学級会 〜「話し合ってよかった」と思える合意形成を〜
今まで、少人数で短い時間で話し合う「ちょこっと相談タイム」や学級の集会で行うゲームを決める学級会など、いろいろな場面で話合い活動を積み重ねてきたことと思います。子供たちは、話し合って決めることのよさを実感していることでしょう。しかし、実際の話合い活動では、合意形成をするのに時間がかかったり、全員が納得できない状態で終わったりしたかもしれません。子供たちが「話し合ってよかった」「決まってよかった」と思う合意形成のために、どんな支援ができるでしょうか。
執筆/神奈川県公立小学校教諭・石川まゆみ
目次
合意形成の例
合意形成は、多様な意見を分類・整理しながら比べ合いをしていきます。提案理由に合っているか、少数意見も大切にしているかなどの観点から話し合います。意見の違いを認め合いながら、よりよい考えを見いだすために「分かり合う」「聞き合う」時間にしていくことが大切です。
「みんなで納得できる意見を選ぶ」「条件付きで納得する」など、できる限り学級みんなの意見が反映できるようにしていきましょう。
合意形成のための支援
①二つから一つを選ぶ議題の場合
□二つの意見のよさを比べ合って決める
- 反対意見ばかりにならないように助言
- 友達の意見のよさを見付けるよう助言
- 「賛成です」「反対です」だけではなく、理由を言うように助言
□意見の理由を比べ合って決める
- 提案理由に合っているのはどちらかを比べるよう助言
□意見の共通点と相異点を確かめる
□二つを表にして比べる
□二つの案のよいところを合わせる案(折衷案)を考えてみる
※ただし、安易に折衷案にしない
「最初は、一人でやるほうがよかったけれど、みんなで協力できるのはグループだから」「順番でビンゴに○を付けることになったから、グループでやるでよい」など、一人ひとり決まったことにどう折り合いを付けて話合いを終えたのか、感じ方はそれぞれ違います。子供の思いを見とり、合意形成に向かった姿に称賛の声をかけましょう。
②一つの案に付け足していく議題の場合
□よりよい考えを探す
- 提案理由に合っているか?
- 付け足しすぎていないか?
- 本当に全部できるか?
□違いと共通点を再確認する
- 黒板を使って視覚的に整理できているか?
□少数意見を大切にする
□安易に多数決で結論を出さない
□少数意見にも十分耳を傾ける
この例のほかにも、合意形成の方法はあります。いろいろな合意形成の仕方を方法知として、学級で積み重ねていくことができるとよいですね。
こんなときどうする?
たくさんの意見が出て、決められない
□出てきた意見を全部決めることはできないことを確認する
□提案理由に立ち返って、比べ合う
□それぞれの賛成意見を出し合い、プラス思考の話合いをする
□いくつかの案に絞ってから比べ合う
□少数意見を生かす工夫を考える
□賛成が多い場合も、反対意見の真意を聞く
2つの意見で決まらないとき
□十分に二つの案のよさを話し合う
□双方が歩み寄る意見を考える
□二つの意見のよさを生かした案(折衷案)を考える
※ただし、安易に折衷案にしない
イラスト/山本郁子
『教育技術 小三小四』2022年2/3月号より