小3国語「わたしたちの学校じまん」板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、「わたしたちの学校じまん」です。総合的な学習の時間や学級指導(学活)の合科学習になります。学校のよいところについて、グループで決め、発表会を開くという学習です。話し合う多くの情報を分類・整理する際に効果的な思考ツール(Xチャート)を使った板書、組み立てを知り、発表原稿を作るための手がかりとなる板書を紹介します。

監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立小学校教諭・今井 友(せせらぎの会)

 

単元名 つたえたいことを、理由をあげて話そう
教材名 「わたしたちの学校じまん」(光村図書 3年)

単元の計画(全9時間

1 発表する相手・目的を確かめ、学校のよいところについて話し合う。
2 グループで発表する自慢(よいところ)を決め、学習計画を立てる。
3 発表するための資料を集めたり、インタビューをしたりする。
4 組み立てを考えて、発表原稿を作る。
5 発表のしかたの工夫を考え、グループで練習する。
6 グループ同士で発表を聞き合い、アドバイスする。
7 発表会のリハーサルをする。
8 「わたしたちの学校じまん」の発表会を開く。
9 発表会を振り返って、学習のまとめをする。

単元の学習を計画するに当たって

総合的な学習の時間や学級指導(学活)の合科学習とし、単元の学習に入る前に、学校のよいところを見つけ、メモさせておきます。また、発表会の準備(プログラム作成や役割決めなど)や発表会も合科で行うと、時間的に無理のない計画で進めることができます。

板書の基本

〇子供の気付きを広げる板書

多くの情報を分類・整理する際に効果的な思考ツール(Xチャート)を使った板書をします。学校のよいところを見つける際には、「場所」「行事」「学習」「生活」の4つの視点で分類します。4つの視点で考えた子供の発表(意見)を整理しながら、学校のよさを発見しやすくします。そして、これまでと違った学校のよさにも改めて気付くことができる板書にします。

〇組み立てを捉えやすくする板書

発表原稿の組み立てを表に整理すると、「はじめ」「中」「終わり」の構成が捉えやすくなります。また、「はじめ」はピンク、「中」は黄色、「終わり」は黄緑のように、色を分けたカードを使用することによって、さらに組み立てが分かりやすくなります。

グループで分担して発表原稿を作る際には、カードと同色の用紙(ワークシート)に書かせるようにします。でき上がった発表原稿をグループで1つにまとめたり、黒板に貼って見合ったりするときに、視覚的にもわかりやすくなります。

板書を活用した授業の進め方(1/9時間目)

1/9時間目の板書

1 単元のめあて、相手と伝える目的を確かめる

「○○小のじまんを、理由をあげてグループで発表しよう。」という単元のめあてを確かめ、板書します。発表する相手として「おうちの人」(授業参観で発表を聞いてもらう)を設定し、「〇〇小のよいところを、たくさんの人に知ってもらうため」という目的を確認します。

※発表会の様子を動画で撮影しておき、新1年生の保護者に、学校説明会などで聞いてもらう方法もあります。

2 本時のめあてを確かめる

本時のめあて「○○小のよいところをたくさん見つけよう。」と板書し、学校のよいところを話し合うことを知らせます。

3 考えを分類する

たくさんの考え(学校のよいところ)を整理するために、4つの視点で分類します。手順は次の通りです。

1 大きく「X」と板書し、直線が交わったところに、「○○小のよいところ」と書いたカードを貼ります。「X」の中心部に貼ることで、何についての話し合いかがわかるようにします。

2「場所」「行事」「学習」「生活」の4つの視点で学校のよいところを話し合うことを伝え、「場所」「行事」「学習」「生活」の4色のカードを貼ります。カードの色を分けることで、どの視点についての話し合いかをわかりやすくします。

3 4つの視点それぞれについて、学校のよいところとその理由を書くことを伝えます。書き方がわかるように、図書館を例として示します。「場所」のグループに「図書館」の白いカードを貼り、よいと思ったわけとして、「本がたくさんある・けいじ物がかわいい」と黄色チョークで板書します。

4 教師の例を参考にして、グループで話し合い、視点ごとにワークシート(Xチャート)にいろいろな考えを書かせます。その際、単元の学習前に記録しておいた「学校のよいところ」も見ながら話し合わせるようにします。

※教師は、「学校のよいところ」をグループごとにいくつか選び、白いカードに書かせます。

4 考えを整理する

グループで話し合って書いた白いカードを、4つの視点ごとに黒板に貼らせます(同じものは、重ねて貼らせます)。それぞれについてよいと思う理由を発表させ、黄色チョークで板書します。Xチャートの板書を見ながら、「自分の学校には、こんなにたくさんよいところがあるのだ」ということを実感させます。

5 自分が最もよいと思う学校のよいところを書く

「自分が考える○○小のじまん」と黄色チョークで板書します。今の時点で、自分が考える学校の自慢をノートに書かせ、子供が発表したことを板書します。

6 本時の学習を振り返る

本時で学んだことを振り返り、ノートに書かせます。次時は、自慢したいことをグループで1つ決めることを伝え、意欲をもたせます。

※板書したXチャートをタブレット端末で撮影し、子供と共有しておきます。そうすることで、次時で「学校じまん」を決める際に参考にすることができます。

板書を活用した授業の進め方(4/9時間目)

4/9時間目の板書

1 めあてを確かめる

本時のめあて「組み立てを知り、発表げんこうを作ろう。」と板書します。相手に伝わる発表をするために、前時で集めた資料やXチャートの自慢する理由を基に、組み立てを考えて発表原稿を作ることを知らせます。

2 発表原稿の組み立てを確かめる

教科書P.119「発表のれい」を読み、表に整理して、組み立てを確かめます。板書の手順は以下の通りです。

1 1段目→「組み立て」(文章構成)
「発表のれい」の文章構成は、「はじめ」「中」「終わり」になっていることを確かめます。表の1段目に「はじめ」「中」「終わり」のカードを貼り、縦線で3つに区切ります。「中」の部分は、内容が多くなるため、広めにします。

2 2段目→「内よう」(何について書かれているか)
「はじめ」「中」「終わり」にはそれぞれ何が書かれているかについて話し合います。「はじめ」には「自分たちの考え」、「中」には「理由」、「終わり」には「自分たちの考え・まとめ」、と黄色チョークで板書します。

3 3段目→「書き方」(文章表現)
「はじめ」「中」「終わり」の書き方について、子供に使ってほしい表現を取り上げ、板書します。大事なところは、黄色チョークで板書し、発表原稿を作る際のヒントにさせます。

4 4段目→「たん当」(担当)
グループごとに話し合い、発表原稿を担当する子供の名前を書かせます。

3 発表原稿の作り方の手順を確かめる

組み立てを生かして発表原稿を作成することを伝えます。あらかじめ小黒板に板書しておいた手順を示し、組み立てや内容について、グループで話し合わせます。

〈発表原稿の作り方の手順〉

4 発表原稿を作る

グループで、話し合ったことや集めた資料を基に担当箇所の発表原稿を書かせます。
用紙(ワークシート)は、「はじめ」はピンク、「中」は黄色、「終わり」は黄緑のものを用意します。用紙の色を、板書(組み立て)で使用した「はじめ」「中」「終わり」のカードと同じ色にすることで、何を書いたらよいかをわかりやすくします。

個人で書いた原稿を貼り合わせ、グループの発表原稿を完成させます。2グループ程度、黒板に貼ることで、板書の組み立てを生かした原稿ができたことを確かめ、発表への意欲をもたせます。

※ここでは、教師がモデルとして書いたものを掲載しましたが、実際には、子供たちが書いた作品を黒板に貼ります。

5 本時の学習を振り返る 

グループで意見を出し合いながらよい発表原稿ができたかどうかを振り返り、ノートに書かせます。次回は、今回作成した発表原稿を基に、どのように話したらより相手に伝わるかを考え、発表の練習をすることを知らせます。

 

構成/浅原孝子

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