小3 国語科「こそあど言葉を使いこなそう」全時間の板書&指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、小3 国語科 「こそあど言葉を使いこなそう」(光村図書)の全時間の板書例、発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。
監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都練馬区立大泉学園小学校校長・加賀田真理
編集委員/東京都西東京市立田無小学校校長・前田 元
執筆/東京都練馬区立大泉学園小学校・浅沼由香里
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
3年生にとって「こそあど言葉」は、普段から無理なく自然に使っている言葉です。
本単元では、児童が普段から無意識に使っている言葉である指示する語句の役割に気付き、コミュニケーションの場や読み書きする際に着目したり、効果的に使おうとしたりする力を身に付けていくことをねらいます。
2. 単元の評価規準
3. 言語活動とその特徴
「こそあど言葉」をどのように使ったらよいか、実際に使う場面に即して考えるために、友達同士で指示語を使ってやり取りする場を設けたり、指示語に関する問題を自分で作ってみたりする言語活動を設定します。
児童にとって、指示語は会話の中で日常的に使い、慣れているものであり、使い方やその指示語が指し示すものについての理解は、それほど難しいものと感じていないと考えられます。
そこで、単元の導入場面では、友達同士で指示語を使ってやり取りする活動を取り入れ、普段から使っている慣れ親しんだ言葉であることを感じられるようにします。
しかし、文章の中で使われている場合、一つの語句を指したり、一つの文や文脈を指したり、指し示すものが様々なので、実際に読むときに何を指しているのか、また文章を書くときにどのように使ったらよいのかについての理解は、難しいと感じる児童も少なからずいると思われます。
そこで、単元の後半では、教科書p89の問題を参考に、指示語が何を指しているのかを当てる問題を作り、友達と解き合う活動を取り入れることで、楽しみながら、指示語に対する理解の定着を図っていきます。
4. 指導のアイデア
〈主体的な学び〉 理解したことを生かす、指示語に関する問題作り
単元の導入場面で、児童の日常生活の一場面を提示して、児童同士でやり取りをします。その中で出てきた指示語が何を指しているのか、学級全体で検討していきます。
日常的な場面を用いて導入を図ることで、生活の中でよくある「あれ持ってきて」と言われて、想定と異なるものを持ってきてしまうといった指示語による勘違いなど、楽しい雰囲気の中で、私たちの生活の中で指示語を使う場面が多いことに気付くことができるでしょう。
このことにより、普段は無意識に使っている指示語に対する興味が高まります。
また、単元の後半では問題を作って友達と解き合うことを予告することで、学習の見通しをもち、楽しく学習していこうとする意欲へつなげていきます。
〈対話的な学び〉 友達同士で指示語を使ったやり取りをする
それぞれの指示語がもつ意味を確かめるために、児童同士で会話し、確かめる場面を設定していきます。児童は友達との会話の中で、指示語がもつ距離的な意味の違いや、物事や様子を示すときの指示語の違いを確かめていきます。
児童同士の会話の場面を生かすことにより、指示語を使った会話をするときには、相手が自分と同じものを見ているかどうかに気を付けるという、コミュニケーション上の注意点にも気付くことができます。
また、単元の後半では、問題を作って友達と解き合います。問題の感想を伝え合う場面を設けることで、友達と楽しくやり取りをしながら、多くの指示語に触れる機会を作っていきます。
〈深い学び〉 教科書の他の教材を活用した指示語探し
単元の終末では、教科書p16~17の「きつつきの商売」の冒頭を使って、指示語を探していきます。
それぞれの指示語が示すものを確かめることで、児童が理解の深まりを実感できるようにするとともに、教科書の他の教材でも使われている指示語がたくさんあることに気付き、今後学習する文章でも指示語に気を付けて読もうとする意欲をもてるようにしていきます。
5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント
(1)画像を見て、指示語を使う場面を共有する。
生活の中のどのようなときに使っているかを思い出すきっかけとして、教科書p88の絵のような画像をいくつか示したり、教室など実際の生活場面の写真を示したりしていきます。
その際、学習支援ソフト(本校では Google Jamboardを想定)を使って画像を提示し、「これ」が指し示すものはどれだと思うかを、それぞれ「➡」や「○」で意思表示していきます。
複数の画像で確認することで、「こ・そ・あ・ど」の使い分けや、相手との距離でも使い方が異なることに気付けるようにします。
※Google Jamboardは2024年12月31日にサービス終了します。
(2)児童による問題作り
児童が作成した指示語が示すものを当てる問題作りでは、協働学習支援ソフト(本単元では、ムーブノートを想定)を使用することで一度に多くの児童が問題を共有し、回答することができます。
このことで、児童はより多くの指示語に触れる機会をもつことができます。回答する際も、指示語が指し示す言葉に線を引くだけでできるので、回答する作業が簡単になり、友達同士で問題の感想を伝え合う時間をもつことができます。
6. 単元の展開(2時間扱い)
単元名:「こそあど言葉」を使いこなそう
【主な学習活動】
・第一次(1時)
① 指示する語句の役割を理解し、その使い分けや会話で使う際の注意点を考える。
・第一次(2時)
② 文章における指示する語句の役割を理解し、文章中のどの言葉を指しているかを考える。
全時間の板書例と指導アイデア
指示する語句の役割を理解し、その使い分けや会話で使う際の注意点を考える時間です。
イラスト/横井智美