小5算数「□と△を使った式」指導アイデア《伴って変わる2つの量の関係を見付けよう》

執筆/福岡県福岡市立片江小学校教諭・村部健太
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、福岡教育大学教授・清水紀宏

目次
単元の展開
第1時(本時)伴って変わる2つの数量の関係に着目し、その関係を□や△を用いた式で表すことができる。
本時のねらい
伴って変わる2つの数量の関係に着目し、その関係を□や△を用いた式で表すことができる。
評価規準
正三角形の個数と棒の総数という2つの数量の関係に着目し、それらの関係を見いだし、□や△を用いた式で表すことができる。(思考力・判断力・表現力等)
本時の展開
本時は、伴って変わる2つの数量の関係に着目し、表や式、図を用いて、それらの関係を一般的に通用する□や△を用いた式で表現することをねらいます。
本時で扱う素材は比例ではないこともあり、□と△の関係式をいきなり問うと子供にとってはハードルが高いかもしれません。
そこで、最初は正方形の数が小さい場面を式に表し、正方形の数が変わっても同じ形の式に表すことができることから、帰納的に考え、□と△の関係式へとつなげていきます。
以上の意図から、問題場面の正方形の数を□にしておき、数値を色々と入れながら授業を展開します。
長さの等しいぼうで、下のように正方形をつくり、横にならべていきます。
正方形を□個つくるとき、ぼうは何本いりますか。
まず、正方形が3個の場合を考えます。棒でこの図をつくっていきます……。できましたね。さて、この問題で尋ねられていることは何ですか。
正方形が3個のときの棒の数を求めることです。
そうですね。何本必要ですか。
(数えるなどして)10本です。
次は□を8個にします。すぐに求められそうですか。
並べたらできます。
このまま正方形が8個できるまで並べていきますか。
並べるのは面倒です。もっと簡単に解ける方法があると思います。
どのように考えていきましょうか。似たような算数の学習を覚えていませんか。
「変わり方」を表で調べたことがあります。
「比例」でも変わり方を表で調べました。式もつくりました。
変わり方や比例では伴って変わる2つの量があります。この問題で変わる量は見付かりますか。
「正方形の数」と「棒の数」です。
「正方形の数」が1個増えると、「棒の数」が何本増えるのか、きまりを見付ければよいと思います。
なるほど。では、今日のめあてを立てましょう。
「正方形の数」と「棒の数」の関係に注目して、棒の数の求め方を考えよう。
先ほど、「『正方形の数』が1個増えると、『棒の数』が何本増えるのか、きまりを見付ければよい」という意見が出ましたが、「正方形の数」と「棒の数」の関係をどのようにして見付けますか。
表をかけばよいと思います。
正方形の図で考えれば、「正方形の数」と「棒の数」の関係が分かると思います。
見通し
- 表をつくる。
- 図で考える。
それでは、自分の考え方で、関係を調べて答えを求めてみましょう。
自力解決の様子
A つまずいている子
- 正方形は4本でできる。正方形8個分と考え、32本とする。
- 増分のまとまりの3本を見付けることができず、どのように解いてよいのか分からない。
Aの子供には、正方形が1個の場合、2個の場合、3個の場合を確認し、答えが(正方形の数)×4でないことに気付かせたり、正方形が1個増えると棒がいくつ増えるかを考えさせたりましょう。
B 素朴に解いている子
- 8個の場合を書いて、数えて本数を求めている。
- 表を書いて、正方形が8個のときの棒の本数を求めている。

- 正方形が1個増えると棒が3本増えていることに気付いているが、3本多く足している。
4+3×8=28 答え 28本
C ねらい通り解いている子
- 正方形8個とするために、左の正方形に「コの字」を8個より1少ない7個加えればよいことを理解できている。

4+3×7=25 答え 25本
正方形の数8に合わせて、8を7-1と表現すると次の表現になる。
4+3×(8-1)=25 答え 25本
- 左端の1本に「コの字」を3本ずつ増やすことを図で表し、式で表現することができている。

1+3×8=25 答え 25本
学び合いの計画
自力解決の段階で、1人1台端末を活用して、自他の解決方法を共有できるようにし、互いの解決方法を見合うことができるようにしておきます。
Aの子供は、問題解決の方法と、その説明のしかたを確認することができ、BやCの子供は、ほかの方法に触れることで、自分の方法との共通点や相違点を考えることが期待できます。
全体交流では、AやBの考えを取りあげながら、棒の総数が「4×正方形の個数」ではないこと、正方形の個数が1個増えると棒の本数が3本増えることと、正方形が8個のときの棒の数が4+3×8ではなく、4+3×(8-1)であることをていねいに押さえていきます。
また、図の最初の正方形の棒を左端の棒1本と「コの字3本」を見ることで、棒の本数が1+3×8で表すことができることを共有します。
その後、正方形の数を20個の問題を同様に考え、すべての子供が概ね正しく立式できるよう配慮します。
ノート例
B 素朴に解いている子
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
正方形が8個のときの棒の数を4×8=32と考えた人がいますが、このように考えた人の気持ちが分かりますか。
正方形1個をつくるのに棒が4本必要で、正方形が8個だから、4×8=32と考えたと思います。
皆さんはどう思いますか。
答えは25本だと思います。
あなたの答えはそうかもしれないけど、まず32本がこれでよいかどうか確認できないでしょうか。
もし、正方形をバラバラに並べたら32本でよいと思います。でも、問題の図だと正方形がくっついているので、32本より少なくなると思います。

くっついているというか、正方形が重なっているのだと思います。だから、32本より少ないはずです。
なるほど。問題の図をよく見ていますね。32本よりは少なくなりそうですね。今、重なりということを言ってくれた人がいました。32本から重なりを除くと答えが出るのでしょうか。
※重なりが7本あり、32-7=25で25本であることを確認する。
4×8=32の32本から考えても、さっき言ってくれた25本になりましたね。表を書いた人もいるようですので、考えを聞いてみましょう。
僕は表で考えました。正方形が1個のときは4本、2個のときは7本、3個のときは10本、4個のときは13本でした。すると、棒の数が3ずつ増えるので、続けていくと8個のときは25になりました。
棒の数が3本ずつ増えることは分かりましたが、何が増えると棒の本数が3本ずつ増えるか、付け加えて言えますか。
正方形の数が1個増えると、棒の本数が3本増えます。
ていねいに言えましたね。それでは今言ってもらった、正方形の数が1個増えると棒の本数が3本増えていることを、棒で正方形をつくりながら説明できますか。
(前に出て棒を操作しながら)正方形1個のときは、棒は4本です(正方形をつくる)。
正方形を2個にするために3本増やします(コの字に3本追加する)。
正方形を3個にするためにまた3本増やします(コの字に3本追加する)。
同じように3本ずつ足していきます。
※必要に応じて、子供を交代したり、繰り返したりする。
今度は、今のことを図に線や印をかき入れながら考えてみましょう。
※既に色などを付けた図ではなく、まだ色などが付いていない8個の正方形の図を黒板に貼る。
左の3個の正方形まで線や印を付けてくれる人はいますか。
※子供に最初の1個を囲ませ、次の2個を「コの字」で囲ませる。コの字ではなく△などの印を付けた場合、それを認めた後、コの字で囲むよう促す。

それでは、図を印刷した紙を配りますから、続きを同じように囲ってみましょう。ノートに図をかいている人もいますが、もう一度やってみましょう。できたら、隣どうしで確認してみましょう。
(全員が図を囲った後)それでは、正方形が8個のときの棒の本数を表す式を考えましょう。
3×7=21、21+4=25だと思います。
図や表を使って、この式になるわけを説明できますか。
図で説明します。正方形のところが4本です。コの字が3本ずつ1、2、3、4、5、6、7個あるから、3×7で21本です。合わせると25本になります。

表で説明します。正方形1個のときは4本です。正方形の数が1個増えると、棒の数は3本ずつ増えます。正方形が1個から8個まで7個増えているから、3×7で21本増えます。4+21で25本になります。

なるほど。どちらの考えでも、かけ算とたし算を使っていますね。この2つの式を1つの式に表すことができますか。
3×7+4=25だと思います。
4+3×7=25だと思います。
どちらも正解ですね。図では一番左の正方形から考えているし、表では4から始まっているので、4+3×7でこれからの話を進めましょう。ところで、正方形が8個あるのに、3×「7」になっていますね。正方形の数の「8」を使って棒の数を表すことはできないでしょうか。隣どうしで考えてみましょう。
※意見交換後
意見を発表してもらいましょう。
コの字を数えると7個しかないので、4+3×8ではなくて、4+3×7でしょうがないと思います。
最初の正方形ではコの字はないから、コの字の数は8-1で7個です。だから、8を使うとしたら、4+3×(8-1)としたらよいと思います。
なるほど。コの字の数の7というのは、「(正方形の数)-1」で表せるんですね。
今、正方形にコの字はないと言ったけど、正方形を1本と3本に分ければコの字があると思います。
前に出てきて説明できますか。
※棒の図の正方形を左端の1本とコの字3本に分けたり、図を囲んだりなどして説明する。

コの字が8個見えてきましたね。だったら、別の式もできそうですか。
1+3×8でもよいと思います。
※式の意味を前の図で再度説明させる。
正方形の数「8」を使って、4+3×(8-1)=25と、1+3×8=25という2通りの式で表すことができましたね。それでは第2問です。□を20にします。式を使って本数を求められますか。隣どうしで考えてみてください。

1+3×20で61本だと思います。
※1+3×20=61と板書する。
ほかの式を考えた人はいますか。
4+3×19=61です。
4+3×(20-1)=61です。
それぞれ図で囲みながら説明してもらいましょう。
※囲っていない図を黒板に貼り、子供に囲ませながら説明させる。
この図の仕組みがだんだん分かってきましたね。それでは「変わり方」の学習のように、2つの量を□と△で表したときの式を考えましょう。正方形の数を□、棒の数を△とすると、□と△の関係はどのような式で表せますか。
□と△になると難しそう。
今までに分かった式を整理してみましょう。括弧のないほうの式で考えていきましょう。

もし正方形が30個だったら、式はどうなると思いますか。
1+3×30=91です。

この左の(3つの)1は何を表していますか。
図の左端の棒です。
この(3つの)3は何を表していますか。
コの字の棒の数です。
増えている棒の数です。
この8、20、30は何に当たりますか。
正方形の数です。
25、61、91は何に当たりますか。
全部の棒の数です。

それでは、正方形の数が□個のとき、棒の式が△本という式がどうなるか、隣どうしで考えてみましょう。
※以下、1+3×□=△で表されることを確認するとともに、この式があれば正方形がどんな数でも棒の数が求められることを確認する。
伴って変わる2つの量の関係を見付けると、数が大きくなっても式で本数を求めることができる。
評価問題
長さが等しいぼうで、下のように正三角形をつくり、横にならべていきます。

(1)正三角形が6個のとき、ぼうは何本必要ですか。図を使って考え、式と答えをかきましょう。
(2)正三角形が20個のとき、ぼうは何本必要ですか。式と答えをかきましょう。
(3)正三角形が□個のとき、必要な棒の数を△本とします。□と△の関係を式で表しましょう。
子供に期待する解答の具体例
(1)1+2×6=13
答え 13本

(2)1+2×20=41 答え41本
(3)1+2×□=△
(左のぼう)+2×(正方形の数)=(ぼうの数)
本時の評価基準を達成した子供の具体の姿
正三角形の場合も、図や表を使って、伴って変わる2つの量の関係を見付けることができる。(1)で正三角形が6個のとき「三角形が1個増えると、棒が2本増える」というきまりを、図を線で囲いながら見いだし、式で答えを求めることができる。(2)で(1)で見付けたきまりを正三角形が20個の場合に適用し、(3)で□と△を用いた式で関係を式で表現することができる。
感想例
- 2つの量の関係を見付けるときには、ただ「比例関係になっているか」だけを見るのではなく、図や表を使ってから式に表し、きまりを見付けることが大切だと思いました。
- □や△を使うと、2つの量の関係を式で表すことができ、どんな場合でも求めることができることが分かりました。
イラスト/横井智美
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