私のChatGPT活用アイデア:学級のキャラクターづくり|次呂久あや 先生(沖縄県公立小学校)
ユーザーからの様々なリクエストに高度で自然な回答を返すAIサービス「ChatGPT」を、教育の現場でどのように扱ったらよいのか、教室での手探りの実践が始まっています。今回は沖縄県の公立小学校教諭・次呂久あや先生から届いた実践事例の紹介です。
実践報告/沖縄県石垣市立石垣小学校教諭・次呂久あや、阿次富一輝
ChatGPTが教育を変える、かもしれない。かもしれないが、触ったこともないのでよくわからない。まずは触ってみることから始めなくちゃ。じゃあ、どの教科、どの単元で取り入れることができるんだろう……本当にゼロからのスタートです。
そして今回私たち4年生担任は、学級活動と国語の単元を使って、「学級のキャラクターづくり」をテーマに、①アイディアの壁打ち機能、②推敲のパートナーという視点を活かした授業づくりをやってみることにしました。
目次
単元について(学活2、国語1)
【学習活動】学級のマスコットキャラクターをつくろう
【学習計画】
第1時 学級のマスコットキャラクターを考える
第2時 マスコットキャラクターのイラストと説明をかく
第3時 みんなが考えたアイディアの中から学級のマスコットキャラクターを選ぶ
新年度がスタートして1か月。担任2人ともはじめましての学年です。1か月を通して学年全体の雰囲気、子供同士の関わりも見えてきました。絵を描くことが苦手だったり、周りと自分を比べて自信がなかったりと、子供たちの課題も見えてきました。
一人一人が考えを伝えあい、よりよいイメージを作り上げていく活動の中で、学級への所属意識や自己有用感を感じられるきっかけにできないかと考えました。そこで、学級のマスコットキャラクターをつくり、1年間の学習活動に活用しようと、学年で取り組むことにしました。
第1時 学級のマスコットキャラクターを考える
GWが明け、1週間ぶりに子供たちが顔を合わせました。「改めて、この1年間どんなクラスにしたい?」こんなクラスがいいというイメージ出しを、子供たちとの対話から始めました。

「言葉も気持ちもポジティブ」「みんな仲間」「自分の世界を広げる」どんどん出てきました。じゃあその思いをぎゅっと詰めた、私達クラスのマスコットキャラクターがあると嬉しいね、作ってみよう!

すでに本校にはシーサーをモチーフにしたマスコットキャラクターがいます。子供たちの学習プリントや学校の掲示物にも使われており、馴染みもあります。しかし、マスコットに込められた思いや名前のイメージなどを知る子はほとんどいません。「ぱいーぐる」(カンムリワシ)「ピカリャー」(イリオモテヤマネコ)など、動物をモチーフにした地域のマスコットキャラクターもいるのですが、やはり込められた思いについては知らないようでした。
そこで、まずは学校キャラクターについて、モチーフ、性格、名前などに込められた思いについて紹介しました。
でもそれを知って、すぐに学級キャラクターのアイディアが出そう、という子はほとんどいません。そこで、どんな質問にも答えてくれるChatGPTに、マスコットキャラクターを考えてもらうことにしました。
学級のマスコットキャラクターを考えてください。
この指示だけででてきたのは
もちろんです!学級のマスコットキャラクターを考えてみましょう。以下にいくつかのアイデアを提案します。
1. ペンパンダ: ペンシルとパンダのハイブリッドキャラクター。可愛らしい黒と白のパンダの体に、鉛筆の先がついた手足を持っています。知識と創造性を象徴するキャラクターです。
2. イマジン: 想像力にあふれる存在。色とりどりの羽根と鮮やかな魔法の杖を持っており、いつも新しいアイデアと冒険を提案してくれます。創造力を刺激するキャラクターです。
3. ブレインスター: 頭脳明晰なキャラクターで、大きなメガネをかけています。頭の上には星が浮かんでおり、学問と知識の象徴としています。勉強や学習に励む姿勢をサポートするキャラクターです。
4. カラフルトート: 色とりどりの絵の具缶に手足がついたキャラクター。創造力や芸術的な表現をイメージさせる存在で、絵画やクラフト活動を愛する子供たちを応援します。
5. ロギー: 賢くて冒険心旺盛なキャラクター。大きな眼鏡をかけ、常に本を持ち歩いています。謎解きや知識の探求を好み、学びの旅をリードする存在です。
これらはあくまでアイデアの一部ですので、学級の特性や好みに合わせてカスタマイズすることもできます。マスコットキャラクターは学級のアイデンティティを表現し、子供たちにとって楽しく学ぶきっかけとなるでしょう。
「えーよくわからない」「指示が足りないんじゃない」「こんなクラスにしたいというキーワードを入れてみたら」そんな会話が飛び交います。子供たちとの会話から、改めてChatGPTに指示を出しました。
小4の学級マスコットキャラクターです。クラスのめざすイメージは1ポジティブ、2みんな仲間、3困ったときにそばにいる仲間、4一人ひとりがつながる。このイメージで作ってください。
この指示でできたのは……
素晴らしい!それでは、小4の学級にぴったりのマスコットキャラクターを考えてみましょう。以下が提案です。
名前: キズナ
外見: キズナは愛らしい動物のキャラクターです。小さなぬいぐるみのような姿をしており、ふわふわの毛と明るい色の体を持っています。手足はやわらかい触感のリボンでできており、背中には繋がるリボンのパーツがあります。
特徴:
1. ポジティブ: キズナは常に笑顔で、明るく元気な性格です。学級のみんなにポジティブな気持ちを与える存在です。
2. みんな仲間: キズナは仲間意識が強く、友情や協力を大切にします。学級のみんなが一体感を持って活動できるように、絆を育む存在です。
3. 困ったときにそばにいる仲間: キズナは優しい心を持っており、困ったことや悩みを抱える子供たちのそばに寄り添います。相談にのったり、助けを提供したりすることで、安心感を与えます。
4. つながり: キズナの背中のリボンは、一人ひとりの子供たちをつなげる象徴です。リボンのパーツが学級全体を繋ぎ、みんなが一つのチームとして成長していく様子を表現しています。
キズナは学級のシンボルとして、ポジティブな雰囲気と友情を育む大切さを伝える存在となるでしょう。みんながキズナと一緒に過ごすことで、学級の結束が深まり、楽しく学ぶことができるはずです。
もひとつ作ってください。
もちろんです!もうひとつの提案です。
名前: ユニティ
外見: ユニティはバラエティに富んだ色とりどりのパズルピースのような形をしています。それぞれのピースは異なる色や模様を持ち、全体としてはぴったりはまる形状をしています。
特徴:
1. ポジティブ: ユニティは常に明るく前向きなキャラクターです。どんな困難な状況でも、希望と元気を与える存在です。
2. みんな仲間: ユニティのパズルピースは、個々の個性や違いを象徴しています。それぞれのピースが違う形や色を持ちながらも、お互いを受け入れ合い、協力し合うことで完全な形を作り上げます。
3. 困ったときにそばにいる仲間: ユニティは困ったときに頼れる存在です。どんな問題や課題が生じても、みんなで協力して解決することを重視します。一人ひとりがお互いをサポートし、困難を乗り越えるための絆を築くのに役立ちます。
4. つながり: ユニティのパズルピースは個々の子供たちをつなげ、一つの大きな絵を作り上げます。それぞれのピースが重要であり、一つ抜けることなく結びつくことで、学級全体が強くつながっていることを表現します。
ユニティは学級の結束と協力を象徴するマスコットキャラクターとして活躍します。みんながユニティと一緒に学び、困難を乗り越えながら結束を深めていくことで、学級の一体感が高まります。
「おーなんかかっこよくなってきた」「でも名前が微妙」「あまり石垣島っぽくないね」そこで石垣島らしいイメージを加えてと、さらに条件を加えていきます。
石垣の小学校なので、石垣の自然をモチーフにしたものにしてください。
石垣の小学校向けのマスコットキャラクターとして、石垣島の自然をモチーフにしたキャラクターを考えてみましょう。
名前: シーサー
外見: シーサーは石垣島の特徴的なシーサー像(石像)をイメージしたキャラクターです。シーサーの体は石の質感を持ち、明るい色合いの岩の模様が施されています。顔は可愛らしい表情で、伝統的なシーサーの特徴である角や牙があります。
特徴:
1. 自然への愛: シーサーは石垣島の自然に深い愛着を持っています。海や山、植物など、島の自然環境を大切にすることを子供たちに伝えます。
2. 勇気と守護: シーサーは勇敢で守護の存在です。学級の仲間や自然を守るために、困難に立ち向かい、助けることを教えます。
3. 自然の知恵: シーサーは石垣島の自然にまつわる知恵を持っています。例えば、海や森の生物や植物に関する興味深い情報や、地元の文化や伝統を子供たちに教えます。
4. つながりと調和: シーサーは自然と人間のつながりと調和を象徴しています。自然との共存や環境保護の重要性を伝え、子供たちに地球への思いやりを育むことを助けます。
シーサーは石垣島の自然環境や文化に根ざしたマスコットキャラクターとして、学級の子供たちに地元の魅力や責任を啓発する役割を果たします。彼らの存在は学級のアイデンティティを豊かにし、子供たちが自然とのつながりを大切にし、誇りを持って学び成長することを促します。
「そのままだ」「学校マスコットとかぶった」「他のモチーフはないかな」子供たちは石垣島らしい生き物や自然をどんどんあげていきます。
石垣らしさの溢れるキャラクターにします。1つめはサンゴ、2つめはオオゴマダラ、3つめは海、4つめはウミガメでつくってください。
石垣らしさを取り入れたキャラクターとして、以下の4つの提案をします。
1. サンゴちゃん:
外見: サンゴちゃんは明るい色合いのサンゴの姿をしています。多彩な模様があり、元気いっぱいな表情を持っています。小さな足があり、サンゴの枝や鈍い感覚の触手があります。
特徴: サンゴちゃんは石垣島の美しいサンゴ礁を代表する存在です。元気で活発な性格で、自然の大切さや海洋保護についての知識を子供たちに伝えます。
2. オオゴマちゃん:
外見: オオゴマちゃんは美しいオオゴマダラ蝶の姿を持っています。鮮やかな色彩の羽根を持ち、軽やかな飛び跳ねる動きが特徴です。
特徴: オオゴマちゃんは石垣島の固有種であるオオゴマダラ蝶をイメージしたキャラクターです。優雅で優しい性格で、自然の美しさと多様性を子供たちに伝えます。
3. カイちゃん:
外見: カイちゃんは元気なウミガメの姿をしています。丸い甲羅と大きな目が特徴で、ユーモラスな表情を持っています。
特徴: カイちゃんは石垣島の海を代表する存在です。優しい性格で、海洋生物の大切さや海の環境保護についての意識を子供たちに伝えます。海の恵みと共存することの大切さを伝えるでしょう。
4. ウミちゃん:
外見: ウミちゃんは愛らしい海の波の形をしたキャラクターです。青く透明感のある体を持ち、笑顔の口があります。
特徴: ウミちゃんは石垣島の海そのものを象徴する存在です。穏やかでおおらかな性格で、海の美しさと自然との一体感を子供たちに伝えます。海の大切さや保護の重要性を教えるでしょう。
これらのキャラクターは石垣島の自然や海の美しさを子供
先ほど学級のイメージを加えてもう1つ作ってください。
石垣島の自然と学級のイメージを踏まえたキャラクターとして、以下の提案をします。
5. ウミコーちゃん:
外見: ウミコーちゃんは、ウミガメのかわいらしいキャラクターです。淡いグリーンの甲羅と、青い水玉模様があしらわれた赤いリボンが特徴です。丸いおなかと四角い手足が愛らしく、表情はいつも優しい笑顔です。
特徴: ウミコーちゃんは、海と学級のイメージを融合させたキャラクターです。自然に親しみやすいキャラクターで、みんなが仲良くつながっている雰囲気を持っています。ウミコーちゃんは、困ったときにはいつでもそばにいて、みんなを元気づけてくれる頼れる存在です。また、ウミコーちゃんは、海の大切さや海洋保護についての意識を高めるための学習ツールとしても活用できます。
提案が出るたびに「おー」と歓声が上がり、「なるほど、そういうイメージなのか」と納得する子供たち。この時点で、使ってみたいモチーフが見つかった子もいました。
ChatGPTにアイディアを求め、出されたキャラクターについて話をしていく中で、自分たちの中にあるキャラクターへのイメージも形になってきたようです。そうして「あなたならどんなマスコットキャラクターにする?」活動にスムーズに入っていきました。
キャラクターの作画はロイロノートに直接描いてもらい、全体共有しました。カンムリワシ、オオゴマダラ、サンゴ、パインなど石垣島の自然をモチーフにする子。普段から使っているランドセルやペンなど、身近な物をモチーフにする子。中には、たくさんの色を使うことで多様性を表現する子もいました。とにかく、夢中でキャラクターイメージと設定を考えていました。
