小3国語「すがたをかえる大豆」板書の技術
今回は、「すがたをかえる大豆」「食べ物のひみつを教えます」という教材を通して、説明文の組み立てについての理解を深め、説明文を書くことに生かせるようにし、最終的には、食べ物のひみつを説明する文章を書くという単元です。そのなかの、第二次のところの「すがたをかえる大豆」の文章の構成や例の書き方の工夫を見つけやすくする板書を紹介します。
監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立小学校教諭・園田 萌(せせらぎの会)
単元名 れいの書かれ方に気をつけて読み、それをいかして書こう
教材名「すがたをかえる大豆」「食べ物のひみつを教えます」(光村図書 3年)
目次
単元の計画(全15時間)
第一次 学習課題を設定し、学習の見通しをもつ。(1時間)
1 単元の学習計画を立てる。
第二次 「すがたをかえる大豆」を読み、例の書き方の工夫を見つける。(6時間)
2 文章全体の組み立てについて考える。
3 「はじめ」を読んで文章全体の話題を押さえる。
4 「中」を詳しく読み、例の書き方の工夫を見つける。
5 「すがたをかえる大豆」の説明の工夫についてまとめる。
6 科学読み物での調べ方を知る。
7 食べ物に関する他の本を読んで感想を伝え合う。
第三次 食べ物のひみつを説明する文章を書く。(8時間)
8 食べ物のひみつを説明する文章を書くための学習計画を確かめる。
9・10 選んだ食べ物の情報と内容の整理をする。
11 例の書かれ方の学習を振り返り、文章の組み立てを考える。
12・13 食べ物のひみつを説明する文章を書く。
14 文章を交流し、内容や書き方について感想を伝え合う。
15 単元のまとめをする。
板書の基本
本単元の板書の意図は、教材「すがたをかえる大豆」(読む)で習得した力を、「食べ物のひみつを教えます」(書く)で生かせるようにすることです。
〇文章の組み立てについての理解が深められる板書
説明的文章は、文章の組み立てが大事であるということを既に学習しています。しかし、子供たちは説明する文章を書くという経験が少ないのが実態です。そこで、説明的文章の基本である「組み立て」について理解ができるような板書を考えました。
黒板全体を活用して、組み立ての全体(はじめ・中・終わり)、及び、学習用語(話題・具体例・全体のまとめ)とその役割が理解できるように工夫しました。形として理解することと学習用語を覚えることを大事にした板書を心がけました。
〇事例の並べ方の工夫に気付き、書くことに生かすことができる板書
「れいの書かれ方に気をつけて読み、それをいかして書こう」という単元の扉のよびかけを大事にしてほしいと考え、板書を工夫しました。
教材「すがたをかえる大豆」では、食べ方の工夫の例として「豆まきに使うまめ」から始まり、「えだ豆やもやし」までの説明が書かれています。これらが、組み立ての「中」の部分であることがわかり、さらに具体例とその並べ方の順序について理解できる板書にしました。特に、書くことに役立てるということを大事にして板書を工夫しました。
板書を活用した授業の進め方(2/15時間目)
1 本時の学習のめあてを確かめる
本時の学習が、「食べ物のひみつを説明する文章を書く」ことに役立つということを説明し、めあて「文章の組み立てについて考えよう。」と板書します。そして、「考えよう」について補説します。
2 文章全体の組み立てを理解させる
①文章全体を「はじめ」「中」「終わり」のまとまりに分ける
既習の説明的文章「こまを楽しむ」で学んだことを生かして、「すがたをかえる大豆」を「はじめ」「中」「終わり」で分けるとすればどこで分けられるか、ということの問題意識をもたせ、文章を読ませます。
②それぞれのまとまりの内容と役割を理解する
「中」の部分についてあらかじめ用意をしていた、「に豆」「とうふ」などの絵カードを組み立て表の「中」に貼ります。「中」は、詳しい内容を説明する段落であることを理解させるためです(「具体的なれい」というカードも貼ります)。
その後、具体例が書かれていない段落の内容をまとめ、それらは「話題」「全体のまとめ」であることをカードを貼って押さえ、大体の組み立てを理解させます。
③組み立てを整えるために文章を読み返す
板書と同じ枠組みのワークシートを配付し、「すがたをかえる大豆」の組み立ての空白の部分を記述させます。本文を読みながら、限られた時間の一人勉強のため、完成までには到りません。そこで、大事な言葉や文を共有するために、発表、発言を生かして、組み立てのモデルとなる板書にします。
自分が書くときに役立てることを意識させながら、授業の後半は組み立ての確認に時間を当てます。
板書を活用した授業の進め方(4/15時間目)
1 本時の学習のめあてを確かめる
「中」を読んで例の書き方の工夫を見つけることが本時のめあてです。学習活動がイメージできるように解説を加えながら、めあてを板書します。特に「れいの書き方」に気を付けて読むことが本時の大事な学習活動であることを確認します。
2 「中」のそれぞれの段落の中心となる文を確かめる
既習の説明的文章では「はじめ」の段落に「問い」の文がありました。しかし、「すがたをかえる大豆」では、問いになる文がないので、入れるとすればどんな文が入るのかということを仮定して、前時の学習で考えさせました。子供たちと相談して、「では、どんなくふうをしてきたのでしょうか。」という問いを「かくれた問い」と名付けました。
本時は、その「かくれた問い」の「答え」になる文が、「中」にあることを確かめます。一人勉強の時間に当て、「中」の段落で「答え」の文(=中心となる文)を見つける学習活動を行います。
子供たちの発表を受け、中心となる文の短冊カードをランダムに貼っていきます。各段落のはじめの文に「〇〇するくふう」と書かれていることを押さえ、「答え」がわかりやすいということに気付かせます。
3 例の書かれ方の順序について考える
「とうふ」「みそ」など具体例を説明している文章を確かめ、わかりやすく書く工夫として「順序」と「説明の仕方」があることを、話合いの過程で確認します。確認の仕方は次の通りです。
①上の2の学習でランダムに並べた短冊カードを動かし、教材文に書かれている順序に並び替えさせます。どの言葉に着目したのかを発表させ、「いちばん分かりやすいのは」「次に」「また」「さらに」「これらの他に」を赤線で囲み、つなぎ言葉に着目するとわかりやすくなることを押さえます。
②筆者の事例の並べ方にも着目させます。子供たちと話し合い、食べ方の工夫を「たんじゅん、かんたん、分かりやすい」ものから「ふくざつ、むずかしい、手間がかかる」ものになっていると捉えます。赤色チョークで板書し、例の並べ方に順序性があることに気付かせます。
4 「れいの書き方のくふう」を整理する
「れいの書き方のくふう」を整理し、板書します。説明する文章を書くときに生かすことを意識して、以下のような3点にまとめます。
◎中心となる文を各段落の最初に書く。
◎順序を表すつなぎ言葉を使う。
◎簡単なものから複雑なものへ、説明をする。
構成/浅原孝子