二学期後半突入! ここで見直す、国語の授業づくり
二学期もいよいよ後半です。年度はじめに描いた国語の「授業づくり」について、このタイミングでしっかり見直して修正し、子供たちを積み残しなく高学年へと進級させましょう。
監修/大阪府公立小学校教諭・岡本美穂
目次
授業計画の見直しポイント
授業計画を考え、週案にまとめていくと見通しを持って授業に取り組めるようになります。
公開授業、研究授業が二学期にはたくさん行われます。実際に自分が行う場合はチャンスだと考えましょう。この機会を通して子供がもう一段上に行くためには、計画、つまり指導案の作成が大事です。まずは本時にどのような授業を行いたいのかを考えます。目の前の子供の課題と照らし合わせながら、どのような力を付けたいのか、考えておきましょう。
①「話す・聞く」指導と絡める
「わたしは、このようにまとめました。工夫をしたところは、~です」
「僕は、~について調べました。調べてわかったことは、~です」
と、発表の型を伝えた上で、みんなの前で発言する機会を持つことで、「話す・聞く」の指導にもなります。
② 一人ひとりとつながる指導と絡める
それぞれの発表を聞きながら、一人ずつよいところ、工夫したところを具体的に教師から子供に伝えます。
③ 友達同士をつなぐ指導と絡める
授業展開の見直しポイント
4年生の二学期は、人や物事を抽象的につかむことができ始める時期です。ペアで点検し合ったり、相談したり、みんなに教えてあげることも、楽しく有効な学習方法にもなる時期です。子供に任せるところは任せていくことで、より輝きが出てくる子供もたくさんいます。
例えば「お勧め本の紹介」。これを日直のスピーチ代わりに行うことで、読む機会も増えていきます。
ただあくまでも、ホップ・ステップ・ジャンプで言う「ステップ」の時期です。すべてを子供に任せてしまうのではなく、目の前の子供を見て必要だと思う「読む・書く・話す・聞く」ことを最優先に行うべきです。
ノート指導の見直しポイント
ノート指導を実践していくなかで、子供の考えをどうノートに書くように指示するべきなのか、考えていく時期に入ってきます。そこで困るのは、板書です。板書する際に注意すべきなのが、以下の3点です。
- 事実と子供の考えが混ざってしまう。
- 子供の意見を教師が勝手に解釈して書く。
- 子供の考えだけを書いて板書が終わる。
本文に書かれていたものなのか、それとも子供の意見や考えなのか、授業に参加している子供が見分けられない板書になることがよくあります。まさに、自分中心の板書です。そこで、黒板に書く前に、
「○○さんだったら、今の意見をどうノートに書く?」
「キーワードはどうしようか?」
と子供と一緒に考えてから書くとよいでしょう。「子供の意見はすべて書かなくてはいけない」という考えは捨てます。教師自身が書くことを優先すると、子供もノートを書くことを優先します。友達の意見も聞かず、聞いているフリをするようになるので、「話を聞きなさい」というような余計な指示が増えてしまいます。単に教師が黒板を使いこなせていないだけなのです。
以前の私は、子供たちにノートに書かせる時、「板書を写しましょう」と自由に書かせてしまっていました。「きれいに書きましょう」「きちんと書きましょう」「そのまま写しましょう」と伝えるだけで不親切でした。このような自由を子供は少しも求めていません。板書を写すことでどんな力が付くのか、またどんな力を身に付けていくべきなのか、見通しを持たせることが重要なのです。
漢字指導の見直しと実践アイディア
人の脳は何度もくり返し見たものを重要なものと認識し、記憶することができるそうです。二学期の漢字練習も「ひたすら何度も書いて練習!」ではなく、「時間を空けて、コツコツくり返しやる!」というふうにやれば、あっという間に覚えられるのです。しつこく解く、こまめに解く、「チェックテスト」「小テスト」という形で、基本的なことを徹底的に反復していくことを教師が主導でやるべきしょう。
【実践例】5問漢字テスト
毎日朝の会のコーナーに「5問漢字テスト」の時間を設定しました。ここでは、リーダーが前に出てきて、教師が指定した5問の漢字の読みを言います。そして、全員でその5問を漢字で書きます。その後丸付けは教師が行い、その日のうちに返却します。
●5問漢字テストのポイント
①満点以外は点数を気にしない。
②教師が漢字を指定する。
③その日のうちにできるだけ返却する。
① 満点以外は点数を気にしない
漢字テストの結果を表にして記録を書かせるという実践を聞きますが、これでは学力格差を生み出すだけです。確かに、できる子、伸びていく子供には結果が見えてよいでしょう。
しかし、漢字は百ます計算と違い、忘れてしまっていては答えにたどり着くことができません。つまり、努力しても忘れると解くことができないので、やる気につながりにくいのです。だからこそ、点数に振り回されることなく毎日続けることに意味があるのです。
② 教師が漢字を指定する
子供に漢字を選ばせると、間違いやすそうな漢字という視点で選ぶので、子供がどこでつまずきやすいのかを考える教師の視点とは少しずれが出てきてしまいます。学力づくりは、子供の解き具合というものに対して、教師が敏感になるからこそ、力が付くということを私自身子供に教えてもらいました。
③ その日のうちにできるだけ返却する
5問中、2~3問は前日の漢字テストで間違いが多かったものを出します。すると、くり返し見る、くり返し書くことにつながるので、より漢字が身に付きやすくなりました。
努力と結果が正比例する経験を積み重ねていくことが、漢字の習得だけでなく、その奥にある、子供のやる気アップにつながっていくものです。
取材・文/出浦文絵 イラスト/山本郁子
『小四教育技術』2018年10月号より