【相談募集中】子供の問題を過去の担任のせいにされてつらい

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岩手県公立小学校教諭

古舘良純

6年生の子供の学力や問題行動を過去の担任だった自分のせいにされ、子供や保護者からも挨拶を無視されるようになってしまったという先生から、 「みん教相談室」に相談が寄せられました。岩手県公立小学校教諭・古舘良純先生からのアドバイスをシェアします。

イラストAC

Q.子供の学力や問題行動は、過去の担任のせいですか?

子供の学力や問題行動を、今までの担任のせいにする6年生担任がいます。今の6年(単学級)は、3・4年のときに自分が担任でした。学力が低かったり問題行動が多かったりしたのですが、その都度一生懸命対応してきたつもりですが、力不足は否めません。

6年生担任はいつも「3年の時にしつけられていないから言うことを聞かない。立て直すのが大変」「4年で学力が定着していないからやりにくい」と同僚や保護者、子供にまで言っています。管理職に相談しても、6年生担任のほうがかなり年上なので何も言えない雰囲気です。

また「最高学年を担任する教師は力がある」という見方をする地域性もあります。最近は、子供にも保護者にも挨拶を無視されるようになってしまいました。異動希望を出しています。自分が悩みすぎで、こんなことはよくあることなんでしょうか?(ねこ先生・30代女性) 

A.まずは「自分が変わる」こと。子供たちのために何ができるか、自問自答してみましょう

私にも似たような経験があります。「古舘先生の後は持ちにくい」「古舘さんの後は持ちたくない」「学級王国つくってないで他の人のことを考えてね」と言われたことがありました。

まだ若かったこともあり、学校全体のことが見えずに自分だけ突っ走っていたのは事実かもしれません。しかし、そうやって上の先輩方から言われたのは、冗談でも心が傷んだことを覚えています。

今では、6年間で子供たちを育てていくのだから、例え指導不足があったとしても、課題を抱えたまま進級したとしても、それでもチームでバトンを繋いでいくのが職員集団だろうと思っています。

私は現在、6年生担任を7年連続で受け持っていますが、「◯年生の時の指導が」と思ったことはありません。もし足りない部分が見えたとしても、「じゃあ今年担当の自分が何かできることはないか」と考えるのみです。

しかし、全員が私のような感覚であるとは限りません。それは、6年生担任のプレッシャーが大きいからです。どうしたって人目に触れる活動が多く、それでいて学習内容も複雑になり、単学級になれば子供同士の人間関係もある程度固定化されているでしょう。

そんな状態でポンと6年生担任になれば、どうしたって「他責思考」に陥ってしまうのは仕方がないことだと思います(もしかして、希望せずに6年生担任になってしまったかもしれませんね)。

教師だって人間ですから、周りからの評価は気にします。「7年生」に引き継げず、ゴールテープを切らなければならない重圧に負けそうになる時もあります。

正直、私だって「かけ算九九」が言えないまま6年生に進級してきた子に、「どうやって円の面積を解かせようか」と頭を抱え、「なぜ今まで……」と思ったことがないわけではありません。ですから、ねこ先生の同僚の方が、「3・4年生の頃に……」と思ってしまう気持ちが全くわからないわけではありません。

しかし、です。だからと言ってそれを口にしてよいわけではないと思います。保護者を巻き込んで過去の担任を袋叩きにするようなことも絶対あってはなりません。

6年生担任は一番謙虚でなければならないと考えています。5年間バトンを繋いでくださった先生方への敬意をもち、ある意味「一番美味しい」卒業の瞬間に立ち会うことのできる喜びを慎ましく噛み締めなければならないからです。失礼な物言いになりますが、そうした敬意に欠ける方だから、その学級の子供たちも素直に健やかに伸びていかないのかもしれません。

また、私たちはプロです。子供たちを預かり、自分の持てる力の全てを使って子供たちを育てていきます。「立て直すのが大変」「やりにくい」と愚痴をこぼされて、本当に保護者は「じゃあ仕方がない」となるでしょうか。逆に「うちの子はどうなるの?」とならないでしょうか。

そうやって、教師の株を下げるような発言は絶対にしてはならず、それが卒業生担任として匙を投げていると受け取られても仕方がない状況を自分でつくり出してもいけません。

では、どうするか。答えは1つしかありません。「自分が変わる」です。その先生を変えるより、自分が変わるのが一番手っ取り早いです。

もし私だったら、私が本当に力不足で迷惑をかけていると思ったら、「放課後に補習しましょうか」「空き時間なので授業に入って子供たちをみましょうか」と言うと思います。「生徒指導の聞き取りを手伝わせてください」と言ったり、「◯◯さんが気持ちよく挨拶してくれました」と子供たちのよいところを探して伝えていると思います。

厳しい言い方ですが、本当に自分の力不足が原因だと思うなら、自分がアクションを起こすのは当然だと思います。だって、子供たちが大切なので。

過去のことは変えられません。力不足だったのなら仕方ありません。でも、子供たちの毎日は刻一刻と減っていきます。子供たちのために何ができるか。自問自答してみてはいかがでしょうか。

子供たちのためにやり切る姿勢、振り切って動く姿勢があれば、その先生だって「他責思考」から脱却できるかもしれません。ねこ先生の姿に感化されるかもしれません。

いつだって、人を責めるのは簡単です。そして、責められるのは苦しいです。だからこそ、責め合うループを自分で断ち切るという気持ちが大切なのだと思います。

それが何より、3・4年生の時に担任した子供たちへの最善の方法なのではないでしょうか。


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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