国語の用語である「問題提起文」「筆者」「序論」「本論」「結論」などの言葉は、板書で黄色を使い、目立つように書くことにもこだわっています。
板書のコツ(6/9時間目)
板書のコツ①
これまでの学習とつなげ、今回のめあても「結論について考えよう。」とシンプルにしています。こうすることで、子供たちが「結論とは?」と交流を進めていく姿を見ることができました。みんなが安心して発表できるようにするための工夫です。
板書のコツ②
板書を通して、筆者の主張は何なのかを考えたくなるようにしています。子供たちが注目していた「動物たちから学べることは、まだたくさん残されている。」という筆者の言葉を四角で囲むことで、その主張が目立つようにしています。
構成/浅原孝子