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【指導計画】5年国語 日本の文化を考えよう

2019/9/14

教材名/「古典」を楽しむ(教育出版 五年下)
領域/伝統的な言語文化

執筆/沖縄県那覇市立金城小学校教諭・村吉優子
編集委員/国立教育政策研究所 教育課程調査官・菊池英慈、那覇教育事務所指導主事・上里 亮

一寸法師

単元で付けたい資質・能力

①言語活動とその特徴

本単元では、「好きな古典作品を読んで感想をまとめる」言語活動を行います。感想には、「あらすじ」「この本を選んだ理由」「古典の魅力」を位置付け、古典の魅力に迫ります。書き終えた感想は、クラスで読み合い、次の読書活動へとつなげていきます。

②言語活動を通して付ける資質・能力

感想をまとめることを通して、昔の人のものの見方や感じ方に触れ、古典への興味関心を深めるようにします。

さらに、普遍的な人間の心などに気付かせ、古典作品に込められた教訓や示唆など、さまざまなことを感じ取らせます。

古典作品の言葉には、現代の言葉と似たような言葉や、異なる言葉があることにも気付かせ、言葉への関心を高めていきます。

③指導のポイント

・繰り返し音読することで、独特の言葉のリズムや美しい語調を感覚的に味わわせます。

・古典を解説した文章を読むことを通して、それぞれの時代において、人々がどのようなものの見方や感じ方をしていたのかを知る手がかりをつかみます。

・教科書やその他の資料を通して視覚的にその時代の生活の様子や歴史的背景の説明を加えることで、より理解が深まり、興味を引き出します。デジタル教科書等の利用も有効です。

指導事項:五・六年 伝国 (1)ア(ア)(イ)

単元の展開(4時間扱い)

単元の展開
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昔から読み継がれている物語(例)

「ものぐさ太郎」「はちかづきひめ」「イソップ物語」「うらしま太郎」「桃太郎」「さるかに合戦」「一寸法師」「かちかち山」「したきりすずめ」

アイディア① 古典を身近に引き寄せる

「浦島太郎」「一寸法師」「竹取物語」の一部を提示し、これから学習することに興味を持たせます。

最初に、昔から読み継がれている作品を「古典」と言うことをおさえましょう。子供がこれまでに出合ってきたであろう古典を取り上げることで、古典が自分たちの身近にあることに気付かせます。
作品の内容を全て理解させることが目的ではなく、知っているお話とつなげたり、現代でも使われている言葉に着目させたりすることで、ある程度内容を捉えられることに気付かせます。知っていたお話が昔から読み継がれてきた作品であったという驚きや意外性は、これからの学習の意欲につながります。

ワークシート
ワークシートの例
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浦島太郎の話は、いじめられていた亀を助けると思っていたけれど、亀を釣り上げたとなっているね。絵本で読んだ時と少し話が違っているところが面白いな。

小さい頃から知っていた物語が、昔から伝わる古典だったなんて意外だったな。そのほかにも身近にある古典作品はないかな。

今、私たちが使っている言葉もいくつか使われているから、大体の話の内容は分かったよ。

何年前ぐらいに作られたお話だろう。ほかの古典も読んでみたいな。

・子供向けに書かれた古典の図書資料などを準備し、読書環境を整えます。単元の終盤には、自分で選んだ古典作品で感想をまとめることを事前に伝えておくことで、見通しをもって学習に臨むことができます。

・ここでは、古典を詳細に読むことを目的としません。子供にとって身近な物語が古典であったことに気付き、「面白そうだな」「もっと知りたいな」といったような興味を引き出すことが大切です。どんな言葉で話の内容が分かったのか、面白いと思ったところはどこなのかなど、子供が感じたことを引き出して次の学習につなげていきましょう。

アイディア② 古典が読み継がれてきた理由について考えよう

ここでは、教科書教材の「竹取物語」「平家物語」「はととありのこと」を取り上げます。この時間の目標は、内容の大体を知ること、昔の人のものの見方や考え方に触れることです。

いきなり読み継がれた理由を考えるのは難しいので、昔の人々がこれらの古典を読んで、どんな点に面白さを感じたのかということを切り口に読み進めていきます。

今のぼくたちが読んでみても、面白いと感じる意外な展開や発想の面白さがあるね。 昔の人も同じところに面白さを感じたのかな。

人生の教訓も含まれているから、人々に大切にされてきたのではないかな。

挿絵をよく見ると昔の人の服装や生活様式も分かるよ。みんな琵琶法師の語りを一生懸命聞いているね。

板書
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◎思考ツール「ボックスチャート」を使って古典の魅力を見付けよう

ボックスチャート
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ここでは、最初にフレームの外に自分の考えを書き込みます。視覚化することで、口頭だけの話し合いより全員が参加しやすくなります。思考ツールは目的ではなく、思考の手段です。何のために使うのか目的を明確にもたせましょう。

繰り返し音読する
内容の大体を知り、古典ならではの言葉のリズムを感覚的につかませるためにも音読は欠かせません。最初は、教師の範読でどのように読めばよいかを示しましょう。
その後、教師のあとに続けて読む追いかけ読み、原文と解説文を交互に読む交互読み、グループで声をそろえて読むなど変化を付けて繰り返し、楽しく音読できるように工夫します。

挿絵や映像を利用する
教科書にある挿絵や映像等が用意できる場合はそれらを活用しましょう。挿絵や映像から昔の生活様式や人々の暮らしが分かることで、内容の理解が深まります。

アイディア③ 好きな作品について交流をしよう

ここでは、自分で選んだ昔の物語を読んで、感想をまとめていきます。感想をまとめる際には、視点を与えてまとめさせるようにしましょう。

今回の感想は、「あらすじ」「物語を選んだ理由」「この物語(古典)の魅力」の三つの視点でまとめさせます。「あらすじ」や「物語を選んだ理由」は、これまでの学習を生かして、事前に仕上げさせておきます(宿題等との連動)。本時では、古典の魅力を中心に展開していきます。

交流では、同じ本を選んだ者同士で話し合わせます。特に「この物語の魅力」については、それぞれ感じる魅力が違ってくるかもしれません。それを交流させることで、互いの感じ方の違いに気付くとともに、自分の考えを広げることにつながります。

まとめた感想
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☆話合いの手順☆
1.自分が感じた面白さを付箋に書く。(一人何枚でもよい)
2.付箋を持ち寄る。付箋を移動させながら内容ごとに分類する。
3.分類したらキーワードを付ける。
※これらのキーワードは古典の魅力を書く際のヒントになります。

付箋

話合いに使う付箋は、あまり小さすぎず、余裕をもって書き込めるサイズが適しています。

対話の楽しさと必然性を感じさせる
同じ本を選んだ者同士で交流をさせることで、一人では気付かなかった魅力について気付くことができます。自分の考えをもって交流をするという方法もありますが、よく分からない、これでいいのか不安だという段階で交流するのも効果的です。よく分からないから知りたい、他の人の意見を聞くのが面白いというように、話し合う必然性を感じさせることが大切です。

教科調査官からのアドバイス

国立教育政策研究所 教育課程調査官・菊池英慈

ポイント① 言葉の響きやリズムを体感し、古典に親しめるようにしよう!

小学校では、伝統的な言語文化に触れて、生涯にわたってそれらに親しむための基盤をつくることができるようにすることを重視します。そこでアイディア①のように、さまざまな伝統的な言語文化に触れさせることが大切になります。

その際、声に出して読んでみることによって、言葉の響きやリズムを体感できるようにしていきましょう。古典は文字だけではなく口伝えで受け継がれてきたものも多く、実際に声に出してみることでそのよさや面白さを味わうことができるようになります。

ポイント② 古典の世界に触れさせよう!

古典というと、難しい言葉の意味を覚えて内容を正確に理解しなければならないものと捉えられてしまう場合もあるようです。小学校では、子供たちが古典に興味や関心をもち、親しめるようにすることを重視します。

そのためには、自分が面白いと感じている作品や気に入っている作品を紹介する言語活動が有効です。アイディア③のように、自分が面白い、心惹かれると感じたことをはっきりさせながら、あらすじをまとめたりその作品の魅力を説明したりすることによって、古典の世界に触れさせましょう。

イラスト/和久田容代

『小五教育技術』2018年10月号より

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