【相談募集中】被害児童の保護者とこじれてしまいました。担任として何ができますか?

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兵庫県公立小学校校長

俵原正仁

ある問題行動で被害児童の保護者とこじれてしまったと「みん教相談室」へ相談が寄せられました。学校の責任として校長が対応したものの、保護者の学校に対する不信感はいまだに拭えていないのだそうです。担任としてどうすればとの悩みに、兵庫県公立小学校校長・俵原正仁先生が回答した内容をこちらでシェアします。

写真AC

Q.学校としての対応が悪かったのか、保護者とこじれてしまいつらいです

クラスで子供が問題行動を起こした際、管理職に相談して対応しました。被害児童の保護者への連絡やその後の指導などについて相談し、保護者への連絡は担任としてわたしが事実を伝えた後、校長が学校で起きたことだから直接謝罪するということで進めました。

被害にあった児童の保護者はその後も何度か電話をしてきて、ご夫婦で学校にも来ました。加害児童への指導をきちんとしてほしいということも含め、学校の対応に不満があったから何度も連絡したり来校したりしたのだと思います。

学校で話した後、それでも納得できなかったようで警察にも行きました。来校した際は校長が対応していたのですが、担任としてわたしも同席しました。話せば話すほどかなりヒートアップさせているように感じました。

その後、警察に行ったことでわたしも警察に事情聴取をされ、かなり辛い思いをしました。校長がもっと保護者の思いを受け止めて対応していればこんなことにはならなかったのではないかと思ってしまいます。保護者の学校に対する不信感はかなり大きくなっていると思います。どうしていけば良いのでしょうか。(なやなや先生・30代女性教諭)

A. 今、大切にすべきはクラスのすべての子供たちです

なやなや先生、ご相談ありがとうございます。このようなトラブルは、私も担任時代に何度か経験していますので、なやなや先生の担任としてのしんどさも想像できます。問題行動が起こった際、一人で抱え込まず、管理職に相談して、チーム学校として取り組む体制ができたことは、初動体制としてとてもよかったと思います。

ただ、残念なことに、校長の「保護者の思いを受け止める」対応ができなかったため、話がこじれてしまったようですね。現状では、保護者の意識が「対学校」になっていますので、なやなや先生が保護者に対して、積極的にできることはあまりありません。学校への信頼感を回復するための保護者対応は、管理職や教育委員会の仕事になります。

保護者対応よりも、今、なやなや先生が大切にしなければいけないことは、クラスの子どもたちです。被害にあった児童や加害児童へのケアはもちろんですが、それと同じくらい、この件に関係していない多くの子どもたちに意識を向けてください。人は、トラブルが一つ起きるとそのことだけが気になり、他が見えなくなってしまう傾向があります。そのため、普段なら気づくようなことを見過ごしてしまい、さらに新たなトラブルが雪だるま式に増えていくことになりがちです。クラスをこのような状況にしてはいけません。

つまり、今まで通り、クラスのすべての子どもたちを意識して、今まで以上に、子どもたちが笑顔で過ごせる学級をつくっていかなければいけないということです。そのためには、何よりも、教師が笑顔になることです。「笑顔をつくってクラスの子どもたちの前に立つ」……これが、担任として、なやなや先生が行うべきことになります。保護者対応で気分も沈みがちだと思います。でも、ここは一念発起。カラ元気でもかまいません。笑顔の教師が笑顔の子どもたちを育てます。

しんどい状況は一朝一夕で変わることはありませんが、なやなや先生は、決して一人ではありません。職員室には支えてくれる仲間がいると思いますし、全国には、なやなや先生と同じような状況で悩みながらもがんばっている先生もたくさんいるはずです。

「やまない雨なんてない!」
「GOALはHAPPY ENDに決まっています」

共にがんばりましょう!


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