子どものケンカ!クレームを「相談」に変える解決法とは!?「保護者あるある」
保護者とのパイプをしっかり築けていれば、トラブルは「クレーム」ではなく、「相談」になります。ここでは、「子供同士のケンカ」のシーンを例に、保護者対応の取り組み方とポイントを紹介します。
執筆/東京都公立小学校校長・井口修
目次
1 電話をかける前に確認
先生・学校側の対応
電話をかける前に、その子の近況報告をする(よいところをほめる)ために、最近のがんばりを思い返したり、メモや覚書などを確認したりする。
保護者の気持ち
また、叱られたり嫌みを言われたりするんだろうな…。もう、どうしたらいいのか、分からない…。保護者は気持ちが落ち込んでいる状態。
2 和やかな会話の流れをつくる
先生・学校側の対応
いきなりトラブルについて話すのではなく、まずはよいところ、成長している点などを話して、和やかな会話の流れをつくる。肯定的な話なので、先生も話をしやすいし、保護者も話を聞きやすくなる。
保護者の気持ち
「苦情の電話じゃないの⁉」とビックリ。
3 「一緒に考えたい」と提案
先生・学校側の対応
悪かった点について冷静に伝え、「今後、どう指導していくか一緒に考えたい」と提案。
保護者の気持ち
うちの子、「ダメでどうしようもない子」じゃないのね。よいところを分かってくれているから、悪かった部分は素直に受け止められそう…。
4 時間に余裕も生まれる
先生・学校側の対応
保護者の間で「信頼できる先生」という評判になり、先生と保護者全体との関係が良好ムードに。学級経営がよりスムーズになり、トラブル解決のために割いていた時間を授業の準備や教材研究に充てられるなどのメリットにもつながる。
保護者の気持ち
「うちのクラスの先生はいい先生、信頼できる先生」と気持ちが明るくなる。
日々の「よいところさがし」を大切に!
やんちゃで、ケンカなど友達同士のトラブルが多い子の保護者は、周囲から苦情を言われたり叱られたりすることが多く、保護者自身がまいっていたりピリピリしていたりしていることも多いようです。
すると、子どもを叱りすぎたり、「うちの子は、乱暴でダメな子」と思い込んだりして、さらに子どもを追い詰めるような負の連鎖に陥る心配もあります。
そういう場合こそ、子供のよいところを事前に伝えることが大切です。誰だってほめられたり、認められたりすると、うれしいもの。ですから、若い先生は、クラスの子供たち一人ひとりについて、10個以上よいところや最近のがんばりを挙げられるようにしておきましょう。うれしい話の電話をこまめにしておけば、トラブル時に、電話をかけるのも嫌ではなくなります。
ちなみに、「よいところさがし」をする際は、「泣いている友達をなぐさめてくれた」「最近、字をていねいに書くようになった」など、小さな変化や成長でよいのです。それを見逃さず、座席表や週案簿などにすぐにメモしておくのがポイントです。
構成・文/ひだいますみ、イラスト/新崎三幸
『教育技術小三小四』2019年10月号より