小5らくらくUnit 1「Hello, friends.」②【モトヨシ先生のスライドde外国語】

連載
モトヨシ先生のスライドde外国語(活動)~パワポで楽しくらくらくICT授業

パワーポイント教材を映すだけで授業を進められる「モトヨシ先生のスライドde外国語」。今回は、NEW HORIZON Elementary English Course 5 Unit 1「Hello, friends. ~自分の好きなもの・ことを伝えよう~」第2時(自分の名前や好きな色を言ったり、友達に好きな色を聞いたりしてみよう。)の授業案です。本好利彰先生が作成したパワーポイント(スライド)教材1つで、外国語の授業をらくらくクオリティアップ!

執筆/福島県公立小学校教諭・本好利彰
監修/拓殖大学教授・居村啓子

スライドは学級の実態に合わせて修正して使いましょう

小学5年生の「NEW HORIZON Elementary English Course 5」のUnit 1「Hello, friends. ~自分の好きなもの・ことを伝えよう~」全8時の2時目の授業の流れです。本時も、私が作成したパワーポイント(スライド)を使った授業を紹介します。学級の実態に合わせて修正し活用してください。

パワーポイント(スライド)を使った授業の進め方

この記事の最後で、パワーポイントのファイルをダウンロードできるようになっています。必要な教師の発話やイラスト、音源などを挿入してあり、この資料を使うことで1時間の授業を行うことができるように作成してあります。このスライドを活用して、クリックしながら授業を進めてみてください。
パワポダウンロードへボタン

  • クリックでスライドを進めるだけで、スムーズに授業を行えます。
  • デジタル教科書を使用する場合は、パワーポイントから切り替えてください。

目標と授業の流れ

○単元のゴール
自分の名前や好きなものを書いて名刺を作り、友達とやり取りをして名刺交換しよう。
○本時の目標
名前や好きなもの、誕生日についての英語を聞いて、だいたいの内容を理解しよう。

単元の評価規準(クリックすると各領域の評価規準が表示されます)

【聞くこと】
●知識・技能
〈知識〉
I’m ~. My name is ~. What ~ do you like? およびその関連語句などについて、理解している。
〈技能〉
名前や好きなもの・ことなどについて、聞き取る技能を身に付けている。
●思考・判断・表現
相手のことをよく知るために、名前や好きなもの・ことなどについて、短い話の概要を捉えている。
●主体的に学習に取り組む態度
相手のことをよく知るために、名前や好きなもの・ことなどについて、短い話の概要を捉えようとしている。
外国語の背景にある文化に対する理解を深めるために、日本在住の外国出身の人について、短い話の概要を捉えようとしている。

【読むこと】
●知識
アルファベットの活字体の大文字について、理解している。
●技能
アルファベットの活字体の大文字を識別したり、その名前を発音したりする技能を身に付けている。

【話すこと】
●知識・技能
〈知識〉
I’m ~. My name is ~. What ~ do you like? およびその関連語句などについて、理解している。
〈技能〉
I’m ~. My name is ~. What ~ do you like? およびその関連語句などを用いて、お互いの考えや気持ちなどを伝え合う技能を身に付けている。
●思考・判断・表現
自分のことを伝え、相手のことをよく知るために、名前や好きなもの・ことなどについて、簡単な語句や基本的な表現を用いて、お互いの考えや気持ちなどを伝え合っている。
●主体的に学習に取り組む態度
自分のことを伝え、相手のことをよく知るために、名前や好きなもの・ことなどについて、簡単な語句や基本的な表現を用いて、お互いの考えや気持ちなどを伝え合おうとしている。
外国語の背景にある文化に対する理解を深めるために、自分の名前について、簡単な語句や基本的な表現を用いて、お互いの考えや気持ちなどを伝え合おうとしている。

【書くこと】
●知識・技能
〈知識〉
アルファベットの活字体の大文字について、理解している。
〈技能〉
アルファベットの活字体の大文字を書く技能を身に付けている。

○言語材料
(表現)
I’m ~. I’m from ~. I like ~. My birthday is ~. など
(語彙)アルファベット、国(America など)、動物(bear など)、月(January など)、日付(first)など
○Do you have (a pen)? Yes, I do. / No, I don’t.

本時の流れ(例)

  1. 挨拶
  2. ウォームアップの活動(サイモン・セズ、じゃんけんゲーム、ゴースト・ゲーム)
  3. Clapping Game2、Touch the color Game
  4. 単元のゴール、本時のめあての確認
  5. モトヨシTシャツ店で買い物をしよう!
  6. インタビュー1
  7. インタビュー2、3
  8. ALTの先生のTシャツ店で買い物をしよう!
  9. デジタル教科書 Let’s Listen 1
  10. ふり返り

各活動の流れ

①挨拶

元気に明るく挨拶をして、How are you? How’s the weather? など3、4年生で学習した内容の質問をしてみましょう。

②ウォームアップの活動

前時と同様に、サイモン・セズ、数字じゃんけん、ゴースト・ゲームなどをウォーミングアップとして行ってみてください。

サイモン・セズ
数字じゃんけん
ゴースト・ゲーム

③Clapping Game 2、Touch the color Game

パワーポイントは記事の最後でダウンロードできます

前時と同じく、Clapping Game、Touch the color Gameの活動を行いましょう。私がALTと行っている動画を入れてありますが、非表示にして、先生ご自身で同じようにデモンストレーションをして、児童に提示してみましょう。

今回は Clapping Game 2 として、1時目よりもレベルを少し上げています。これもデモの動画を用意してありますので、参考にしてください。

④単元のゴール、本時のめあての確認

パワーポイントは記事の最後でダウンロードできます

⑤モトヨシTシャツ店で買い物をしよう!

この活動では、欲しいTシャツのデザイン(図形)と色を児童に決めてもらい、その場で紙に印刷します。教室にプリンターがない場合は、授業後に印刷して渡してもよいと思いますが、目の前で欲しいものが印刷されて出てくると、児童は目を輝かせて取り組みます。参考として、私とALTとのデモンストレーション動画を入れてあります。動画を確認して、同じようにALTとデモンストレーションしてみましょう。

店名(MOTOYOSHI)は先生自身の名前に変更してください
図形の色を変更して印刷しましょう

Tシャツ屋さんのやり取りの場面では、パワーポイントのスライドショーを解除して行ってください。児童に好きな色を聞きながら、Tシャツ中央の形を選択して色を設定します。できあがったら、印刷して児童に渡しましょう。

ALTがいない場合のデモンストレーションの工夫のしかた
代表児童と休み時間に練習しておいて、児童と先生でデモンストレーションを行う。
上位児童に指名をして、その場で即興で行う。
私が作成したようなビデオを事前にALTや他のクラスの先生と録画しておく。

ALTがいない学級でも、このような工夫をいくつか用意しておくと、2人でのデモンストレーションを行うことが可能です。

ALTとのデモンストレーションを見せたら、児童にいきなりトライさせてみましょう。これは、外国語の指導では大切なことで、「児童に使わせながら言語活動を行う」ということです。もちろん毎回すべての授業でできることではありません。しかし、教師は、どのようにしたらそのような言語活動の機会を設定できるかを考えながら教材研究を行うとよいと思います。何度も練習を行ってからTシャツ店のやり取りを行うのではなく、実際の状況・場面を明確にした上で、どんどんチャレンジさせましょう。そうすることで、このTシャツ店の活動は児童が意欲的に取り組めます。
もう1つ大切な点は、最初から完璧を求めないことです。ALTとのデモンストレーションを見てすぐに児童がやり取りに挑戦するわけです。チャレンジしたことを称賛し、児童の意欲付けを行いましょう。同じような活動を授業の最後にも行います。その時に少しでも上手になっているように支援していけばよいのです。

この活動をすると、児童は最初、単語ベースで言うことが多いです。

(店員)What color do you like?

(お客)red

といった感じになります。ここで教師ができるのは、本時の最後で扱う表現でリキャストしてあげることです。教師がAを担当するならば、児童が red と答えたら、教師は Oh, you like red. と返してあげましょう。

パワーポイントは記事の最後でダウンロードできます

イムラ先生のポイント解説
リキャスト

学習者の発話に対する指導者のフィードバックには、大きく分けて直接的フィードバックと間接的フィードバックがあると言われています。前者は学習者の言語使用の誤りを明示的に示し訂正する手法で、後者は聞き返したり、間接的に正しいフォームを与えて、学習者自らの気づきを促す手法です。中でも「リキャスト」は有効なフィードバックの手段として、近年着目されています。例として、子どもが The trees is big. と言った直後に、大人が Yes, the trees are big. と返すのがリキャストす。その特徴は、コミュニケーションの流れを中断することなく、さりげない訂正が行われることだと言われています。1983年にNelson等の研究グループは、子どもが現段階の発話から一歩離れ、文法知識のレベルを上げるためには、このさりげない、小さな訂正の積み重ねが有効だと言っています。

参考文献
Nelson, K. E., Denninger, M., Bonvillian, J. D., Kaplan, B., & Baker, N. (1983). Maternal input adjustments and non-adjustments as related to children’s advances and to language acquisition theories. In A. D. Pellegrini & T. D. Yawkey (Eds.),The development of oral and written language in social contexts (pp. 31–56). Norwood, NJ: Ablex.

⑥インタビュー1

学級の友達の好きな色を聞くインタビュー活動を行います。

ワークシートの準備も様々あると大変なので、その代わりとして私は、学級名簿をグループ班ごとに短冊状に切り離して、ワークシート代わりにして使うことがよくあります。これを児童に配付して、インタビュー活動を行いましょう。

パワーポイントは記事の最後でダウンロードできます

外国語が教科になり、文字に関して英語で書きたいと思う児童が増えてきていると感じます。カタカナ、漢字、英語、どれで書いてもよいとすると、どの児童も無理なく自分のレベルに合った書き方ができると思います。

まずはALTと教師でデモンストレーションをして活動のしかたを理解させてから、活動を行いましょう。

⑦インタビュー2、3

教師はインタビュー1の児童の活動を見取りましょう。児童のよい姿や改善点を、一旦活動をストップさせて伝えるようにします。

インタビュー2では、リアクションを加えられるようにデモンストレーションをしましょう。そのときに、インタビュー1と何が変わったのか、児童に問うとよいです。すると児童は「Oh, you like… と言っていました」などと反応してくれます。もしインタビュー1の段階でリアクションも交えて行っている児童がいたら、その児童を称賛する意味でも代表児童として発表させ、インタビュー2に移ってもよいと思います。教師がデモンストレーションを見せるより、「○○さんのよい姿のようにチャレンジしよう!」ともっていけるからです。

同じように、インタビュー3でもインタビュー2と何が違うか児童に考えさせましょう。

Unit 1 では、やり取りをするときに、常にワークシートを見ていたり、相手の情報を得てすぐにワークシートに記入したりしないように意識させていきましょう。インタビュー1、2と段階的に言語活動を行ってきたのは、そのためでもあります。「やってみたい」「私にもできそう」、そんな気持ちを児童にもたせながら、言語活動が行えるといいですね。

⑧ALTの先生のTシャツ店で買い物をしよう!

最初に担任の先生のTシャツ店として行った活動を、今度はALTの先生のお店として行いましょう。最初の活動では、形と色を選びましたが、今回はアルファベットと色にします。アルファベットにすると、児童に何でそのアルファベットにしたのか、理由を聞くことができます。「自分の名前の最初がMだから」などと答えてくれます。

Tシャツの色は、最初のTシャツづくりとは違い、「Tシャツ全体に色を付けられるよ」とデモンストレーションで見せます。それだけで児童の目は輝きます(笑)。プリンターのインク代がかかりますので、せいぜい2人程度の発表にすることをおすすめします。

Tシャツの色とアルファベットを変更して印刷しましょう
パワーポイントは記事の最後でダウンロードできます

Tシャツの色の付け方

スライド46~48は、Tシャツの色を変えられるようになっています。Tシャツの形の右にある色の部分を選択して、図形の塗りつぶしの色を変更することで、Tシャツ生地の色も変わります。

ここでは、本時に学んだ学習を生かしたやり取りができるとよいですね。例えば、最初のTシャツ店のやり取りで red と単語のみで答えていた児童がどう変容したか、その姿を見てみるとよいでしょう。授業とは、何かができるようになるなど、変容が見られることが大切です。それが1単位時間内で起こる場合もあれば、単元を通しての変容となることもあります。教師が、いつどこで評価をするかということにも関係してきます。本時で言えば、最初に red と答えていた児童が I like red. と自然に言えるようになったらすばらしいですよね。もし出てこなかったとしても、最後の活動では教師は I like red. とそっと伝え、もう一度表現させてもよいと思います。教師の支援のしかたも、1回目のTシャツ店と2回目では変化するということです。

ここでできる工夫としては、ALTや教師が会話を少し広げるということです。例えば、お店に入ってきたお客さんに How are you? と聞いてみたり、注文の後に名前を聞いてみたりするのもよいでしょう。

実際に外国でお店に入れば Hi, how are you doing? などとやり取りが行われます。注文した児童の名前をメモして、How do you spell your name? と聞いてみるのもよいですね。そうすると、次のリスニングの活動にもつながっていきます。これは、その場でTシャツを印刷するときに若干の時間がかかることへの対処にもなります。そして、これまでのやり取りを簡単に試す絶好の機会です。

さらに本単元で学習する表現を扱うこともできます。さらには、店員役を児童にしたり、児童同士で店員役とお客さん役になって行うこともできます。

たくさんの方法を教師がもっていることで、その場その場で臨機応変に指示することができます。授業は児童の様子を見て判断したり、残り時間を見て考えたりしなくてはなりません。そのためには、児童の姿と時間から、その瞬間での判断が求められます。もちろん時間がなかったら無理はせずに次時に行うことも1つの方法です。時間がなく無理に活動を終えようとすると、教師の自己満足で終わってしまい、結果として児童に学習内容を定着させられないことがあるからです。やらないという決断も大切です。

⑨デジタル教科書Let’s Listen 1(P12)

デジタル教科書のリスニングを行いましょう。はじめに名前、色やスポーツの確認を行ってから、スタートするのもよいと思います。

パワーポイントは記事の最後でダウンロードできます

⑩ふり返り

単元のゴールを設定したら、Can-Do リストを作成してふり返りを行いましょう。本時の学習の感想を全体で共有しましょう。


居村啓子

居村啓子(いむらけいこ)
拓殖大学外国語学部英米語学科教授。言語学博士。児童図書出版社、児童英語教育機関勤務、立教大学異文化コミュニケーション学部助教、上智大学言語教育研究センター嘱託講師を経て現職。2020年よりNHKラジオ「小学生の基礎英語」講師を務める。研究テーマは「子どもの第二言語習得」、「フレーゾロジー」。


本好利彰

本好利彰(もとよしとしあき)
福島県公立小学校教諭。福島県小学校・中学校・千葉県小学校教諭を歴任。また地区外国語教育推進リーダーを務める。2018年より拓殖大学外国語学部で「小学校英語教育入門」を担当。2021年東京書籍アドバイザー。 2023年より東京書籍の会員制教育情報サイト「東書Eネット」にて実践事例、指導技術などを連載中。


パワーポイント(スライド)ダウンロード

5年Unit1-2パワーポイント(55スライド)、ワークシート(1点)

パワーポイント見本
数字じゃんけんワークシート

※ダウンロードデータのサンプルをご覧になりたい場合は、こちらの記事にある無料ダウンロードを参考にしてください。

ご利用料金:100円(お申込みから30日間ダウンロード可)

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構成/浅原孝子 イラスト/畠山きょうこ・やひろきよみ・横井智美  アニメーション/鶴岡信治 歌・チャンツ/本田有紀子

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