「聞くこと」【小6外国語科 中学で「英語嫌い」にさせない! アイデア1】
外国語科の小中連携がとても重要になっています。外国語科は、中学校で一気に難しくなり、ついていけない子が出て、英語嫌いにつながると言われています。そこで、小学6年生の今の時期に行える、中学につながる活動のアイデアをお届けします。小学校の学習範囲で行うので、無理のない活動になっています。1回目の今回は5つの領域のうちの「聞くこと」です。ぜひお試しください。
監修/沖縄県公立小学校教諭・平良優
目次
2つの基本
- 中学の内容の前倒しの学習はしません。
- 小6の外国語科の中には、スモールトークやチャンツなど、教科書内の活動がさまざまにあります。その活動を基本にして特別に新しい活動は入れないようにします。
「聞くこと」
「聞くこと」でおすすめの活動を2つ紹介します。語句をしっかりと意識して聞くことで中学でのリスニングに役立ちます。
中学年の教材『Let’s Try!』のデジタル教材を活用しよう
ねらい:「おおよその内容」ではなく、「具体的な情報」「必要な情報」を聞き取ることができる。
中学年の言語活動では、身近で簡単な事柄に関する短い話を聞いて、おおよその内容が分かる活動を行います。「おおよその内容」とは、全ての内容を正しく聞き取り、理解することを求めているのではないということです。
一方、高学年の言語活動では、身近で簡単な事柄について、具体的な情報を聞き取る活動を行います。また、必要な情報を得る活動も行います。
そこで、6年生で行うスモールトークのテーマに合わせて、中学年の外国語活動の教材『Let’s Try!』を活用してはいかがでしょう。具体的には、『Let’s Try!』のLet’s ListenやLet’s Watch and Thinkを、イラストや映像を見せず、音声だけを聞かせるという活動です。一つ一つの語句が聞こえるようになっているという自分自身の成長を子供たちが気付くことでしょう。
活動実践例1 「具体的な情報」を聞きとろう
『Let’s Try! 2』Unit 4 What time is it?のLet’s Watch and Think 2 を聞かせましょう。
「具体的な情報」を聞きとるという目的で聞かせる場合には、「どんなお話だったか、聞いた後に詳しく教えてね」と、聞く目的をもたせてから聞かせるとよいでしょう。
そして、実際に聞かせた後、「どんなお話だった?」「どんな英語が聞こえた?」などと尋ねてみましょう。目の前の子供たちの反応に応じて、もう一度聞かせることも大切です。
活動実践例2 「必要な情報」を聞きとろう
『Let’s Try! 2』Unit 3 I like Monday.のLet’s Watch and Think 2の 2⃣ のエミリーとさよの会話を聞かせましょう。
「必要な情報」を聞きとるという目的で聞かせる場合には、「エミリーが好きな曜日とその理由はなんでしょうか?」と、聞く目的をもたせてから聞かせるとよいでしょう。
そして、実際に聞かせて、「どんなやりとりだった」「エミリーが好きな曜日と理由は何だった?」というように尋ねてみましょう。目の前の子供たちの反応に応じて、もう一度聞かせることも大切です。
具体的な情報や必要な情報を得るなかで、中学年のときには、聞こえなかった語句や文が聞こえるようになっていることに気付くと思います。自己の成長を味わえる活動です。
高学年での既習単元のデジタル教材を活用しよう
ねらい:くり返すことで、定着を図る。
「聞くこと」は高学年では定着を視野に入れて指導します。定着とは、その単元だけに使えるだけではなくて、いつでも使えるようになっていることです。
算数の学習を例にして説明します。算数の1学期の4月の単元テストで学級平均が90点だったとします。その4月の単元テストを学期末3月に実施すると学級平均はおそらく下がるでしょう。そこで、学級担任は、単元が終わっても、単元を超えて学習をくり返すという工夫をし、定着をめざす必要があります。
外国語科も同じです。6学年の外国語科の授業において、5学年や6学年の既習内容について、スモールトークで扱うという取り組みが大切です。実際に多くの学級で取り組んでいらっしゃることでしょう。
その際に、5学年や6学年の既習単元のデジタル教材の活用をおすすめします。具体的には、Let’s Listen、あるいはLet’s Watch and Thinkのようなまとまった話を聞く教材です。
高学年の授業では、Let’s Watch and Thinkのような、まとまった話を聞くというデジタル教材があります。推測しながら聞く力を高める教材です。その単元の段階では、大まかな内容を捉えるために扱われます。その時点では、推測しながら聞いているので、英語の一つ一つの語句を意識しながら聞くという余裕は子供にはありません。
単元を超えて再度活用することで、その単元の学習段階では、聞こえなかった語句や表現が聞こえるようになったり、新たな内容が分かったりするようになっていきます。
スモールトークや授業内容と関連付けて計画的に活用してはいかがでしょう。
活動実践例3 「具体的な情報」を聞きとろう
『NEW HORIZON Elementary 5』(東京書籍)のUnit 6 What would you like? の「Starting Out」を聞かせましょう。
このほかにも既習した小5の教科書を活用するとよいでしょう。聞かせる前に、「どんなお話だったか、聞いた後に詳しく教えてね」と、聞く目的をもたせてから聞かせるようにします。
そして、実際に聞かせた後、「どんなお話だった?」「どんな英語が聞こえた?」などと尋ねてみましょう。目の前の子供たちの反応に応じて、もう一度聞かせることも大切です。
取材・文・構成/浅原孝子 イラスト/嵯峨根明日香(オーデザインチャンネル)