小2特別活動 学級活動編「夏祭りをしよう」指導アイデア

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【文部科学省視学官監修】特別活動 指導アイデア
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帝京大学教育学部教授(前文部科学省視学官)

安部恭子
小2特別活動 学級活動編「夏祭りをしよう」指導アイデア バナー

文部科学省視学官監修による、小2特別活動の指導アイデアです。7月は、学級活動(1)「夏祭りをしよう」を紹介します。

7月に入り1学期末が近づいてくると、子供たちから「1学期がんばったから、楽しい集会をして2学期もがんばりたい」「夏休み前に、みんなで楽しい集会をして、もっと仲よくなりたい」という声が聞こえてくるようになります。1年生で学期末などの節目に「〇学期がんばったね会」や「1年生思い出パーティー」などを経験し、仲を深めてきた子供たち。そのときのことを思い出し、みんなで楽しい思い出となる集会を実施して、1学期を終わらせたいようです。これまでの経験をもとに、自分たちの学級生活を自分たちで豊かで楽しいものにする活動を大切にしたいものです。

執筆/青森県公立小学校教諭・澤田実希
監修/文部科学省視学官・安部恭子
 青森県八戸市総合教育センター所長・河村雅庸

年間執筆計画

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04月 クラスの合言葉をつくろう
05月 ワクワクして楽しい運動会にするための工夫を考えよう
06月 雨の日の遊びを決めよう
07月 夏祭りをしよう
09月 夏休みの思い出発表会をしよう
10月 なわとび集会をひらこう
11月 なかよし学きゅうまつりをしよう
12月 1年生と遊ぼう会をひらこう
01月 思い出パーティーを開こう
02月 思い出いっぱいのクラス文集をつくろう
03月 「2年生のバトン」をわたす会をしよう

事前の活動

議題について

議題は、次のような視点で、みんなで話し合いたいことが議題となります。
・学級みんなでやりたいこと
・学級みんなでつくりたいこと
・学級みんなで解決したいこと
提案カードや議題箱を設置して、議題案を募集するとよいでしょう。

日頃から、子供たちが学級の課題などに気付くよう種をまき、みんなの思いや願いを生かして、「議題」を選定し豊かな学校生活づくりに取り組むことは、とても有意義なことです。
2年生では、1年生での学級会の話合いや実践の経験を生かすようにしましょう。1年生の学級会ではどんなことを話し合ってきたのか、子供たちの経験を知り、引き出すことも大事です。

計画委員会の活動

話合いの準備を行い、学級会を進行するのが司会グループです。事前に計画委員会を開いて役割を決めたり、進行の仕方を考えたりしておくことで、子供たちが主体となって話合いを進めることができます。計画委員会には、司会グループと提案者、教師が参加します。

司会グループ担当表
司会グループが一目で分かるような担当表を作成して掲示します。ラミネートをかけて何度でも使用できるようにしましょう。

司会グループを輪番にして、どの子供も司会グループを経験できるようにしましょう。
司会グループの一員であるという意識を高めたり、メンバーの仲間意識を高めたりするために、司会グループの一覧表を作成したり、メンバーの名前と写真などを掲示したりするのもよいでしょう。

事前の活動

①役割を決める(司会、副司会、黒板記録、ノート記録)。
②議題、提案理由を学級全員に知らせる。
③話合いの流れ(話し合うこと、事前に決めておくこと)や板書計画を考える。

本時のねらい

学級の仲を深めるためにふさわしい夏祭りの内容や盛り上げる工夫について話し合って決めることができる。

本時の活動

学級会の流れ

本学級での学級会の流れは、次のように行っています。
1:はじめのことば
2:しかいグループのじこしょうかい
3:話し合うこと(議題の確認)
4:話し合うわけ(提案理由の説明)
 ※本学級では2年生の発達の段階を考え、議題を「はなしあうこと」、
  提案理由を「はなしあうわけ」にしています。
5:きまっていること
6:話合い
7:きまったことのたしかめ
8:ふりかえり
9:先生のお話
10:おわりのことば

進行メモを基に、司会の子供と先生が一緒に会を進めます。2年生では、最初は教師が司会役になって話合いを進めたり、黒板記録役になって出された意見を分類・整理したりして、基本的な話合いの進め方について教師がモデルとなって、子供たちが理解できるようにします。
また、教師の助言を受けながら発表の仕方や意見の聞き方などを身に付けることができるようにしましょう。

ここからは、話合い活動の具体を紹介します。

1:はじめのことば

司会の「はじめの言葉」で学級会が始まります。司会の子に続いてみんなで始めのあいさつをし、みんなで話し合おうという空気感をつくるようにしています。

また、はじめの言葉の後に続いて「学級の歌」などを歌うこともよいでしょう。学級みんなで大きな声で楽しく歌うことにより、これからの話合いへの期待感や学級としての一体感が高まることにつながります。

2:し会グループの自こしょうかい

司会グループが自己紹介をします。私の学級では、司会から順に一人一人が立って、大きな声でめあてを言っていきます。そしてノート記録の子供が終わったあとに、声を揃えて「よろしくお願いします」と言います。教師が司会役等を行っている段階では、教師も「司会と黒板を一緒にする○○です」と一緒に自己紹介をしています。

3:話し合うこと(議題の確認)

「話し合うこと」(議題)を全員で声を揃えて読みます。

4:話し合うわけ(提案理由の説明)

「話し合うわけ」を提案者が述べます。

提案理由については、大切な部分にマーカーを引いたり、キーワードにまとめたりして、視点を明確にするなどの工夫をしましょう。

5:きまっていること

「きまっていること」を、全員で確かめ合います。

6:話合い

話合いは、「出し合う」「くらべ合う」「まとめる・きめる」の流れで進めます。司会グループが慣れていくまでは、教師が積極的に関わりながら進めていきましょう。

話し合うことは、①夏祭りで何をするか、②会を盛り上げる工夫、③係を決めるの3つにしました。このように①何をするか、②どのようにするか(工夫)、③役割分担の3つが話し合うことの基本になります。

出し合う
自分の意見を、理由をつけて発表できるようにしましょう。

私は、○○がいいです。わけは□□だからです

くらべ合う ⇒ まとめる・きめる
「くらべ合う」段階では、提案理由を踏まえて賛成意見や反対意見を発表し合えるようにしましょう。発言する際には、「○○さんに反対です」などのように、人に対して賛成や反対のようにならないようにします。

僕は、○○さんの意見の△△について、□□がよいと思います。わけは~~~だからです

私は、○○の△△のところが心配なので、□□ではどうですか

また、これまでの経験を想起して発言することも大切にしていきましょう。

僕も○○に賛成です。1年生の時の集会の時にもみんなとても楽しそうにやっていたから、今度の集会でもよいと思います

単に「提案理由に合っているから」というだけではよりよいものを決めることはできません。さらに一歩進めて、提案理由を踏まえた上で、「自分にとっても、学級のみんなにとってもよい考えはどれか」について考え、その理由を明確にして発言することができるようにしていきたいものです。

意見の違いやよさを互いに認め合いながら、提案理由や話合いのめあてから考えて、どの意見がふさわしいかを考え、みんなで話し合って、よりよいものに決めていきます。

私は、○○に付け足して□□をするといいと思います

僕は、○○と□□は似ているので、まとめることができると思います

板書のまとめ方の工夫

合意形成の仕方の例を示す際には、最初から「合意形成にはこういうやり方があります」と教えてしまうのではなく、子供たちの話合いの状況に合わせて、「この中で似ているものはないかな」と分類・整理につなげたり、「どちらの意見も、賛成意見が多いけれど、どうしたらよいかな」「この意見は、このことが心配な人もいるようだけれど、解決できるアイデアはあるかな」と問いかけたり、「今回は二つの意見のよいところを考えて合体することができたね」などのように、よかったことやできたことを明確にしたりして、次の話合いに生かすことができるようにしましょう。

7:きまったことのたしかめ

話し合って決めたことをノート記録係の子供が発表します。教師は必要に応じて補足説明します。

8:ふりかえり

学級会ノートを活用して、自分や友達のよさやがんばりに気付くようにしましょう。また、学級会で学んだことや、実践に向けて自分ががんばりたいことなども言葉で表すことができるようにしたいものです。

9:先生のお話

みんなで話し合って、互いの意見を大切にして学級として合意形成を図ることができたことや、前回の学級会と比べてよかったことを称賛します。教師は、単に発言回数の多さではなく、発言内容のよい点を伝え、子供たちが振り返る際の「よさの視点」を示します。

次回の学級会に向けての課題について伝えます。

司会グループに対して、学級の子供たちの気づかないがんばりを称賛します。学級全体へ実践意欲を高める声掛けを行います。

みんなで話し合って決めたことを実践するのがとても楽しみだね。これから係ごとに協力して準備しましょう

10:おわりのことば

司会の子供に続いて、みんなでおわりのあいさつをして、「みんなでがんばった」という達成感をもって学級会を締めくくるようにしています。

本事例における「話合いの焦点化」に向けた教師の役割

今回の話合いは次の3つの「話し合うこと」、①何をするか、②会を盛り上げる工夫、③係を決めようで進められました。

①何をするかについては、具体的には「リーダー捜し」「風船バレー」「何でもバスケット」「ハンカチ落とし」「魚釣りゲーム」「割りばし鉄砲的当て」「ペットボトルゲーム」などが出されました。

【①何をするのか】
夏祭りらしくということで、①「魚釣りゲーム」、②「割りばし鉄砲的当て」、③「ペットボトルゲーム」の3つをやることになりました。

3つのゲームを10分ずつ順番にやるのではなく、教室を3つのコーナーに分けて、前半と後半に分かれて遊ぶことにしました。このことは、「きまっていること」で事前に学級全体に知らせて共通理解を図っておきました。このように、「きまっていること」で、「いつやるのか」「どこでやるのか」「ゲームはいくつやるのか」などの条件を明確にしておくことで、スムーズに話合いを進めることができます。

ゲームは、実践する段階になって、ルールややり方があやふやだともめてしまうことがあるので、話合いの段階で学級全体で確認しておいたり、ルール説明の係をつくって当日係が説明して共通理解を図って遊んだりするとよいでしょう。

【②会を盛り上げる工夫】
次に、会を盛り上げる工夫として、「音楽を流す」「飾り」「けんかをしない」といったことなど、10を超える意見が出されました。「けんかをしない」「仲よくする」「順番を守る」など、きまりやマナーに関わる意見は、「こういう約束やマナーも大切だね。今回は盛り上げる工夫を考えるから、こちらに貼っておこうね」と小見出しを付けた短冊を書いて、少し離したところに貼りました。

なかなか意見がまとまらなかったので、教師が「では、ちょっと短冊を動かして、2つの仲間に分けてみましょうか」と言いながら、子供たちと一緒に短冊を、「準備のいるもの」と「準備のいらないもの」に分けてみました。多様な意見を仲間分けすることで、子供たちの話合いが焦点化され効率化が図られることもあります。

「1年生をよぶ」の札と「音楽をながす」の札を掲げて、話合いの焦点化を促す女性教師

「『準備がいるもの』は準備に時間がかかるから、この中から一つ決めるよ」などのようにして、「出ている意見はどれもいいから全部やる」とならないようにします。

このあと、会を盛り上げる工夫や役割分担も決まり、きまったことのたしかめ、ふりかえり、先生のお話と続きました。教師の話では、友達の意見をしっかり聞き、多様な意見を出すことができたことや、議題や提案理由を基にみんながしっかり話し合って、よりよい合意形成ができたことを称賛し、また、司会グループのこれまでの準備など、他の子供たちが気付かないがんばりを称賛しました。

◆板書例

夏祭りをしよう 板書例

事後の活動

学級会で決まったことを基に、夏祭り集会へ向けて準備を進めていきます。1年生での集会活動の経験を生かしながら、学級全員で役割を分担し、協力してよりよい集会になるようにしていきます。集会に向けて協力し合って準備を進める過程で、学級への所属意識や仲間意識が高まります。

各係の準備を子供たちに任せきりにせず、帰りの会などで進捗状況を確認したり、準備の様子を見て必要に応じて助言したりすることが大切です。

「夏祭りをしよう」事後の活動で、プログラムを作成するグループと、司会の練習をするグループ

集会の様子

司会やプログラムは、今までのお楽しみ会の経験からスムーズに進んでいきました。はじめの言葉やおわりの言葉は、ただの号令だけでなくもっと会を楽しく盛り上げるために、ひとこと付け加えたり、マイクを作ったり、BGMを流したりと、ひと工夫して行っていました。

当日の準備から集会本番、事後の片づけまで、子供たちは仲よく楽しみながら行うことができました。

実践後、「楽しかった」「○○ちゃんが的当てすごく上手で、教えてもらえてうれしかった」「○ちゃんと一緒に魚釣りをして、もっと仲よくなれた」など、嬉しそうな声がたくさん挙がりました。ゲームの準備に苦戦したグループもありましたが、達成感は今までのお楽しみ会以上に大きかったようです。

「自分たちの力で話し合って決めたことに、みんなで取り組むことはとても楽しい」「みんなで協力したから楽しかった」という経験を積むことができるようにしましょう。自分の出した意見に決まらなくても、努力して実践することの大切さを実感できるようにすることも大切です。

学級会そのものだけでなく、実践と振り返りを丁寧に行い、「今度はこういうことをやってみたい」というように新たな活動につなげたり、「ここの役割がはっきりしていなかったから、ちょっとうまくいかなかった。次は前もって役割やルールをしっかり決めよう」など、次の課題解決に生かしたりすることが大切です。活動と活動をつないで、子供たちの資質・能力を育てていきましょう。

 

イラスト/高橋正輝

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