避難訓練(引き取り訓練)の注意事項

元東京都公立小学校校長

清水弘美

地震や大雨、噴火などの災害時に備え、全国の小学校では避難訓練を教育課程に位置づけ、定期的な安全指導を実施しています。今回は、重要な学校行事である避難訓練について取り組みを紹介します。

執筆/東京都公立小学校校長・清水弘美

引き取り訓練の様子
引き取り訓練の様子

引き取り訓練は、健康安全・体育的行事の1つです。東京都では、関東大震災があった9月1日に避難訓練を行う学校が多いようです。本校では、中学校と連携して同じ8月31日に引き取り訓練を行っています。

東日本大震災のときに、保護者が迎えに来られず、中学生が自分の弟や妹を迎えに来たことがきっかけに始まりました。そのときは、中学生だけで帰すわけにいかないので、迎えに来ることができた他の保護者と一緒に帰宅しましたが、中学生が小学生を引き取り、彼らだけで帰宅する事態が起きるかもしれません。

引き取り訓練は、上の学年から順次引き取られることになっているので、子供の主体的な活動はありませんが、実際の避難では、上の学年が下の学年の世話をすることも想定できます。

引き取り訓練時に、担任が保護者に特に伝えるべき注意事項があります。子供たちが真剣に訓練に取り組むのですから、保護者も自分事にして参加するように、事前に学校だより等でお願いしておきましょう。学校が水や乾パンを常備している場合は、引き取り訓練のときにそれを持ち帰ってもらい、新しいものと入れ替える機会にしています。

注意事項
・保護者はサンダル、パンプスを履かない
・日傘を持ってこない
・ベビーカーを使用しない
・訓練中の私語や会話はしない

また、どの学校でも防災倉庫があります。引き取り訓練のときに公開してその中を見せることをしてもよいでしょう。そうすることで、親子の防災意識を高めることに役立ちます。

防災倉庫
防災倉庫
東京都八王子市立公立小学校校長 清水弘美先生
東京都八王子市立公立小学校校長 清水弘美先生

清水弘美 特別活動を柱にした教育活動により、子供の自尊感情を高め、学級崩壊のない学校づくりを実現。2015年には、モンゴル・エジプトなど各国の教育者が前任校を視察に訪れ、「特別活動」「日本型教育」のモデル校として新聞各紙で大きく紹介され、話題となった。著書に、『みんなでできる! 心がまとまる! 集団行動の指導法』『台本選びから演技指導・演出法まで 学芸会の指導~成功への道筋~』『特別活動でみんなと創る 楽しい学校』(以上、小学館)など。

『特別活動でみんなと創る 楽しい学校』

『特別活動でみんなと創る 楽しい学校』(小学館刊)は、東京都八王子市立弐分方小学校での取り組みをまとめたものです。

取材・文/高瀬康志
『教育技術 小五小六』2019年9月号より

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